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第2章
97話 安心感
しおりを挟むお昼過ぎに起きたシュンは顔を洗っていた。
同じ頃スミも目を覚まし洗面所に行った。
「シュンおはよう」
「おはよ」
「シュン…後で病院に行こう。傷深いし」
「大丈夫だよ」
そう言いながらも腕を上げようとするとシュンは痛そうな顔をした。
「痛いんでしょ」
「明日行くよ。今日は警察署に行かないと」
「でも…」
「それと…すぐに帰って来るからちょっと待ってて。家に帰って父さんに話して来るから」
「うん…わかった」
「あいつ、行方くらましてるから家から一歩も出ちゃダメだよ」
そう言ってシュンは家に戻った。
「ただいま…父さん」
「シュン仕事じゃないのか⁈昨日は帰って来なかったようだが」
「それが…」
シュンは昨日の出来事を全て父親に話した。
「そっ…それは本当か⁈柳本が火をつけただとっ⁈しかも彼女を監禁してたなんて」
「はい…」
「とんでもない奴だ‼︎で、もちろん柳本は捕まったんだよな⁈」
「…いいえ。行方不明です」
「あいつは逃げたのか⁈どうして捕まえなかったんだ?お前なら捕まえるくらい出来ただろ」
「…彼女を助ける事で精一杯でした」
「あぁ…そうだったな。もう少し遅ければお前も逃げ出せずに火に巻き込まれていたんだからな」
「…はい」
「あいつを早く捕まえないとな。警察には?」
「今日行きます」
「もう警察に任せておけよ。ヤケになってるはずだから、危険だぞ」
「父さん…今彼女を1人に出来ないからしばらく一緒に居ようと思ってます」
「…そうだな。離婚するまでとは言ったけど状況が状況だから仕方ないな。その代わり仕事はちゃんとしろよ」
「もちろんです。ありがとうございます」
「全て落ち着いたら彼女を家に連れて来なさい」
「父さん…」
「彼女の親御さんとも顔合わせしないとな」
「ありがとう」
シュンは急いでスミを迎えに行き一緒に警察署に行った。
2時間ほど事情を説明し、その後はスミの実家に報告し行った。
「じゃあ後は警察が動いてくれるのね?」
「そうです」
「よかったわ」
「お母さん…心配かけてごめんなさい」
「何言ってるのよ‼︎謝るのは私の方よ…気付いてあげられなくて本当にごめんなさい」
「ううん…」
「辛かったわよね…ごめんね…」
母親はスミを抱きしめた。
「それに地曽田さん…スミを助けてくれて本当にありがとう」
「…いいえ」
「あなたはスミの命の恩人よ。命懸けで守ってくれたんだもの」
「お母さん…スミさんのことは僕が守りますので安心して下さい」
「シュン…」
「地曽田さん…ありがとう」
「お母さん、寝てないんじゃない?目が腫れてる」
「…寝ようとしても裕二さんの顔が浮かんで眠れなかった。火をつける前の顔が頭から離れなくて…すごく恐ろしい顔してたわ」
「あいつと外で話したんですか?」
「しばらく話したわ」
「じゃあ…間一髪スミと脱出できたのも、あいつを足止めしてくれたお母さんのおかげですね」
「でも…結局は火をつけさせてしまったわ…」
「…あいつは今どこに居るのかわかりませんが捕まるまでは念の為お気をつけ下さい」
「わかってるわ。会社のお金も持ち逃げしたみたいだし…遠くに逃げたんじゃないかしら?」
「会社のお金を⁈」
「じゃあ…あの後…あいつ‼︎」
「それで…会社は大丈夫なの?」
「何とかするわ」
「何かあればいつでも言って下さい。手助けします」
「ありがとう…」
「それから、あいつが捕まるまではスミさんと一緒に暮らしますので」
「えっ本当?」
「うん」
「そうしてくれると安心だわ」
「じゃ、そろそろ行くね」
「ええ」
「警察から連絡があればすぐにお知らせします」
「わかったわ」
「シュン…まだ16時だから病院に行こう」
「えっ…いいよ、明日行くから」
「病院って?どうしたの?」
「シュン、私を助ける時にケガしたの」
「えっ…どこを⁈」
「大した事ありませんので」
「大した事あるでしょ」
「そうなの⁈地曽田さん病院に行きなさい」
「ほら…シュン行こ!」
「…う…うん」
シュンを病院に連れて行き手当てをしてもらって2人はマンションに帰った。
夜になると心配していた秘書と専務が駆けつけてくれた。
無事を見届けると安心して帰って行った。
シュンとスミはベッドに横になった。
「シュンと一緒にベッドに入るの久しぶりだね」
「そうだね」
「落ち着くなぁ…」
「…俺さ、あいつからスミの言葉の録音を聞かされたんだけど…無理矢理だったんだよね?」
「あ…うん。言ったら離婚届を書くって言われたから。それに私の飲み物に睡眠薬を入れられてて…起きたら家だった…」
「そうだったのか…どこにもアザはないようだけど暴力振るわれなかった?」
「…う…うん」
「それならよかったけど…あいつは許せない‼︎」
「うん。早く捕まって欲しい…」
「もしかしたら俺とスミが逃げ出せずに焼け死んでると思ってるかも知れない」
「そうよね。あの状況だったらそう思うよね…じゃあさすがにもう現れないかな」
「一応気をつけといて。明日から俺仕事に行くけど絶対に1人では外に出ないで」
「うん、わかった」
スミはシュンの腕枕で安心して眠った。
その頃…深くキャップを被りマスクをした裕二は都内の古いホテルに居た。
クソーッ!!
あいつら死んでなかったんだな!!!
放火して実家の近くに潜んでいた裕二はシュンがスミを助け出すところを見ていたのだ。
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