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第6章 魔法の靴
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「シンデレラはねぇ、他にいるのよ」
柚が歌うように、そう言う。
「そう?他にもいるんだぁ」
ジュンヤは合わせるようにして、柚の言うことを繰り返す。
だが、柚は頭を振って、
「だからぁ~会ったでしょ、ジュンヤくん」
なぜだか柚は、適当に聞き流されるのが、気に入らないようだ。
「そう、会ったんだねぇ」
機械的にうなづいた後…
「えっ」
小さくつぶやく。
「だから、そうだよぉ~しかも、さっき!」
いつになく、強い口調でそう言うので、ジュンヤは今度こそ、ハッと気づく。
「それって、まさか、もしかして…?」
ウソだろ?
ようやくジュンヤは、柚の言いたいことに気が付いた。
「そうだよぉ」
わかった?
満足そうに、柚がうなづくのを、男はただ黙って見守っている。
「じゃあ…あそこに行ったら、何かわかるの?」
思い切って、ジュンヤが聞く。
「さぁ~それはわからないな。
後は、成り行きにまかせるさ」
男はそう言うと、うっすらと微笑んだ。
(この人が王子…ということは、まさか、ボクの姉さんのダンナさん?)
大変な事実に、ハタと気付く。
「えっ」
初めてピンときたのか、ジュンヤは思わず声をもらす。
(王子が、お義兄さん?)
「え~っ!」
遅ればせながら、ひどく大きな声を上げた。
しばらく、頭がフリーズしたみたいに、思考が置いてきぼりになっている。
ただ目だけが、王子の姿を追っている。
王子も黙って、義理の弟のことを見守っている。
(それじゃあ、姉さん…じきに、この人の赤ちゃんが生まれるんだ…)
家にいた時には、見せなかった穏やかな笑顔。
落ち着いた物腰。
そして、ふっくらとした柔らかなお腹…
先ほど見た、輝くようにきれいになった、信子の姿をジュンヤは思い浮かべていた。
柚が歌うように、そう言う。
「そう?他にもいるんだぁ」
ジュンヤは合わせるようにして、柚の言うことを繰り返す。
だが、柚は頭を振って、
「だからぁ~会ったでしょ、ジュンヤくん」
なぜだか柚は、適当に聞き流されるのが、気に入らないようだ。
「そう、会ったんだねぇ」
機械的にうなづいた後…
「えっ」
小さくつぶやく。
「だから、そうだよぉ~しかも、さっき!」
いつになく、強い口調でそう言うので、ジュンヤは今度こそ、ハッと気づく。
「それって、まさか、もしかして…?」
ウソだろ?
ようやくジュンヤは、柚の言いたいことに気が付いた。
「そうだよぉ」
わかった?
満足そうに、柚がうなづくのを、男はただ黙って見守っている。
「じゃあ…あそこに行ったら、何かわかるの?」
思い切って、ジュンヤが聞く。
「さぁ~それはわからないな。
後は、成り行きにまかせるさ」
男はそう言うと、うっすらと微笑んだ。
(この人が王子…ということは、まさか、ボクの姉さんのダンナさん?)
大変な事実に、ハタと気付く。
「えっ」
初めてピンときたのか、ジュンヤは思わず声をもらす。
(王子が、お義兄さん?)
「え~っ!」
遅ればせながら、ひどく大きな声を上げた。
しばらく、頭がフリーズしたみたいに、思考が置いてきぼりになっている。
ただ目だけが、王子の姿を追っている。
王子も黙って、義理の弟のことを見守っている。
(それじゃあ、姉さん…じきに、この人の赤ちゃんが生まれるんだ…)
家にいた時には、見せなかった穏やかな笑顔。
落ち着いた物腰。
そして、ふっくらとした柔らかなお腹…
先ほど見た、輝くようにきれいになった、信子の姿をジュンヤは思い浮かべていた。
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