ダンナ様はエスパー？

第2章 謎の隣人VSお姑さん！

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　　ただ１つの難点、それは…彼のお姑さんの存在だった。
だけども結婚当初、彼女はあまりにも幸せ過ぎて…
しばらくはそのことに、気付かなかった。
この人の存在さえ、気にしなければ…
まだ子供が出来ないことも、彼との暮らしのことも、
彼女の心に、大きな重しとなることは、なかっただろう…

（まさか、同居しよう、なんて…言わないよね？）
　突然現れたお姑さんと、彼を見比べると…
灯里は複雑な気持になる。
　わかっている…
久志はとても優しくて、彼女のことも、よく気が付くけれど…
その反面、頼まれたら、いやとは言えない性格なのだ。
そのことを、お姑さんはもちろん、よく知っているはずだ。
絶対にNOとは言わない、と言う自信があるからこそ、
こうして強気でいるのだろう…

　それにしても、なんで彼が自分のことを選んだのか、
未だによくわからないけれど…
「キミならきっと、うまくやれる！
　キミみたいな人を、ボクは探していたんだ」
その言葉に、すっかりほだされてしまった…
と、灯里は思う。
そんなことを、言われたことがないから、免疫がなかったのだ。
そんな彼女を、陰で何と噂されているのかも、灯里は知っているのだ。
「なんで、あんな冴えない人を…
　課長は選んだんだろうね？
　若いだけじゃないの…」
　悲しいかな、それは自分でもわかっている。
果たして本当のところはどうなのか、本人に聞きたいところだが…
だけど彼はひたすら、
「キミの魅力は、自分の価値を、まだわかっていないところだよ」
褒めているのだか、どうだかわからないことを、彼は言うのだ。
（後で後悔しても、知らないわよ。
　私も今の暮らし…気に入っているのだから）
そう密かに灯里は思っていた。