ビリーと私のオーストラリアDiary

Kaede

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引っ越し準備と仲間

人生を変えた人①

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私にとって、私の人生を変えた人は前にも書いた通り、高校時代の英語の先生、それからもちろんビリー。でも、よく考えると実はもう1人いるかもしれない。大学時代にオーストラリアへの語学研修を後押ししてくれた大学のオーストラリア人の先生。名前はミッチェル。ちょっとシャイで遠慮がちな笑顔がかわいい先生で、研究室に遊びにいくといつも壁に貼ってあるシドニーのポスターを指さして「僕のふるさとだよ」って自慢していた。オーストラリア訛りの英語が耳に心地よくて、どんな英語でも喋るととても誉めてくれた。彼がいなかったら、私はそもそもシドニーへ研修に来ることもなく、そしてシドニーへ来る事がなかったなら、もしかしたらワーホリ先を選ぶ時にオーストラリアを選ばなかったんじゃないかって思う。いろんな運命が交差して私をここに導いた訳だけれど。

とにかく抜糸は無事に終わった。朝から私はまた少し緊張していて、病院へ行く頃には心臓がドキドキしていた。ビリーはそんな私の緊張を感じ取ってか、駐車場に入れた後に「大丈夫だよ。」って抱きしめてくれた。
チクリと「抜糸だけで大泣きしないでね。」って言いながら。
私は頷いて「今日も診察室に一緒に行ってくれる?」って聞いた。
ビリーはためらいもせず「いいよ。」って言ってくれた。
ジョンは「ああ、ビリーは同伴か。指は?大丈夫?」って聞いた。
「大丈夫じゃない。手術までした。」ビリーは言った。
「大変だったね、この前何も言わなかったからそこまでだとは思わなかった。もう君たちは院内で「伝説」になってる。大人で診察室まで誰かが一緒に来たのは初めてだ、って。」ジョンは笑いながら「でも遠慮しないでまた何かあったら来てね。」って言って私もビリーも顔が真っ赤になった。
抜糸はチクチクはしたけど、そんなに痛くはなくて、それよりもビリーが興味深そうに覗き込んでいるのが恥ずかしかった。人の口の中なんて見たい人はそんなに多くはないと思うけど、やっぱりその辺がお医者さんなんだな、って思った。「よし、これで終わりだよ。まあ、歯磨きは強くこすったりしなければ普通にしてもいいし、ご飯も普通に両側で噛んで大丈夫だよ。良かったね、無事に治って。ーービリーの奥さんになるの?」ジョンは聞いた。
「その予定、かな。」私は笑った。
「ああ、そうなんだ?幸運だね。この顔と体型がーーしばらく会ってなかったけど最後に会った時より男らしくなったっていうか、更に磨きがかかっててビックリした。いい女性に出会えたからかな?」ジョンが言った。
「まあね。」ビリーは頷いて私を見た。
「ビリーも親知らず、痛くなったらおいで。。」ジョンは笑った。
「大丈夫だよ。俺は真っ直ぐ生えてるってかかりつけ医に言われてるから。」ビリーは苦笑いした。
「何かの標本にしたいような顎だからね。羨ましいな。何かの研究する時には使。」ジョンは言った。
ビリーは笑って「ああ、いいよ。」って言った。
それから、私たちはハンバーガーをテイクアウトして帰った。
「あー、安心しちゃった。ビリーのおかげかな。ーーあんなに怖がらないでもっと早く相談すれば良かったって思ってる、本当に。」私は言った。
「でしょ?そうすればお互いに嫌な思いをしないで済んだのに、本当に、なんていうか、面倒くさいな、カエは。」ビリーは笑った。「ーーで?あとは怖いのは何があるの?」
「ーー眼科と耳鼻科。」私は言った。
ビリーは笑って「今後の参考に、よーく覚えておくよ。」って言った。
「ビリーは?何が怖いの?」私は聞いた。
「俺はーーなんだろう?喘息の発作が起きた時に薬が効くかが怖い、かな。どういう時に効いてどうなれば効かないのかがよく分からないから。いつ大きな発作になってどんなに苦しむのかが予想できないのが怖い。ーーあとは何も怖くない。いつだって助けてくれるって分かってる人達がいつも周りにいてくれるから。何かあった時に頼る事ができるって分かってる人達が傍にいてくれるから。俺を無条件で愛してくれる人達がこの世界にいるって分かってるから。ーーカエはもちろんその一人だよ。知ってる?」
「ーーもちろん。」私は頷いた。
「昼寝でもしようか?当直前にちょっと寝ておきたいし。」ビリーは言った。
ね。」私は笑った。
私たちはベッドに行って昼寝をした。一時間くらい。安心したからか私もぐっすり眠っていて、起きたのは午後の2時過ぎだった。ビリーはまだ子供みたいにスヤスヤと寝ていて、私はビリーの胸に手をおいた。それでビリーは目を開けて時計を見て「ああ、もうこんな時間か。」って言って私を見た。
そしてーー左肘で体を起こすと右手を私の顔に当ててキスをしてーー久しぶりに舌を使った濃厚なキスーー「カエ、自分で服脱げる?手がーー」って言って、私は自分で服を脱いでビリーの服も脱がせた。もうビリーは勃起していて、私の乳首を舌で刺激しながら指を入れて動かしてきた後で「ああ、左肘だけで支えるのがキツイな。」ってボヤきながら挿入してきてーー私は一週間ぶりの快感に「ああ、ビリー」って声を出さずにはいられなかった。
ビリーはキスをしながら何度も奥まで突いてきて、最後はほぼ同時に・・・呻き声をあげて私はビリーにしがみついた。
ビリーはしばらく動かなくて「ああ、ヤバいな。」って私を優しく見つめた後で「もっとカエと一緒にいたいけど、仕事に行かなきゃ。」って言ってシャワーを浴びに行った。私は流れ出てくるビリーの精液を拭き取ったあとでビリーの後からシャワーブースに入って後ろから抱きついてーービリーは最初ビクッとしたけど振り向いて「何?寂しくなった?」って笑いながら聞いて、私は頷いて口でビリーのペニスを刺激してーービリーはシャワーを止めて気持ち良さそうに何度も呻き声を出した後でーー今度は後ろから入ってきてーー。
終わった後は「本当に時間がヤバい」って言って、急げるだけ大急ぎで仕事に行った。
「カエもちゃんと戸締りして、何かあったら連絡するんだよ、愛してる!」って言って。
私も「ビリーも、気をつけて行ってね。また明日。」って言って見送った。
一人になった後は進めなければいけない翻訳の仕事を夜中までして、眠りについた。

その翻訳の仕事をライルに送ったのは月曜日の朝だった。私はその日、運転免許証の申請をしに行って視力検査を受けたりして、それから語学学校に行った。
「カエ、アダムには後で連絡しておくけど、うちでやるパーティーの件木曜日でどう?」ジェイミーが聞いた。
「うん、大丈夫だよ。ビリーも金曜日休みだからちょうどよかったかもしれない。」私は言った。
「ビリーは?手の怪我はどうなの?」スティーブンが言った。
「うんーーリハビリがキツイって嘆いてる。手も足もだから、かわいそうで。」私は言った。
ビリーは日曜日に仕事から帰ってきてから「リアムが出勤してたから仕事のついでに経過を見てもらったら、ちょっと動かしてみようかって言われて試したら死ぬほど痛くてーーこれからこれが続くと思うと本当にキツい。痛すぎて吐き気がする感じ分かる?ーー疲れたから寝る」って夜ご飯も食べないで6時過ぎに寝てーーこの月曜日の朝も具合があまり良くなさそうだった。
「ああ、かわいそうだな。」ケビンが言った。
「それでね、カエーーお願いがあるんだけど。」ターニャが言った。
「何?」私は言った。
「私、オリーと来週旅行に行くために一週間お休みとるの。それで、カエに授業を変わってほしい。」
「えええええ!」私の反応にみんなが笑った。
「全部じゃないよ、二コマ分くらい。忙しい?どう?」スティーブンが言った。
「うん、まあ、できなくはないけどーー」私は言った。
「じゃあ、お願い。初級コースだからそんなに頑張らなくていいよ。テキストと何かカエのオリジナルの話題とかそんなので。前回も上出来だったみたいだから任せる。」ジェイミーが言った。
「ターニャ達はどこに旅行に行くの?」私は聞いた。
「ニュージーランド!ホビット庄見に行ってくる!」
「やだ、素敵。」私は言った。
「あれ、カエもトールキン好き?」ターニャが言った。
「うん。まあね。映画は全部見てる。かわいいよねー、ホビットの村。後で写真みせてね!」私は言った。

私はみんなが授業に行ってから、何をやろうか考えた。またちょっと気が重かった。
私が大学でやったように海外ドラマとか映画を使った英会話の授業も面白いかもしれない、後は歌を使った授業。でも私がみんなの前で歌うなんてだしーーって考えていて、ふと思いついた。「フォニックス」って。今度ライルに会った時にちょっと知識を借りてやってみるのも面白いかもしれない、って思った。語学学校では単語の発音は教えてもフォニックスまでは教えないはずだから面白いじゃないかと思って。
タイミングよくその時私のスマホが鳴って、それはライルからの返信のメールだった。
「翻訳レビューの件だけどカエが学校休みならお昼前はどう?お昼一緒に食べようよ。」って書いてあって、私は「OK!11時半でどう?場所は後で教えて。」って返事を書いた。
その夜ビリーが帰ってくると私は免許証の件とパーティーの件を話した。
「ああ、なんかアダムが帰り際に留守電聞いてて、聞いたよ。木曜日の6時からとかで家の場所も教えてもらった。木曜日に抜糸することになったから、また痛みで具合悪くならないといいなって思って。まあ、でも行くつもりだから。」ビリーは言った。「あ、それと明日アダムと帰りに段ボール持ってくる。いい?」
「うん、分かった。ちょうど休みだから良かった。実は、ターニャが来週オリーと旅行に行くとかで、また代理の授業頼まれちゃって・・・。本当に嫌なんだけど、まあ、仕事だし断れなくて。」私は言った。
「へえ、すごいじゃん。何やるの?」ビリーは聞いた。
「迷ったけど今日考えててフォニックスを教えようかと思って。明日ライルに会うから詳しく聞いてきてそれをそのまま教えようかな。」私は言った。
ビリーは笑って「いいんじゃないの。いっぱい助けてもらえばいい。詳しいだろうし。」って言った。
「うんーーいっぱいやる事あって忙しいな。仕事も、授業の用意も、引っ越し準備もだし、宿題と論文もだしーーああ、なんか押しつぶされそう。」
「大丈夫、カエなら出来るよ。無理だけはしないで。今、病院でもインフルエンザとか流行ってるから。」
「やだ、そうなんだ?ビリー、うつされないでね。」私はちょっと心配になった。
結局はインフルエンザのせいで引っ越しまでバタバタするんだけど、その前に書く事がいっぱいあるからそれは後回しにしようと思う。人生、急いでもいいことはないから。
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