シンデレラの娘たち

daisysacky

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第6章 魔法の靴

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「えっ」
「なんで?」
 それはまさしく、ジュンヤたちが探し求めていた物だった。
丁寧にくるまれた布からは…
まるで新品のように、磨かれた靴が、光を放っている。
「あっ、それ、ママの靴!」
 いち早く、柚が叫ぶ。
確かに…カカトの部分に、わずかに曇りのようなものが見える。
「ねぇ、それ…どこにあったの?」
無邪気な声で、彼女に向かって聞く。
 信子は、柚の方を見すえると、
「そう?やっぱり、あなたのママの靴だったの?
 それは、よかった!」
単純に、見つかったことを、喜んでいるようだ。
だが柚は、キョロキョロすると、
「でも…お姉さんの靴は?」
なぜか心配そうに、彼女に聞く。
「あら」
彼女は柚を見ると
「私の?私のは…もう、いいの」
なぜかあっさりと、そう返す。
「とにかく、これはあなたたちに返すわ」
キッパリとそう言った。

「どうして?」
 ジュンヤはボンヤリとつぶやく。
「姉さん…帰れなくなっても、いいの?」
思わずジュンヤは、姉さんの顏を見上げる。
(もう…会えなくなるよ?それでも、いいの?)
わずかに瞳を揺らすと、
「大丈夫よ」
彼女はうっすらと、微笑む。
「私には、ここの暮らしが合っているの。
 それに、もう私、一人じゃあないし」
そう言うと、自分のお腹に、優しく触れた。
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