ダンナ様はエスパー?

daisysacky

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第8章  私を探さないで…

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「確かに、その日に、お宅のマンションに行った者がいました」
 連絡してから数日後、タクシー会社から電話があった。
「あっ、そうなんですか?」
 相変わらず、平々凡々とした日々が続く。
みんなヤキモキしていたところだ。
手掛かりといったら、今の所、これ 一本しかない。
もしもこれがダメだったら…
八方ふさがりとなる、
その場合は…各地に当たり前にある、監視カメラをみせてもらおう…
 この際だから、警察に相談にして、探偵でもやとえば
話は別だけれど…
久志としては、そういうことは、出来るだけ、したくはなかった。
 だがそれは、最後の手段にとっておこう…
彼はそう考えていた。


「そうなんですか?」
アリサの所にも、久志から連絡が来た。
「駅まで送ったそうだ。
 だけどもうすこし…詳しい話を聞きたいから…
 直接、その運転手に、会いに行ってくる」
とても真剣な声が、電話口から聞こえて来る。
アリサは、彼のことを…やや疎ましく思っていたことを
反省していた。
「あの、私も…行ってもいいですか?」
思わず身を乗り出すようにして、アリサは口にした。
「いや、いいんです。
 もしもムダ足になったら、いけないから」
ためらうように、断る久志を見て…じれったく思う。
(どうせなら、もっと貪欲に、私のことを利用すればいいのに…)
だがこんなところが、久志のいいところなのだ。
アリサは何となく…灯里の気持ちが、わかったような気がした。
 


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