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第5章 誰のものでもない私…
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「ちょっとぉ~私、体重管理もしないといけないのに」
思わずそうつぶやくけれど、つい中身を確かめる。
白い紙の箱の中には、灯里の好きなプリンと、シュークリームが
きちんと2つずつ、おさまっていた。
(なんで、私の大好物を知ってるの?)
そう思った後で、ふいに…自分の子供の頃、たまに機嫌のいい時の
お土産がいつも、シュークリームとプリンだったなぁと思い出す。
(なによぉ~せめてお茶ぐらい、一緒に飲んで行けばいいのに)
丁寧にケーキの箱のふたをしめると、そっと冷蔵庫の一番いい場所に
おさめた。
「あの人…少しは人間、丸くなったみたいね」
もちろん性格が、という意味だけれど、そういえば体の方も…
と先ほどの母親の姿を思い出し、クスリと笑った。
だが問題は、母親よりも、あの人だ…
今はすっかり家に引っ込んで、不気味なくらい鳴りをひそめている
お姑さんだ。
いつまた、灯里の家にやって来るのか、正直のところわからない…
それはまるで、休火山のように静かだけれど、どこか不安な存在なのだ。
「ね、お義母さんにも、知らせたんでしょ?」
ある朝のこと、少し余裕があるのか、ゆっくりとしている彼を見て、
灯里はそっと聞いてみた。
なぜなら1番に、あの人はしゃしゃり出るタイプに見えたからだ。
すると久志もあっさりと
「うん、そうだよ」と認める。
それから「えっ」と言うと
「なぁに、灯里!
まさか、母さんに会いたいの?」
見当はずれの事を、しかもニコニコしながら聞くのだ。
まさか!
そんなわけがないでしょ?
「ううん!」
全力で頭を振る。
何しろ久志さんは、100%純粋培養な人なので…
人を疑うということなど、しない人なのだ。
(どうしてあの人が…彼のお母さんなの?)
それこそミステリーだ、とつくづく感心してしまう灯里なのである。
思わずそうつぶやくけれど、つい中身を確かめる。
白い紙の箱の中には、灯里の好きなプリンと、シュークリームが
きちんと2つずつ、おさまっていた。
(なんで、私の大好物を知ってるの?)
そう思った後で、ふいに…自分の子供の頃、たまに機嫌のいい時の
お土産がいつも、シュークリームとプリンだったなぁと思い出す。
(なによぉ~せめてお茶ぐらい、一緒に飲んで行けばいいのに)
丁寧にケーキの箱のふたをしめると、そっと冷蔵庫の一番いい場所に
おさめた。
「あの人…少しは人間、丸くなったみたいね」
もちろん性格が、という意味だけれど、そういえば体の方も…
と先ほどの母親の姿を思い出し、クスリと笑った。
だが問題は、母親よりも、あの人だ…
今はすっかり家に引っ込んで、不気味なくらい鳴りをひそめている
お姑さんだ。
いつまた、灯里の家にやって来るのか、正直のところわからない…
それはまるで、休火山のように静かだけれど、どこか不安な存在なのだ。
「ね、お義母さんにも、知らせたんでしょ?」
ある朝のこと、少し余裕があるのか、ゆっくりとしている彼を見て、
灯里はそっと聞いてみた。
なぜなら1番に、あの人はしゃしゃり出るタイプに見えたからだ。
すると久志もあっさりと
「うん、そうだよ」と認める。
それから「えっ」と言うと
「なぁに、灯里!
まさか、母さんに会いたいの?」
見当はずれの事を、しかもニコニコしながら聞くのだ。
まさか!
そんなわけがないでしょ?
「ううん!」
全力で頭を振る。
何しろ久志さんは、100%純粋培養な人なので…
人を疑うということなど、しない人なのだ。
(どうしてあの人が…彼のお母さんなの?)
それこそミステリーだ、とつくづく感心してしまう灯里なのである。
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