プラグマ２ 〜永続的な愛〜【完結】

101話 騙されたスミ

「どうしてうちの会社の屋上？一体誰が」

「危険ですよ。行かない方が…僕が行きます」

「いいえ私が行きます。証拠をもらって警察に渡します。早く犯人、捕まって欲しいし」

「でも…」

「私1人で行かないと証拠くれないと思うから…1人で行って来ます」

「わかりました。携帯持って行って下さいね。何かあればすぐ行きますので」

「はい。今15時30分…あと30分後か」

「地曽田社長には？」

「今日会うので会った時に話して証拠も渡します」

「わかりました」


その頃シュンは会社に戻っていた。
すると岸田がシュン宛の手紙を持って来た。


「社長宛です。何かバイク便が持って来たみたいです」

「バイク便が？誰からだろ」


シュンは封筒を開けて中身を見た。


“斉藤さんを殺した犯人を知っています。証拠をお渡ししますので17時に柳本グループの屋上に来て下さい”


えっ…どういう事だ…
どうして柳本グループなんだ…


「どうしました？」


シュンは岸田に手紙を見せた。


「犯人を知ってる⁈社長っ！証拠もあるって‼︎よかったですね‼︎」

「だけど、どうして柳本グループに…」

「もしかして犯人を知ってるこの人は柳本グループの人間だったりして…」

「､､､､」


シュンは手紙の筆跡を見返した。


何かこの字…見覚えあるような…


「社長、行くんですか？」

「もちろん行くよ」


シュンが黒川社長に電話をかけようとすると、担当の刑事から着信が入った。


「はい、もしもし」

「地曽田さんっ、車の持ち主が見つかりドライブレコーダーの映像を手に入れました。今、署に戻りましたのでこれから確認します」

「では僕も今からそちらに向かいます」

「社長、どこに行くんですか⁈」

「警察署」

「17時には柳本グループに行かないと」

「近いから大丈夫。じゃ行って来る」


シュンは急いで出て行った。


署に着くと事件当日の映像を探す為、刑事と画面に張り付いた。


16時になりスミは屋上に向かった。
屋上に着くとスーツを着た男の後ろ姿が見えたのでスミは近づいて行った。


「あの…手紙をくれた方ですか？」


その男がスミの方を振り向いた瞬間、驚きのあまりスミの足が止まった。

その男は裕二だったのだ。


「どっ…どうして…あなたが…」

「久しぶりだね～スミ」


スミは走り出し逃げようとしたがすかさず裕二に捕まえられた。


「離してっ」

「17時までここでゆっくり話そうじゃないか」

「どうして17時なのよっ」

「お前の大事な人を呼んでるから」

「えっ」

「驚くだろうな」

「シュンのこと覚えてたの⁈」

「当たり前だ、あいつのことは死んでも忘れねー」

「じゃ…」

「演技に決まってるじゃねーか」


そっ…そんなっ…
シュン！来ちゃダメ！！


スミはシュンに電話をかけようと携帯を取り出したが、裕二に取り上げられて投げ捨てられた。


「おとなしくしてろっ！」