ダンナ様はエスパー?

daisysacky

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第6章  久志のヒミツ?

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  不思議なことがある。
いつもアリサが帰ろうとすると、その直前にひょこっと帰って来るのだ。
この人は…
まさかセンサーでもあるのだろうか?
(それとも盗聴しているとか?
 それか隠しカメラ?
 自分の新婚ホヤホヤの奥さんに?)
あり得ない、すぐに否定する。
そんなことを想像するだけで、ゾッと鳥肌が立つ。
 いや、まさかそこまでする?
(どう見たって、そんな人には見えないな)
 そう言えば…灯里と結婚する前に、仕事を辞めるよう、
説得を試みたのは、久志だった。

「どっちにしても、アッツアツ!
 もしかして、自分の奥さんを…誰の目にも触れさせたくないの?」

 そう言って、からかったけれど、どうもそれだけではなさそうだ。
(なぜ?)
灯里は不思議に思う。

(一体、何が起きると言うの?)
アリサは少し気にかかる。
 
 パッと見、お人よしが服を着ているような、中年のサラリーマンだ。
特にイケメンでもないし、ハゲてもいない。
 さらに太ってもいない…
ごくごくありきたりな、普通のオジサンだ…
(まさか灯里、ファザコンだったの?)
そう思わずにはいわれない。
 ダンナさん…というよりも、お父さんみたいだ。
灯里の父親は、インパクトの強い母親と違って、無口で影の薄い人だ。
それでいいの、とも思うけれど…
(何しろオバサンが、強烈だからなぁ)
思わずアリサは思い出した。
 もっともアリサは、要領がいいので、ちゃっかり灯里の母親にも
気に入られている。
だけど自分の母親にするとしたら…?
意地悪くそう思ったけれど、
この人が、お母さんになるとしたら、やっぱりそれは絶対に、
こちらから願い下げだ…ともひそかに思っていた。
(灯里には悪いけどね!)

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