ダンナ様はエスパー?

daisysacky

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第6章  久志のヒミツ?

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(これは、すごい進歩だ!)
 みるみる自分に自信をつけて、明るくふるまう彼女を見ると、
これがあの灯里なのか、と驚かされる。
マイフェアレディーのヒギンス教授の気分だ。
おそらく彼も、こんな気持ちだったのでは、と思う。
 いつも暗く、うつむいていた彼女が…
仕事から帰ると真っ先に
「お疲れ様!」と笑いかけてくれる。
(あの子は、こんなにきれいだったんだ…)
見た目だけじゃなく、心持ちが表情に出てきて…
思わずそんな横顔に、見とれてしまう。
(ボクは何度でも、新しいキミを見つけて、ドンドン好きになるのだろうか)
 それは自分の手柄だ…とは決して思わないけれど、
一緒に暮らし始めて、目に見えて変わったところだ。

 だがもちろん、変わらないこともある…
(まぁ、料理の腕は、絶望的に上がらないけれど)
それもまた、愛嬌だ。
それくらいは、目をつむろう。
誰にだって、欠点はあるさ。
苦手なものを得意にしろ、と言われても、どだい無理なのだ…
惚れた弱みだ。
ついつい、彼女に対して甘くなってしまう。 
(新婚だしな!)
それがいつまで通用するのかは、本人次第だろう。
 背中を丸めて、1人で息をひそめるように生きていた彼女が…
もっと自分の可能性とか、自分の魅力に気付いてくれたら
なおいいのだが…
それでも、と久志は思う。
今は元気で、こうして側にいてくれるだけで、いい…
それしきのことは、少しも気にならない。
 まるでマイフェアレディーのオードリーのように、
キレイになっていく様を見ているのは、この上もなく幸せなものだ。

「無事に生まれるといいね!」
久志がにこやかにそう言うと
「それはきっと、大丈夫だと思うわ」
灯里はハッキリとそう言うと、お腹をそっと撫でる。
何が何でも、この子を守ってやろう…
そう固く、心に誓うのだった。
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