90 / 102
第2章
90話 信じたくない
しおりを挟む夕方、地曽田グループに着いた裕二はすぐに社長室に向かった。
よーし!
ムカつくけどここは演技やったるか!!
ノックをして中へ入るとシュンは険しい顔をしていた。
「失礼します」
「スミと一緒にいるのか?」
「は…はい」
「本当にスミとやり直すのか⁈」
「はい」
「どうして⁈お前スミに何をした?」
「ひどいですね~何もしてませんよ」
「じゃあ何で急に⁈スミに会わせろ!本人から話を聞かないと納得できない‼︎」
「スミは地曽田さんには会いたくないみたいです。散々振り回した挙げ句こんな形になって合わす顔がないんでしょう」
「そんな…嘘だ」
「スミは本当に僕とやり直すって言ったんです。泣いて謝ってきましたよ」
「…嘘だろ」
「本当ですよ。初めは僕、離婚届持って会いました。正直もう離婚に応じようと思って…でも出会った時の話や結婚した後の話をしていたらスミから謝ってきました。私が間違っていたと…その場でスミは離婚届を破ったんです」
「そ…そんな…」
「僕のこと愛してるとまで言ってましたよ」
「…信じられない…」
「僕、嬉しくて録音しましたけど聞かせましょうか」
すると裕二は携帯を取り出し再生した。
“裕二のこと…愛…し…て…る…”
「えっ…スミ…」
「本当に言ってるでしょ~嬉しくて録音する為に2回言ってもらいましたので少し照れてる感じですよね」
シュンは頭が混乱していた。
「もし僕たちが離婚したらお義父さんを裏切ることになってたし良かったです。お義母さんも安心されてましたしね」
「…スミと話しさせて欲しい」
「地曽田社長にも色々お世話になったみたいだし、僕は直接スミから話しさせたいんですが本人が断固拒否してまして…本当にすみません」
「家に行ってもいいですか?」
「…スミのこと本当に思うなら、もうそっとしといて下さい。お願いします。僕がスミを幸せにしますので。今まで以上に尽くすつもりです」
そう言って裕二は帰って行った。
スミ…本当なのかよ…
本当にあいつとやり直すのか…?
信じたくない…
納得できないシュンはどうしたらいいかわからなくなった。
シュンは21時過ぎに会社を出るとスミの実家に行った。
「地曽田さん!」
「夜分遅くにすみません」
「どうしたの?スミから連絡きた?」
「スミではなくご主人と会って話しました」
「裕二さんと⁈」
「はい…」
「で?何て?」
「本当にやり直すみたいです」
「それ聞いて…地曽田さんは?」
「正直信じたくありません」
「…そうよね。でもスミが決めた事でしょ」
「ですが…」
「私はスミが幸せならそれでいいの。今まで私はスミを否定ばかりしてきたけど、これからはスミの決めた事は受け入れるつもりよ。だから…」
「え…」
「だからスミのことは忘れてちょうだい」
「、、、、」
「実は私、さっき帰って来たんだけど…スミと裕二さんの様子を見に行ってたの。夕食一緒に食べたけどスミも幸せそうだったわ。後片付けも裕二さん手伝ってたし…2人を見て安心したわ」
「えっ…スミが幸せそうだった…?」
「あなたならもっといい人たくさん居るはずよ」
「あ…あの…失礼します…」
ショックを受けたシュンはしばらく車の中で動けなかった。
スミに電話をかけるが相変わらず繋がらない。
もうあいつと一緒に居るスミを心配しなくていいのか…?
あいつを信用していいのか…?
スミ…俺だってスミが幸せならそれでいい…
だけど…急にスミのこと忘れろって言われても…
忘れられない…
3
あなたにおすすめの小説
偽りの愛の終焉〜サレ妻アイナの冷徹な断罪〜
紅葉山参
恋愛
貧しいけれど、愛と笑顔に満ちた生活。それが、私(アイナ)が夫と築き上げた全てだと思っていた。築40年のボロアパートの一室。安いスーパーの食材。それでも、あの人の「愛してる」の言葉一つで、アイナは満たされていた。
しかし、些細な変化が、穏やかな日々にヒビを入れる。
私の配偶者の帰宅時間が遅くなった。仕事のメールだと誤魔化す、頻繁に確認されるスマートフォン。その違和感の正体が、アイナのすぐそばにいた。
近所に住むシンママのユリエ。彼女の愛らしい笑顔の裏に、私の全てを奪う魔女の顔が隠されていた。夫とユリエの、不貞の証拠を握ったアイナの心は、凍てつく怒りに支配される。
泣き崩れるだけの弱々しい妻は、もういない。
私は、彼と彼女が築いた「偽りの愛」を、社会的な地獄へと突き落とす、冷徹な復讐を誓う。一歩ずつ、緻密に、二人からすべてを奪い尽くす、断罪の物語。
復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。
裏切りの代償
中岡 始
キャラ文芸
かつて夫と共に立ち上げたベンチャー企業「ネクサスラボ」。奏は結婚を機に経営の第一線を退き、専業主婦として家庭を支えてきた。しかし、平穏だった生活は夫・尚紀の裏切りによって一変する。彼の部下であり不倫相手の優美が、会社を混乱に陥れつつあったのだ。
尚紀の冷たい態度と優美の挑発に苦しむ中、奏は再び経営者としての力を取り戻す決意をする。裏切りの証拠を集め、かつての仲間や信頼できる協力者たちと連携しながら、会社を立て直すための計画を進める奏。だが、それは尚紀と優美の野望を徹底的に打ち砕く覚悟でもあった。
取締役会での対決、揺れる社内外の信頼、そして壊れた夫婦の絆の果てに待つのは――。
自分の誇りと未来を取り戻すため、すべてを賭けて挑む奏の闘い。復讐の果てに見える新たな希望と、繊細な人間ドラマが交錯する物語がここに。
夜の声
神崎
恋愛
r15にしてありますが、濡れ場のシーンはわずかにあります。
読まなくても物語はわかるので、あるところはタイトルの数字を#で囲んでます。
小さな喫茶店でアルバイトをしている高校生の「桜」は、ある日、喫茶店の店主「葵」より、彼の友人である「柊」を紹介される。
柊の声は彼女が聴いている夜の声によく似ていた。
そこから彼女は柊に急速に惹かれていく。しかし彼は彼女に決して語らない事があった。
ソウシソウアイ?
野草こたつ/ロクヨミノ
恋愛
政略結婚をすることになったオデット。
その相手は初恋の人であり、同時にオデットの姉アンネリースに想いを寄せる騎士団の上司、ランヴァルド・アーノルト伯爵。
拒否に拒否を重ねたが強制的に結婚が決まり、
諦めにも似た気持ちで嫁いだオデットだが……。
一億円の花嫁
藤谷 郁
恋愛
奈々子は家族の中の落ちこぼれ。
父親がすすめる縁談を断り切れず、望まぬ結婚をすることになった。
もうすぐ自由が無くなる。せめて最後に、思いきり贅沢な時間を過ごそう。
「きっと、素晴らしい旅になる」
ずっと憧れていた高級ホテルに到着し、わくわくする奈々子だが……
幸か不幸か!?
思いもよらぬ、運命の出会いが待っていた。
※エブリスタさまにも掲載
思い出さなければ良かったのに
田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。
大事なことを忘れたまま。
*本編完結済。不定期で番外編を更新中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる