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Scene10 シンデレラを取り戻せ!

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「あの子ね、家の近くの公衆電話を探して、電話をかけて
 くれたの」
 信子は、大切な秘密を打ち明けるように、小声で打ち明けます。
その顔は、とびきりの笑顔です。
「でもね、姉ちゃん、いつ帰ってくるんだ、と言われると…
 ちょっと困るのよね」
と言うと、眉根を寄せてみせます。
「家には帰りたくないけど、弟には会いたい」
そう言うと…寂しそうな顔をするのです。
ようやく打ち解けてくれたのは、おそらくエラが、信子に1番
年齢が近いせいなのでしょう…

だけどエラにはどうすることも、できなくて…
「そうね、困ったわねぇ」
そのひと言だけでした。
「気になるのは、あの子のことだけ?
 なんとか、連絡とることは、出来ないかしら…」
エラは少し、考え込みます。
「電話をかけてあげましょうか?」
「だめよぉ!知らない人の電話。
 受けてくれるとは、思えない」
「信子の友達だといえば…」
「そうねぇ」
2人は考え込みます。
「それか…直接、手紙を渡しに行く…というのか?」
突然エラは、思いついたように言うと、信子はピクリ…と
肩を動かしました。
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