ダンナ様はエスパー?

daisysacky

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第10章  捨てる神あれば拾う神あり

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「バカねぇ~」
「そうさ、ボクはバカだ」
 車で連れて行く、と久志が言い張るので、ありがたく乗せてもらう
ことにする。
「そうだ、それがいい」
久志はやけに、強く言う。
「電車は今のキミには、とても危ない。
 転んだら、どうするんだ」
 こうして見ると…エスパーどころか、ただの心配性のオジサンだ。
フフッと灯里が笑うと
「えっ、何か変か?」
まさかの自覚なしだ。
真面目な顔をして、久志が聞く。
「ううん、別に」
何だ、久志さんって…普通なんだ…
 普段の久志の穏やかな姿を見慣れているだけに、何だか意外な気分だ。
「ところで久志さん…陶子さんの家、知っているの?」
そうだ、どうやって行くつもり?
不思議に思っていると、ようやく久志が落ち着きを取り戻し
「それはもちろん!
 教えてもらったからな!」得意そうに言った

 ふいに灯里は、陶子さんが言っていたことを思い出す。
灯里のことは…久志から聞いた、ということを。
(それにしても…久志さん…誰から聴いたの?)
不思議に思う。
それとも、やっぱりアリサなのか?
いや、アリサが知らない、と言っていたから、そうすると…?
(お母さん?)
でも…どうやって?
またもアリサなのか?
アリサ自身は、何も知らない、と言う。

灯里は不思議に思った。
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