改訂版 草凪ときつねの思い出ごはん。

ちはやれいめい

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ねこまたの章

15 白くて冷たくて甘いものを、作ってみる

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 お姫さまが食べものをくれた、ということで姫がいない時代に入ってきた食べものはハズレだ。

 じだいげきで、きれいなキモノをきた女の子が姫と呼ばれているのを見たから、江戸時代には姫がいる。


 江戸時代かそれより前の時代のおやつであることを考えると、あんにんどうふ、プリン、ナタデココはちがう。

 アイスクリンなら、どうかな。ギリギリ大丈夫かもしれない。
 


 検索してみたら、日本人がアイスクリンを知ったのは江戸時代末期。

 徳川幕府の使節団しせつだんはアメリカに渡ってアイスクリン(アイスクリーム)を食べている。

 明治二年にはよこはまでアイスクリンのせいぞうと、販売がはじまった。
 江戸時代から明治はじめのお姫さまもアイスクリンを食べれなくはない……よね?



 つまり! 正解は、アイスクリン! 君だ!



「ふっふーん、見つけちゃったもんねー!」

 私は自宅キッチンの冷ぞう庫から牛乳とタマゴを取り出して、たなからのツボをだし、はなうたをうたう。

 図書館で借りてきた本に、昔ながらのアイスクリンの作り方がのっていた。

 しかも今回は、父さんにも母さんの力を借りずにたどりついた。
 ひとりでレシピを見つけたし、材料もそろってる。


 「今回は父さんと母さんの力を借りなくても、私だけで見つけられた。探偵の才能あるんじゃない私!」


 雪路と小町は私の足もとに並んですわり、ふしぎそうに私を見上げている。

「マコト。何をしておるのだ? カレーか?」
「ちがうよ。アイスクリンを作るの。小町の食べたいものはきっとこれだよ」
「あいす、くり? わがはいにはわからぬが、うまい栗か」

 小町の目が期待きたいでキラキラする。

「栗じゃないよ。アイスクリン」

 アイスクリンはスーパーやコンビニでも売っているけれど、材料は今と昔じゃちがうからね。
 当時の材料で作れば味もきっと近づくよね。

 ボウルにタマゴを割り入れて、泡立て器でとく。

 それからうらごしして、ナベにいれたら牛乳と合わせて泡立て器。

 さとうを足してひたすらまぜる。
 うまく作れたら食堂くさなぎの新メニューにしてもいいよねー。

 大きめのボウルには塩をふった氷を用意して、その上に金ぞくのボウルをおく。

 氷で冷やされてすぐにボウルが冷たくなった。
 ここにアイスクリンの液を入れる。

 スプーンでまぜていけばだんだん凍ってくると書いてある。

 ムラにならないようにまぜていって、うまくアイスっぽくこおった!

 やるじゃん私!


「できたよ、小町。アイスクリン!」

 小皿にのせて小町の前に出すと、小町はちょっとだけなめて首をヨコにふった。

「ちがう。わがはいがひめにもらったのは、これではない」

「……ちがうの?」

 アイスクリンでもないぜいたくなものってなんなんだよー!?

 がっくりとへたりこむ。
 自信あったのに、ハズレと気づいたショックは大きい。

 「……うぅ、やっぱり父さんたちの力を借りなきゃだめなんだなぁ」

 有力だったこうほがへって、いよいよわからなくなっちゃった。
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