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第2章 満たされないその想い
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しおりを挟む海美は、キョーヘイの前を、なんら遠慮することなく、スタスタと歩いて、
自分達のいた席へ、戻ろうとしていた。
「デザートは?」
ふいに、海美は聞いた。
「食べてない」
「どうして?」
海美は、一瞬、立ち止まる。
「一緒にとおもって」
「待ってたわけ?」
「そう・・・」
キョーヘイは、海美の後ろを、まとわりつくようにして、
後を、ついてくる。
それを見て、
(まるで、犬のよう・・・)
と、海美は思った。
「忠犬ハチ公だな」
海美が言うと、(なに?)と言う顔をして、
「ハチ公でなく、キョーヘイですけど」
と、キョーヘイは、キョトンとした。
とんだ、おバカさんだ・・・
海美は、その顔を見て、フト、きらいじゃない・・そう思った。
まだ”スキ”ではない
けれど、キライじゃない・・・
海美はニコリと笑うと、
「さっさと帰るわよ」と言う。
「えっ?デザートは?」
「もちろん、食べるわよ。だって、もったいないじゃない」
と言うと、キョーヘイはおもむろに、海美の前に回り込んだ。
「なに?」
戸惑う彼女を無視して、海美の口の端を、指でぬぐった。
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