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深まる秋
トラップ:後編
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「アダムとノエルには言った事があったかな?私は大学2年の時に一年間カナダに留学したの。それで、事前に知らされてたホストファミリーはホストマザーと娘さんの2人家族なはずだったのに、実際に行ったら息子さんがいた。私より5歳くらい年上で「一人暮らしをするために今お金を貯めてるんだ。」って言って。」
「待って、その息子と?」ノエルが聞いて、ビリーが「黙って聞きなよ。」って笑いながら言った。
私はちょっと笑ってーーもう顔が赤くなっている気がした。「それでーーその息子さん、ジェイクね、彼はよく友達を連れてきた。クリスっていう、さわやかな好青年で、それでよく一緒にBBQをしたり、みんなで外食したりしてるうちに、ある日デートに誘われた。優しくて、とてもいい人で私も大好きだったの。それで、その後に「俺のアパートに来ないか?」って言われて。それでーー。」
「もうちょっと詳しく。」アダムが笑いながら私を励ますように頷いた。
「それでーー」私はここからビリーの目を見て話した。それが一番落ち着いて「演技」ができるって分かっていたから。「アパートに行ったらキスされて、私が、その、初めてだって事を伝えたら、彼は優しく何度か頷いてーーその後は私が痛がらないようにしてくれてすごく優しかった。幸せで、いい思い出かな。」私は言って、ちょっとホッとしてため息をついた。
ビリーは私に微笑んだ。後半はほぼ事実だって知ってるよ、って言うように。
「ビリー、知ってたか?このクリスとかいう男を?」ノエルはからかうように言った。
「うん、まあね。ちらっと聞いたことはある。」ビリーは平然と言った。
「嫉妬した?」
「うん。俺がクリスだったら良かったのに、って思った。」
アダムはビリーの横で笑いを抑えきれなくて、ライルも下を見てクスクス笑っていて、ノエルが怪訝な顔をして「何がそんなにおかしいの?」って聞いた。
「え?ああ、いや、ビリーがーーその、結構嫉妬深いのがおかしくて。」アダムは言った。
「ほら、ノエルの番だよ。」ビリーが言った。
ノエルは信じられないことに、しらばっくれようとした。
「俺はアンナだよ。ずっと大事に童貞を守っていてーー」
「ノエル!絶対嘘だよ、それは。俺は知ってる。結構10代半ばくらいから取っ替え引っ替えいろいろな女の子連れてきてたし。」ビリーは言った。「みんな我慢して喋ったんだから、男らしく喋ってみなよ。」
ノエルはビールを二、三口飲んでちょっと考えて「恥ずかしいな。ーーでも、まあ、絶対にここにいるみんなだけの秘密にしてもらえるならーー。」
「大丈夫。」アダムが言った。
「俺も、信用してもらえると嬉しい。」ライルが言った。
「ーービリーが、ほら、一番酷い発作を起こして入院した時、俺は毎日病院に通ってた。あの時、俺の友達とみんなで遊んでたんだよね?それで、最初から具合が悪そうだったのに、俺がビリーを人数合わせのために無理やり誘った。その罪悪感もあって、毎日会いに行ってたんだけど、実は途中から目的はビリーに会うことじゃなくて、一人の看護師に会うことだった。向こうも俺に惚れてたんだよ、ほら、自慢じゃないけどこの見た目だしーー」ーー「すごい自慢してるよ。」ってビリーが呟いてみんなが笑った。ーー「うるさいな、ビリーは。彼女はちょっと年上だったけどその分色気がムンムンしていて、16歳の俺は毎日ナースステーションに行って彼女と話をしていた。「ノエルはキュートでたまらない」っていつも言ってくれて、俺もほら、まだウブでお年頃だったから、彼女の顔を見るだけでそのーーストレートに言うと勃起していてーー。」
みんなが笑って、つい私も「やだ、ノエル、キモい!」って言った。
「まあね。でも、そんなものだよ。それで、ある日彼女に「ちょっと来ない?」って誘われて、向かった先はーーなんだろう、ガーゼとかの資材が置いてあるような狭い薄暗い部屋で。それで、彼女に手ほどきしてもらいながらーーその、喪失した。」
ビリーは満足そうに頷いて「それってどの看護師?」って聞いた。
「あー・・・それって重要?ほら、プライバシーの侵害じゃない?」ノエルはちょっと気まずそうに言った。
「ちょっと年上って、相手は何歳くらい?」アダムが聞いた。やけに真面目な顔で、逆に私が笑った。
「なんで、みんな興味津々なんだ、困るな。」ノエルはなかなか言わなかった。ちょっと赤くなって。
「ノエルは経験豊富そうだしみんな興味があるんだよ。」ビリーが言った。顔は真面目だったけど、目は楽しそうだった。
「ーー結構年上で43歳だって言ってた。人妻で。ほら、ヘレンだよ。覚えてる?」ノエルはついに喋った。
ミッションの成功にみんなが大笑いして「うわ、マジで、やばくない?」ってアダムが言った。
「ああ、今言うと本当に恥ずかしいけど、でも、当時の俺には熟女でセクシーに見えたんだよ!」ノエルは言った。
「一回だけ?」ビリーが笑いながら聞いた。
「いや、何回かヤッた。彼女の魅力には勝てなくて・・・」
「彼女のっていうより、彼女の身体でしょ?」ビリーが聞いた。
「うん、まあ、そういうこと。ああ、大恥かいた。」ノエルはそう言って、残っていたビールを一気飲みして、もう一瓶開けた。そして、楽しそうに「ほら、ビリー。」ってビリーの背中を叩いた。
「俺は、カエだよ。カエを助けてから初めて会った時に、カエが住んでいたアパートで、だった。」ビリーはちょっと恥ずかしそうに言った。
ノエルは食いついて、「絶対嘘だ。俺はビリーの女性関係には詳しくないけど、俺の経験からするとモテないはずはないし20代半ばまで童貞だったなんてありえない。」ノエルは言い切った。
「うん、だって、嘘だから。」ビリーは平然と言った。
「ーー何が?」ちょっとノエルは戸惑ったような感じで言った。
「ノエルだけに本当のことを言わせるための、罠っていうかーー。ごめん、引っかけた。」
ノエルは私たちの顔を見て、「マジで?」って言った。私はノエルとビリーがケンカでもはじめるんじゃないかと思ってちょっとドキドキしたけど、ノエルは呆れたように笑った。
「ノエルが俺にメーガンのフランス人形のスカートをめくるように仕向けたの覚えてる?子供の時。」ビリーは聞いた。
「ああ。」ノエルは笑った。「なんとなく、覚えてる。あの後ビリーはあの女の子にーー名前は忘れたけどーー「変態ビリー」って呼ばれてた。」
「何それ、それは聞いてなかった。」アダムは大笑いした。
「俺もそれは知らなかったけど、この前アダム達にその話をしたら、ふと仕返しがしてやりたくなって。たまたま先週ライアンに会ったら、「ヘレンとノエルが絶対そういう関係だった」って言うから、これは使えるって思って、みんなに協力してもらった。」
「ーーマジか。みんな完全な嘘?」ノエルは私たちに聞いた。
「どうかな?それは確かめない事にしてるけど、「嘘」でいいってことで喋ってもらった。真実はその人の心の中に留めておけばいいんだよ。」ビリーは言った。
「いや、ビリーは絶対こういう話は人前でしたがらないって思ってたから怪しいとは思ったけど、みんな恥ずかしそうに喋るし、カエも名演技だなーー下ネタ好きも嘘?」ノエルは聞いた。
「嘘に決まってるでしょ!ビリーは、まだ私を罰してる気がする。ーーこの間の事で。」私は言った。
「カエ、そんな事はない。ーーでも、この一ヶ月好きに歩き回れてなくて本当にストレスが溜まってる。これがあと三ヶ月も続くかと思うとウンザリするし、リハビリも泣きたいほどキツいしーーなんていうか周りの人に置いていかれてる気がする。だからこんな事でもしないとやってられないっていうかーーノエル、本当にごめん。」ビリーが言った。
「ああ、別にいいよ。」ノエルはそう言ってビリーの背中を叩いた。「騙された俺が悪い。みんなこの見た目に騙されるんだよね。アダムはもう全部分かってるだろうけど、カエとライルは気をつけたほうがいいよ。」ノエルは笑いながら言った。
「ちなみにーーカエの話はどこまで本当?なんか登場人物が多くてリアルっていうかーー。クリスは実在したの?」アダムが聞いた。
「ああ、うん。実在はしたけどデートしたって所からは嘘。アダムは?シャノンは実在したの?ライルのアニーは?」
私は聞いた。
アダムは「俺の話は全部嘘だよ。ーー酔って余計なことまで喋らないようにした。」って言った。
「アニーは実在したけど、なんていうかそこまではいかなかった。性的関係になる前に別れたって言えばいいかな。」ライルは言った。
「それなのに二人とも下半身が反応したとか言ってーーその時点で気がつくべきだった。真の男ならもっとはっきり言うものだよ。」ノエルが言ってみんなが笑った。
「ビリーの話は本当に嘘?」アダムが聞いた。「俺はビリーの大学時代を知ってるから言うけど、ちょっと疑わしいと思う。」
「マジで?俺はその辺を詳しく知らないから確信は持てないけど、でも、まさかーー。」ノエルはビリーを見た。
ビリーは顔色一つ変えないで「どうかな。ご想像にお任せするよ。ちょっとトイレ。」って言ってトイレに向かった。
「あー、面白かったな。」ノエルはそれから声を落として「今度リベンジしなきゃ。ビリーに吐かせるんだよ。」って言った。
「ああ、どうかな。ビリーが嫌がりそう。」アダムが言った。
「ライルは?」ノエルが聞いた。
ライルは笑いながら「うーん、まあ、興味はあるけどーー」って言った。
「ノリが悪くてつまらないな。」ノエルは私を見た。
私は苦笑いした。
「帰ろうかな。楽しかったよ、カエ、誘ってくれてありがとう。」ライルは笑った。
「ううん、ごめんね、茶番に付き合ってもらってありがとう。」私は言った。
「俺も帰る。」アダムが言った。
ビリーは戻ってきて「ライル、ありがとう。」って言った。「ディナー、楽しみにしてるから。」って。
私とビリーはアダムとライルを見送って、それからまたテーブルに戻った。
あんなにビールを飲んだのにさっきまでと一転して、ノエルは真面目な顔をして考え事をしていた。
そして、「ビリーは置いてかれていないよ。」って言った。
「何が?」ビリーは言った。
「さっき、周りの人に置いてかれている気がして、こんなことでもやらないとやっていられない、って言ってたけど、それに付き合ってくれる仲間がいるじゃん?みんなビリーの事を気にかけてるし、力になってやりたいってきっと思ってる。俺だってメルボルンにいたなら、毎日助けにきてやりたい。ビリーは控えめで優しくていつも周りの人に愛されていたし、その点で俺はビリーをずっと尊敬してきた。俺は多分、注目されたかったんだよ。だからヘレンにたぶらかされた時に浮かれてあんな事になった。あのあたりは母さんたちもビリーのことばかり心配していて、俺もちょっとーーなんていうかバカみたいだけど嫉妬してたし。寂しかったんだと思う。」
「ーーなるほどね。」ビリーはちょっと笑った。「寝ようかな。ノエルもゆっくり休んで。おやすみ。」
そう言ってゆっくり立ち上がって寝室に向かった。
「待って、その息子と?」ノエルが聞いて、ビリーが「黙って聞きなよ。」って笑いながら言った。
私はちょっと笑ってーーもう顔が赤くなっている気がした。「それでーーその息子さん、ジェイクね、彼はよく友達を連れてきた。クリスっていう、さわやかな好青年で、それでよく一緒にBBQをしたり、みんなで外食したりしてるうちに、ある日デートに誘われた。優しくて、とてもいい人で私も大好きだったの。それで、その後に「俺のアパートに来ないか?」って言われて。それでーー。」
「もうちょっと詳しく。」アダムが笑いながら私を励ますように頷いた。
「それでーー」私はここからビリーの目を見て話した。それが一番落ち着いて「演技」ができるって分かっていたから。「アパートに行ったらキスされて、私が、その、初めてだって事を伝えたら、彼は優しく何度か頷いてーーその後は私が痛がらないようにしてくれてすごく優しかった。幸せで、いい思い出かな。」私は言って、ちょっとホッとしてため息をついた。
ビリーは私に微笑んだ。後半はほぼ事実だって知ってるよ、って言うように。
「ビリー、知ってたか?このクリスとかいう男を?」ノエルはからかうように言った。
「うん、まあね。ちらっと聞いたことはある。」ビリーは平然と言った。
「嫉妬した?」
「うん。俺がクリスだったら良かったのに、って思った。」
アダムはビリーの横で笑いを抑えきれなくて、ライルも下を見てクスクス笑っていて、ノエルが怪訝な顔をして「何がそんなにおかしいの?」って聞いた。
「え?ああ、いや、ビリーがーーその、結構嫉妬深いのがおかしくて。」アダムは言った。
「ほら、ノエルの番だよ。」ビリーが言った。
ノエルは信じられないことに、しらばっくれようとした。
「俺はアンナだよ。ずっと大事に童貞を守っていてーー」
「ノエル!絶対嘘だよ、それは。俺は知ってる。結構10代半ばくらいから取っ替え引っ替えいろいろな女の子連れてきてたし。」ビリーは言った。「みんな我慢して喋ったんだから、男らしく喋ってみなよ。」
ノエルはビールを二、三口飲んでちょっと考えて「恥ずかしいな。ーーでも、まあ、絶対にここにいるみんなだけの秘密にしてもらえるならーー。」
「大丈夫。」アダムが言った。
「俺も、信用してもらえると嬉しい。」ライルが言った。
「ーービリーが、ほら、一番酷い発作を起こして入院した時、俺は毎日病院に通ってた。あの時、俺の友達とみんなで遊んでたんだよね?それで、最初から具合が悪そうだったのに、俺がビリーを人数合わせのために無理やり誘った。その罪悪感もあって、毎日会いに行ってたんだけど、実は途中から目的はビリーに会うことじゃなくて、一人の看護師に会うことだった。向こうも俺に惚れてたんだよ、ほら、自慢じゃないけどこの見た目だしーー」ーー「すごい自慢してるよ。」ってビリーが呟いてみんなが笑った。ーー「うるさいな、ビリーは。彼女はちょっと年上だったけどその分色気がムンムンしていて、16歳の俺は毎日ナースステーションに行って彼女と話をしていた。「ノエルはキュートでたまらない」っていつも言ってくれて、俺もほら、まだウブでお年頃だったから、彼女の顔を見るだけでそのーーストレートに言うと勃起していてーー。」
みんなが笑って、つい私も「やだ、ノエル、キモい!」って言った。
「まあね。でも、そんなものだよ。それで、ある日彼女に「ちょっと来ない?」って誘われて、向かった先はーーなんだろう、ガーゼとかの資材が置いてあるような狭い薄暗い部屋で。それで、彼女に手ほどきしてもらいながらーーその、喪失した。」
ビリーは満足そうに頷いて「それってどの看護師?」って聞いた。
「あー・・・それって重要?ほら、プライバシーの侵害じゃない?」ノエルはちょっと気まずそうに言った。
「ちょっと年上って、相手は何歳くらい?」アダムが聞いた。やけに真面目な顔で、逆に私が笑った。
「なんで、みんな興味津々なんだ、困るな。」ノエルはなかなか言わなかった。ちょっと赤くなって。
「ノエルは経験豊富そうだしみんな興味があるんだよ。」ビリーが言った。顔は真面目だったけど、目は楽しそうだった。
「ーー結構年上で43歳だって言ってた。人妻で。ほら、ヘレンだよ。覚えてる?」ノエルはついに喋った。
ミッションの成功にみんなが大笑いして「うわ、マジで、やばくない?」ってアダムが言った。
「ああ、今言うと本当に恥ずかしいけど、でも、当時の俺には熟女でセクシーに見えたんだよ!」ノエルは言った。
「一回だけ?」ビリーが笑いながら聞いた。
「いや、何回かヤッた。彼女の魅力には勝てなくて・・・」
「彼女のっていうより、彼女の身体でしょ?」ビリーが聞いた。
「うん、まあ、そういうこと。ああ、大恥かいた。」ノエルはそう言って、残っていたビールを一気飲みして、もう一瓶開けた。そして、楽しそうに「ほら、ビリー。」ってビリーの背中を叩いた。
「俺は、カエだよ。カエを助けてから初めて会った時に、カエが住んでいたアパートで、だった。」ビリーはちょっと恥ずかしそうに言った。
ノエルは食いついて、「絶対嘘だ。俺はビリーの女性関係には詳しくないけど、俺の経験からするとモテないはずはないし20代半ばまで童貞だったなんてありえない。」ノエルは言い切った。
「うん、だって、嘘だから。」ビリーは平然と言った。
「ーー何が?」ちょっとノエルは戸惑ったような感じで言った。
「ノエルだけに本当のことを言わせるための、罠っていうかーー。ごめん、引っかけた。」
ノエルは私たちの顔を見て、「マジで?」って言った。私はノエルとビリーがケンカでもはじめるんじゃないかと思ってちょっとドキドキしたけど、ノエルは呆れたように笑った。
「ノエルが俺にメーガンのフランス人形のスカートをめくるように仕向けたの覚えてる?子供の時。」ビリーは聞いた。
「ああ。」ノエルは笑った。「なんとなく、覚えてる。あの後ビリーはあの女の子にーー名前は忘れたけどーー「変態ビリー」って呼ばれてた。」
「何それ、それは聞いてなかった。」アダムは大笑いした。
「俺もそれは知らなかったけど、この前アダム達にその話をしたら、ふと仕返しがしてやりたくなって。たまたま先週ライアンに会ったら、「ヘレンとノエルが絶対そういう関係だった」って言うから、これは使えるって思って、みんなに協力してもらった。」
「ーーマジか。みんな完全な嘘?」ノエルは私たちに聞いた。
「どうかな?それは確かめない事にしてるけど、「嘘」でいいってことで喋ってもらった。真実はその人の心の中に留めておけばいいんだよ。」ビリーは言った。
「いや、ビリーは絶対こういう話は人前でしたがらないって思ってたから怪しいとは思ったけど、みんな恥ずかしそうに喋るし、カエも名演技だなーー下ネタ好きも嘘?」ノエルは聞いた。
「嘘に決まってるでしょ!ビリーは、まだ私を罰してる気がする。ーーこの間の事で。」私は言った。
「カエ、そんな事はない。ーーでも、この一ヶ月好きに歩き回れてなくて本当にストレスが溜まってる。これがあと三ヶ月も続くかと思うとウンザリするし、リハビリも泣きたいほどキツいしーーなんていうか周りの人に置いていかれてる気がする。だからこんな事でもしないとやってられないっていうかーーノエル、本当にごめん。」ビリーが言った。
「ああ、別にいいよ。」ノエルはそう言ってビリーの背中を叩いた。「騙された俺が悪い。みんなこの見た目に騙されるんだよね。アダムはもう全部分かってるだろうけど、カエとライルは気をつけたほうがいいよ。」ノエルは笑いながら言った。
「ちなみにーーカエの話はどこまで本当?なんか登場人物が多くてリアルっていうかーー。クリスは実在したの?」アダムが聞いた。
「ああ、うん。実在はしたけどデートしたって所からは嘘。アダムは?シャノンは実在したの?ライルのアニーは?」
私は聞いた。
アダムは「俺の話は全部嘘だよ。ーー酔って余計なことまで喋らないようにした。」って言った。
「アニーは実在したけど、なんていうかそこまではいかなかった。性的関係になる前に別れたって言えばいいかな。」ライルは言った。
「それなのに二人とも下半身が反応したとか言ってーーその時点で気がつくべきだった。真の男ならもっとはっきり言うものだよ。」ノエルが言ってみんなが笑った。
「ビリーの話は本当に嘘?」アダムが聞いた。「俺はビリーの大学時代を知ってるから言うけど、ちょっと疑わしいと思う。」
「マジで?俺はその辺を詳しく知らないから確信は持てないけど、でも、まさかーー。」ノエルはビリーを見た。
ビリーは顔色一つ変えないで「どうかな。ご想像にお任せするよ。ちょっとトイレ。」って言ってトイレに向かった。
「あー、面白かったな。」ノエルはそれから声を落として「今度リベンジしなきゃ。ビリーに吐かせるんだよ。」って言った。
「ああ、どうかな。ビリーが嫌がりそう。」アダムが言った。
「ライルは?」ノエルが聞いた。
ライルは笑いながら「うーん、まあ、興味はあるけどーー」って言った。
「ノリが悪くてつまらないな。」ノエルは私を見た。
私は苦笑いした。
「帰ろうかな。楽しかったよ、カエ、誘ってくれてありがとう。」ライルは笑った。
「ううん、ごめんね、茶番に付き合ってもらってありがとう。」私は言った。
「俺も帰る。」アダムが言った。
ビリーは戻ってきて「ライル、ありがとう。」って言った。「ディナー、楽しみにしてるから。」って。
私とビリーはアダムとライルを見送って、それからまたテーブルに戻った。
あんなにビールを飲んだのにさっきまでと一転して、ノエルは真面目な顔をして考え事をしていた。
そして、「ビリーは置いてかれていないよ。」って言った。
「何が?」ビリーは言った。
「さっき、周りの人に置いてかれている気がして、こんなことでもやらないとやっていられない、って言ってたけど、それに付き合ってくれる仲間がいるじゃん?みんなビリーの事を気にかけてるし、力になってやりたいってきっと思ってる。俺だってメルボルンにいたなら、毎日助けにきてやりたい。ビリーは控えめで優しくていつも周りの人に愛されていたし、その点で俺はビリーをずっと尊敬してきた。俺は多分、注目されたかったんだよ。だからヘレンにたぶらかされた時に浮かれてあんな事になった。あのあたりは母さんたちもビリーのことばかり心配していて、俺もちょっとーーなんていうかバカみたいだけど嫉妬してたし。寂しかったんだと思う。」
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