ビリーと私のオーストラリアDiary

Kaede

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引っ越し準備と仲間

引っ越し準備⑤

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私たちが戻るとロフトではもう一つのベッドも出来上がっていてーー
「すごい!アダムは大工さんみたいに上手だね。」私は言った。
「でしょ?結構父親がそう言うのやる人で小さい時に見てたから、一応やり方は知ってる。ビリーも手が使えれば結構できるはずなんだけど。」アダムが言った。
「ライルも上手いよ。椅子組み立ててるの見て思った。俺は、物心ついたときには父がいなかったし、あまり知識がなくて、今のアパートに引っ越した時も本当に苦労した。何日もできなくて、結局兄をシドニーから呼んでやってもらったんだけど。」スティーブンは言った。
「離婚?」ライルは聞いた。
「ああ、うん。」スティーブンは頷いた。
「俺の両親もだよ。でも、俺は継父が日曜大工をやるのを見てきたから、組み立てたりペンキを塗ったりは出来るかな。スティーブンもシドニー出身?」ライルが聞いた。
「俺はキャンベラだよ。兄がシドニーに今住んでるっていうだけ。ビリーのお兄さんと一緒でカンタス航空に勤めてるんだけど。」スティーブンが言った。
「なるほど、そうなんだ?俺はシドニー出身で、大学卒業と同時にメルボルンに来たんだ。彼女の故郷でね。」ライルが言った。そして、思い出したように「ああ、ビリー、そういえばクラリッサは引っ越しの日来れないと思う。シフト変えて欲しいって言われたって言ってて。救急でもインフルエンザが流行ってきてて、欠勤とか出てるみたいで。」って言った。
「ああ、会えなくて残念だな。人手は足りるから心配しなくても大丈夫だよ。今度、落ち着いたら夕食にでも招待するから。内科は逆にちょっと落ち着いてきた感じ?」ビリーはアダムに言った。
「うん、そうかもしれない。ーーっていうか、冷める前にお昼食べよう。」
アダムの一声で、私たちはキッチンのアイランドカウンターに移動したーービリーはまたロフトからの階段を降りる途中で酷く咳き込んで危うく階段から落ちそうになって、ライルが支えてくれた。
「ああ、ライル、ごめん。ありがとう。」ビリーは息を切らせながら言った。
「危なかったな。せっかく足はほぼ治ってきてるからーー大事にしないと。」アダムが言った。
ビリーは頷いて「リアムにはーー」また咳き込んで「軽いジョギングもしていいって言われてるんだけど、これじゃあなかなか再開できそうにないな。」って首を振った。
「俺も最近ジョギングしてる。ちょっと体を絞ろうと思って。アルバートパークの周りを毎晩走ってる。」って言った。
「へえ、あの辺に住んでるの?近いな。」ライルが言った。
「そうそう。セント・キルダに近い方なんだけど。ライルは?」スティーブンが言った。
「俺はずっとリッチモンドにいたんだけど、ちょっと前に彼女と同棲を始めて、まあ、すぐ近くだけど、バーンリーに引っ越ししたんだよ。」ライルが言った。
「ああ、さっきの会話の感じだと彼女はビリーたちと同じ病院に勤めてる?看護師さんか何か?」スティーブンが聞いた。
「救急センターの看護師なんだよ。最高に優しくてかわいい。あれならまた救急センターに運ばれたいって感じの。」アダムが言った。
「やだ、アダム!」私は笑った。
「ごめん、椅子がないから立食だよ。適当に食べて。アダム、半分食べない?俺、一個は食べられる自信ない。」ビリーが言った。
「ああ、いいよ。俺が食べるから食べられるだけ食べて。」アダムが言った。
「あれ、どこかに包丁があるはず。」私が言った。
「いいよ、別にそのままで。ーーーライル達、ドン引きする?」アダムが聞いた。
ライルとスティーブンは笑って「ちょっとね。」って言った。
「ジェイミーなら「気持ち悪い!」って言うと思う。」スティーブンが笑った。
なんだかんだ言いながらもビリーも3分の2くらいは食べて、残りをアダムが食べた。
「引っ越しの日はどのくらい来るの?」スティーブンが聞いた。
「兄と、今いる3人と、ジェイミー達はーー5人?オリーも来るって言ってたし。あと、病院の軍団が2人。」ライルは「おじさん」に反応して笑っていた。「ーー十分足りるはず。家電系は明日カエと見に行って来週俺が休みの時に運んでもらうし、あとはアパートから運ぶ荷物だけだから。」ビリーは言った。
「アパートと家と二手に分けないと。」アダムが言った。
「うん。その辺はーー」ビリーはまた咳き込んで「ーー後で考える。とノエルとジェイミー達はアパートの方やってもらって、こっちでは俺たちがーー俺はたいして何もできないけどーー作業しようかな。悪いけどお昼は各自持参。終わった後は一応、ピザと飲み物を用意しようかなって思ってるから、スティーブンもみんなに言っておいてもらえると助かる。」って言った。
「分かった、伝えておくよ。」スティーブンが言った。
「あとは?アパートの方はまだまだ箱詰めとかしなきゃないよね?」ライルが聞いた。
ビリーはまた激しく咳き込んでいて、私は代わりに「バスルームとか洋服とか、お皿とかね。今日少しは持ってきたけど、まだ使うのもあるし、来週末あたりかな。」って言った。
「ーーうん、あとは俺が当直明けとかの時に少しずつやるよ。アダムの助けを借りて。」ビリーは言った。
「俺も手伝うよ。本当、全然構わないから。」ライルは言った。
スティーブンも「俺も行くよ。ビリー、本当に無理しないほうがいい。まだまだ苦しそうだし、引っ越しの時に元気でいてもらわないと。」って言った。
「そう?じゃあ、お願いしようかな。」ビリーは言って、また咳き込んでしゃがみ込んだ。
アダムはカウンターを周って見に行って、「大丈夫?水でも飲む?」って言ってシェイクが入っていた紙コップに水を汲んで飲ませてあげてーービリーは「あー、喉が死ぬほど痛い。これ、本当参る。引っ越しまでに治さないと。」って言った。
「じゃあ、あとカーテンつけるよ?」アダムが聞いた。
「ああ、うん。アダムとライルはブラインドやってもらえる?俺とスティーブンはカーテンつけるから。」
ビリーはそう言うと右手で踏み台を持ってきて、「何か一つくらいは自分でやらないと。」って言って、スティーブンに手伝ってもらいながら自分でカーテンを付け始めて、私は金具をつけたりした。カーテンがつくと「家」らしくなってーーちなみに私が選んだ植物柄のカーテンーー、その後も何ヶ所かカーテンをつけた。それから、ブラインドをつけ終わったアダムに天井から吊るすライトとかの照明器具をつけてもらってーー「今日はここまでかな。」ってビリーが言ったのは4時過ぎだった。
「本当に助かった。みんな本当にありがとう。お礼は後でさせてもらうから。」ビリーは言った。
「いいよ、そんなの。気にしないで。次は来週末でいいの?」ライルが聞いた。
「うん、大丈夫。」ビリーは言った。
「じゃあ、カエ、その前に仕事よろしくね。次のレビューの時はランチ奢るから。」ライルは笑った。
「わあ、嬉しい!本当にありがとうね。気をつけて帰って。クラリッサにもよろしく。」私は言った。
「俺も帰るよ。あれ、アダムは金曜日来る?読書会。」スティーブンが言った。
「ああ、行くつもり。急患とかなければの話だけど。よろしく。」アダムが言った。
「スティーブンも気をつけてね。本当にありがとう。」私は言った。そして、「アダム、ちょっと寄らない?本読み終わったから返したいんだけど。」私は言った。
「うん、じゃあ行く。ビリーは?夕食は?何か買ってくる?」アダムが聞いた。
「ーー食欲ないな。うーん、寿司とか?アダムも食べて行って。」ビリーは言った。
「じゃあ買ってから行くよ。ちょっと自分の買い物もしたいから、時間かかるかも。」アダムは言った。

ビリーは疲れたのか帰ってからずっとソファでゴロゴロしていて、アダムがきた6時前も顔に本を乗せたまま気持ちよさそうな寝息を立てて寝ていた。
アダムはカリフォルニアロールとミートパイと自分用のビールを買ってきてくれて、「なんだ、ビリー寝てるの?」って言った。
「疲れたんじゃないかな?毎晩眠れてないし、もうちょっとだけ寝させてあげよう。時間大丈夫?」私は聞いた。
「全然大丈夫。」アダムは頷いた。
「あ、忘れないうちに本返しておくね。」私は紙袋に入れた本を返した。中には小さなチョコレートの箱も入れていて、アダムはそれを見て「ああ、気を使わなくていいのに。」って言った。
「いいの。いつも助けてもらってるし、ビリーもいじわるばっかり言ってるけど感謝してるはずだから。」私は言った。
「で、本はどうだった?」アダムは聞いた。
「アメリカはどこへ向かうのかって感じかな?自分が大変な境遇で生きてきたのに努力して成功したから、努力しないで文句を言っている人たちに対して「努力もしていないのにーー」って言えるんだと思う。確かに自分の境遇で物事を諦めるのはもったいないよ。でも、実際は努力しても実らない何かってあると思わない?そういう不運な人たちも取り残されないような社会を私は望んでいるからーーなんていうか、この人にそういう人たちのことを考える力はあるのかな、って思っちゃったーー」アダムは頷きながら真剣に聞いていたけど、ここでビリーが起きて「ああ、アダム来てたの。起こしてくれればよかったのに。」って言った。
「今、カエに本の感想聞いてたのにーー本当にタイミング悪く起きるな。ほら、食べよう。」アダムは笑いながら言った。
ビリーは咳き込みながらテーブルに来て、食事をしながら二人は引越しの役割分担の話をし始めた。
「あと、俺たちとノエルの昼食も用意してくれる?手作りじゃなくていいよ。サンドイッチとかでいいから。」ビリーは言った。
「了解。俺がBBQサンドイッチでも作っていってやるよ。」アダムが言った。
「文字通り「最悪の腹痛」にならないようにちゃんと手洗いして。」ビリーが言って二人は笑った。
「どうする?ノエルは何時に来るの?」アダムが聞いた。
「この前メールした感じだと午後かな。半日休みもらって、早めに来るとは言ってた。」ビリーは言った。
「ああ、俺その日休みだからカエと迎えに行こうかな。そして、そこで暴露大会を夜にやってビリーに童貞喪失の秘密を語らせようと思ってるって言ってその気にさせておけばーー。」
「じゃあ、頼もうかな。俺、ちょうど午後に、ほら、看護師の研修会があって一言喋るの頼まれてたから。嫌だな、この声だったら。」ビリーはまた咳き込んだ。
「うん、そして、カエとアパート片付けたりしながらビリーとライルの到着を待ってーー作戦開始だな。一芝居うつけど、カエは知らないフリして「私は下ネタもOKよ」みたいな感じでお願い。ライルにもどんな猿芝居でも笑うなって言っておいて。」アダムは言った。
私は笑って「分かった。」って言った。
「あと、腹痛ネタは真実を言おう。この前みたいなウソじゃなくて。別に大便関係じゃない腹痛でもーー」
「アダム!ますます食欲なくなるから汚い事言うなよ。」ビリーは苦笑いした。
「一応つもりだったんだけど。まあ、いいや。考えておいて、ってライルに言っておいて。」
「うんーーそういえば、温泉旅館予約したよ。」私は言った。
「混浴?」アダムが聞いた。
「ううん、でも客室露天風呂付き。」私は言った。
「うわー、すごいな。めっちゃ楽しみ。二部屋?」アダムは聞いた。
「一部屋。いいでしょ?別にみんなで泊まれば楽しいんじゃない?」私は言った。
「俺、邪魔じゃない?ほら、ビリーがカエと二人で過ごしたいんじゃ・・・」アダムは言った。
「何いまさら言ってんの」ビリーは笑った「大丈夫だよ、この前はちょっと嫌味を言った。アダムがーーいつも頼りになってかっこいいから一瞬魔が差した。ライルに暴言を吐いた時と一緒で、体調が悪いと幼稚になってーー悪い癖なんだけど。俺、多分アダムに彼女ができてそっちばかりに構われると寂しいかもしれない。」ビリーは笑った。
「大丈夫だよ、ビリー。俺は何を言われても一生ビリーの近くにいると思う。呼ばれればいつだって来るよ。」アダムは言った。
「アダムの彼女は私と同じでこの友情を理解してくれる人じゃないとキツイよね?」私が言って二人は笑った。
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