シンデレラの娘たち

daisysacky

文字の大きさ
上 下
78 / 140
第4章 夢のつづき

   6

しおりを挟む
(うわっ!まずい!)
 ジュンヤは思わず、その場に立ち止まり、成り行きを見届けることにした。

「はぁい」
 誰もいないか…と思いきや、すぐに返事が聞こえる。
(あっ、やっぱり、誰かいる?)
ジュンヤは柚の背後につき、何かあったら、すぐに代わろう…と身がまえる。
「ちょっと、待ってね」
明るい声が響く。
「そのままで、待っててねぇ」
若い女性の声だ。
声を聞いた限りでは、優しそうな感じだ。

 柚はためらうことなく、トコトコと開いたドアのすき間に、身体をすべり込ませる。
(えっ?)
待たないのか?
「おい!」
勝手に入るなよ。
そんなことをして、この家の人を怒らせたらどうする?
何かあったら、どうするつもりなんだ?
 ジュンヤはあわてて止めようとしたけれど…
時すでに遅し。
スルンと中に入ってしまった。
(大丈夫なのか?)
さすがに心配になり、ジュンヤは思い切って、扉に手をかける。
「ジュンヤくーん、大丈夫だよぉ~
 ねぇ、入って来て!」
無邪気な柚の声が、中から聞こえてきた。
しおりを挟む

処理中です...