ダンナ様はエスパー？

第8章 私を探さないで…

２２

　　私が何か、知っているわけがないじゃない！
アリサは思わず、言い返したかった。
だが…あまりに久志が、やつれた顔をしているので…
何とかその一言を、口に出すのをこらえた。
だがそれでも十分に、彼が落胆しているようだった。
　みるみるシュンとしおれた顔をする久志を見ると、
何とかして励ましたい、という気持ちにかられる。

「そうねぇ～彼女、引っ込みじあんだったから、そんなに友達は
　多くはないはずよ」
ズバリと言い切る。
「例えば…最近、連絡のあった友人とかは？」
久志の言葉に、アリサは頭をひねる。
（やはりそういうことは…人に言わないものなのかもなぁ）
何とか手がかりが欲しい…そう切実に、久志は思う。　
　だがアリサは、心当たりがなさそうで、これにも当てが外れて、久志は
ガッカリとする。
「じゃあ…学生時代に、仲良くしていたとか…
　あっ、キミ以外に、という意味だよ」
さらにそう付け加えると…
（まさか、元カレの所とかに、行ってないよね？）
ふとそんな考えが、頭にもたげる。

「うーん」
　アリサはさらに、頭をひねる。
（そんな人って…いたかしら？）
幼なじみの灯里のことは、誰よりもよく把握している、と思っていた。
だが…すぐには、思いつかない。
「ちょっと、灯里の部屋、見てもいいですか？」
ついに、奥の手に手を出した。