もう同じ事は繰り返さない!

とあ

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私の家は学校から歩いて5分だけど、莉佳ちゃんは家までちょっと距離があるらしく自転車通学だ。今は私に合わせて歩いてくれている。

「それにしても、美咲に彼氏なんて意外だなぁ。若松の言う通り、人は見かけに寄らないね。いつから付き合ってるの?」
「小5からかな?多分。」
「多分って…。同じ小学校なんだよね?今日久しぶりって言ってたけど、あんまり上手くいってないの?」
「うーん、喋らないんだよね。クラス離れてたっていうのもあると思うけど。いつの間にか疎遠になってたなぁ。」
「ふぅん?」

莉佳ちゃんがニヤニヤしながら明後日の方向見てるんだけど、何に対してだろう。
そうだ、莉佳ちゃんには伝えておこう。

「あのね、私、神谷くんとは別れようと思ってるの。」
「へっ!?」

莉佳ちゃんは相当驚いたみたいで、私の方を見て、口を開けて固まった。ちょっとの間を空けて、ハッとした後、真剣な顔になった。

「なんで?」
「私、神谷くんのことが好きとかそういう気持ちが無いんだよね。中学あがって出会いもあるでしょ?神谷くんモテそうだから、私から振らなくてもいずれ私が振られちゃうと思うの。それなら早い方がいいかなって。」
「そんなこと…」

私が言ったことは本当のことだ。この思いに至ったきっかけは夢だけど。莉佳ちゃんは何とも言えなさそうな顔をしてる。そりゃそうだ。今日初めて会って、友達になったばかりの私からそんなことを言われても困るだけだ。

「別れる前にちゃんと話するんだよ?すれ違いとかあるかもだし…」
「うん。」

莉佳ちゃんの優しさに思わず頷く。神谷くんと話すつもりなんて無かったけど、莉佳ちゃんが言うなら話してみよう。それで変わることはないと思うけど。

暫く道に沿って歩くと私の家が見えてくる。

「あそこの壁が茶色いレンガのアパート見える?私の部屋は202号室。今度遊びに来てね。」
「うん!学校近くていいな~。私の家はここから自転車で10分くらいかかるんだ~。
まだまだ話したかったけど、荷物多いし帰るね。また明日!」
「うん!ばいばい」

私が小さく手を振ると莉佳ちゃんは嬉しそうに笑って、自転車に乗って道を進んでいく。
あぁいいなぁ友達。青春だなぁ。これからは人と積極的に関わっていこう。

私は今日の朝見た夢なんてすっかり忘れて青春に浸っていた。
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