シンデレラの娘たち

daisysacky

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第5章 すべては夢になりにけり

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 柚はその家に近付くと、コンコンとドアをノックする。
「あっ、ちょっと」
あんまり、むやみに人の家を突撃するのは、よくないのではないか…
ハラハラしながら、ジュンヤは柚のすることを見守っている。
「あれぇ?」
返事がないのか、柚はためらうことなく、ドアに手をかける。
「あっ、おい、ちょっと、ユウちゃん!」
さすがに、それはまずいだろう…
ジュンヤが止めようとするけれど、柚が開けるよりも先に、カチリと
扉が開いた。

「はーい、あら?どなた?」
 ドアのすき間から、柚がちょこんと顔をのぞかせる。
「あら、小さなお客さん」
そこにいたのは、人の良さそうな顔をした、杖をついた女性だった。
「あっ、あのぉ~」
柚が飛び出して行くと、案の定、ドンとその女性にぶつかる。
「ちょっと、ユウちゃん!」
ちゃんと前を見ろよ…
ジュンヤはあわてて、その女性に手を差し伸べる。
「あら、御親切に。ありがとう」
おっとりとした顔で、ゆっくりと微笑むと、その女性は柚の顏を
のぞき込み
「あなた…私の知っている人に、よく似ているわねぇ」
ニコニコしながら、そう言う。

「えっ」
 そんなことは、生まれてこの方、一度も言われたことがない。
「ユウちゃんは、ママ似?
 それとも、パパ似かな?」
そう聞かれることは、よくあった。
どちらかと言えば、パパかなぁ?
ママにも、よく言われていた。
ママは今、家庭菜園にはまっていて、かなり日焼けもしているけれど…
本当はとても可愛いのだ、と柚はいつも自慢している。
だから、ママに似ている…と、言われてみたい、といつも思うのだけれど…
(このオバサンは、どっちだ、と思うのだろう?)
柚はそう思う。
 この人は、ママには似ていない。
一体何者なの?
柚は急に無口になり、黙ってその人の顏を見上げた。
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