デブよ、さらば!

daisysacky

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第2章  満たされないその想い

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    こんなこと、ママが知ったら、どうなるだろう・・・
海美はあらためて、さして好きでもない男と一緒にいる、自分の姿をかえりみると、
急に、胸が悪くなり、
「ちょっと失礼」
と言って、席を立った。
「どうしたの?」
すかさずキョーヘイが、海美を見上げる。
何一つ、疑うことのない、子供のような目で・・・
「すぐ戻る・・・デザートは、取っといて」
と言いおいて、バッグを持って、席を離れた。
「大丈夫?」
キョーヘイは、あわてて立ち上がる。
海美は、キョーヘイを振り返ると、
「あ、ヘーキヘーキ、単なる食べ過ぎ!」
と、少し笑って見せたので、腰を浮かせかけた彼も、再び、腰を下ろす・・・
「だろ~、だから、少し残せばよかったのに~」
のん気に言うキョーヘイに、
「だって、あんまりおいしかったから、残すの、もったいなかったんだもん」
と、少ししおらしい顔をした。

「これだから、海美ちゃんは、放っとけないんだな!」
キョーヘイは、鷹揚な顔をして、ヘラヘラ笑う。
海美は「ごめんごめん」と、微笑みつつも、
(ほら・・・こんな顔をするから、女に甘くみられるのよ)
と、心の中で思う。
「待っててね」
そう言いおいて、そそくさと、個室の方向に向けて、歩き出した。
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