ダンナ様はエスパー?

daisysacky

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第6章  久志のヒミツ?

   21

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「えっ?」
「だから、久志さんに似た可愛い女の子が!」
 久志は照れたように、頭をくしゃりとかき混ぜると、
「残念だけど、可愛いとは限らないよ」
少し赤らんだ顔で、灯里を見る。
「ううん、可愛い!きっとすっごく可愛い!」
フフッと笑うと、いたずらっぽくチラッと赤い舌を見せた。
(なに、人の目の前で、イチャイチャしてるのよぉ)
恥ずかしくないのか、と思うけれど、逆に見ているこっちが妙に恥ずかしい。
アリサは困った顔をする。
(何よぉ~せっかく励まそうと、来たのに)
それも必要なかったみたいね、とお邪魔虫も癪だから、
アリサは何も言わずに、そぅっとそのまま部屋を出て行った。


「もう~」
 まいったなぁ~
久志は両手を大きく開いて、苦笑いをする。
 ようやく落ち着いた灯里の顔を、じぃっと見下ろしている。
1人にするのが、可哀想…と、なるべく一緒にいようと思うのだが…
その実、誰もいない部屋に、帰るのが嫌だ…という単なるワガママなのだ。
子供がいらない…と言ったのは、もちろん本心ではない。
いつ再発するのかわからない、爆弾を抱えて…
彼女のことを思えば、産まない方がいい、と思うのだが…
やはり彼女の赤ちゃんが、生まれて来るのを、心待ちにしているのが
事実だ。
(実は、それが…すごくプレッシャーだったりするのだ)
 彼を見ながら、灯里は静かにそう思う。

 細い腕には、点滝のバッグがつながっている。
「帰りたいなぁ」
なるべく点滴のチューブに、引っ掛からないように、ひそかに気を付けている。
「まずは、休んでからね」
彼は彼女のオデコに、そーっと、手を触れる。
「だってぇ」
まるで子供のように、彼女がそう言うと、彼はさして何も言わない。
ただひそかに、心配をしていたのだった。



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