ダンナ様はエスパー？

第8章 私を探さないで…

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「えっ」
　3人の女が、ピタリと久志に視線を向ける。
「さぁ、どうだっけな！」
久志がとぼけてみせると、
「トイレ、借りるよ」
そう言うと、サヤカの返事を待たずに、そそくさと部屋を出る。

「変な人！」
　久志の後ろ姿を見て、思わずアリサがつぶやく。
「ね、やっぱりあの人って、エスパー？」
灯里とアリサが顔を見合わせているのを、サヤカが気が付き
「は？」
「なぁに、それ！」
ケラケラと、サヤカが笑う。
「さっ」
アリサが灯里に、手を差し出す。
「えっ…」
戸惑って、灯里はアリサと目を見合わせる。
「何をやってるの？帰るわよ」
クスクスとアリサが笑う。

「帰る？
　帰るって、どこへ？」
ポカンとする灯里に…
「あらっ」
サヤカが口をはさむ。
「そうよ、ここは、ホテルでも、旅館でもないからね！
　早く開けてもらわないと、さすがに困るわ」
キッパリとした口調で、サヤカが灯里を見る。
さらににぃっと、アリサに向かって笑いかける。
（まさか、この2人…結託していたのか、と彼女は
勘ぐったりした。

「灯里のこと…ありがとうございます！」
　久志はこれまでに見たことがないくらい、丁寧にサヤカに向かって、頭を下げた。