ダンナ様はエスパー?

daisysacky

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第1章  甘い生活?

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「無理しなくていいからな。
 また週末に、一緒に買い物に行こう」

 4月某日…パンパンとあちこちで、布団をたたく音が響く中…
マンションの玄関で、彼は優しく私に声をかけた。
 何しろ新婚旅行から帰ってまもなく…
荷物を解く間もなく、怒涛のように新居に越してきたけれど、
まだダンボールの山は、一向に片付いてはいない。
開けては放置、かき回しては、閉める…を繰り返したあげく、
なだれを起こしそうだけれど、すっかり戦意を喪失してしまったのだ。
 途方に暮れる私に、彼はあやすように言い含める。

「大丈夫、ボチボチしよう。
 なぁに、ダンボールがあったって、死にはしないさ」
 その甘い言葉にのせられて、今に至る。
「でも…ご近所さんの挨拶は、どうしよう?」
オドオドしながら、彼の目に救いを求める。
 この街には、1人も知り合いのいない彼女…
彼はポンポンと頭をなでると
「それも週末に、2人で行こう」
そう言って、玄関を出た。

 傍目から見たら、おそらく…オジサンと姪か、年の離れた兄妹にしか
見えないことだろう。
そんな2人に、結婚式の時友達は
「あかり…なんで、あんなオジサンと結婚したのよ」
と呆れたように言う。
「いくら何でも、あそこまでランクをおとさなくても、よかったのにぃ」と。

 ナンパされたの?
 それとも、親にむりやり、お見合いを進められたの?
 借金?
などと、みんな勝手な妄想を繰り広げたけれど、
それは全部、ハズレ!
だって私が…彼にアプローチしたのだもの…

「あかりみたいな、気の弱い子に、そんなことあり得ない!
 かわいそうに…きっと、だまされたのよ!」
なんてみんなが言う。
 でも違うの!
私にとっては、彼は特別な存在。
なぜならば、私は…彼のヒミツを知ってるのだ。
誰も知らない、ヒミツ。
彼も私が知っているとは、おそらく知らないと思う。
なぜならば、彼はエスパーなのだ。
もちろん、ものすごい超能力が備わっているわけではない。
しいて言うなら…彼は強力な晴れ男なのだ!
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