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ねこまたの章
17 平安時代にできて、現代にはできないこと
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お店の片付けが終わってから、私は父さんと母さんにほうこくした。
「そうか。小町の食べたいものはかき氷なのか。たしかに、凍らせたものって昔の人にとってすごくぜいたくな食べものなんだよな。冷ぞう庫があるのが当たり前になりすぎて、考えたこともなかった」
「わたしもよ。かき氷っていうのはいがいだったわ」
まさか今の時代でも、夏のおやつとして食べているかき氷だなんて。
かき氷だとわかったのはいいれど――問題は、あまづらだった。
「あまづらってなんなのーーー? 料理の本にのってないんないんだけど」
「調べましょう。手分けすれば早いわ」
母さんがスッとノートパソコンを立ち上げる。
「俺は植物の本を探してみるかな」
「私はスマホで探すー」
家族みんなで手分けしてしらべていく。
私はスマホでキーワードを入れて、ヒットするサイトをかたっぱしから開く。
【奈良時代から室町時代に使われていた甘味料。
さとうが手に入らない時代では、水あめと並んで使われていた。】
【ブドウ科のしょくぶつのツルを煮つめて作ったとされている。】
【江戸時代に海外からさとうをゆにゅうするようになってからは、すたれていった】
【どのようにして作ったのか、文けんはのこされていない】
三人でいろんなじょうほうをかき集めて、一ついえることは『小町が食べたあまづらと同じものにはならない』ということだった。
平安時代の人がどのツルからどうやってあまづらを取り出し作っていたのか、こんなに科学がはったつした現代の日本でもわかっていない。
それってふしぎ。
昔よりもできることがたくさんあるはずなのに、昔の人でないとできないこともある。
世の中には毒をふくむしょくぶつもあるから、シロウトが下手に「そこらの木を切ってシロップを作ってみよう!」なんてすると命にかかわる。しょくぶつのプロでもむずかしいことだから、ぜったいためすなとすら書かれている。
パソコンを見ていた母さんが声を上げた。
「あ! 見て誉さん、マコト。奈良の大学で研究して、あまづらとにたような成分のシロップを作ったっていう報告がのっているわ。おとりよせもできるみたい」
「それためそうよ!」
「決まりね。問い合わせてみる」
パソコンのまわりにあつまっていた雪路と小町は、じっと私たちを見上げている。
「草凪。つくれるのか?」
「うん。きっとできるよ。ただ、ちょっととどくまで何日かかかるから待っててくれる?」
「あいわかった!」
思い出の味が楽しみなようで、小町のつぶらなひとみがキラキラかがやいた。
小町が求めていた白くて冷たくて甘いもの、食べられるまであと少しだ。
「そうか。小町の食べたいものはかき氷なのか。たしかに、凍らせたものって昔の人にとってすごくぜいたくな食べものなんだよな。冷ぞう庫があるのが当たり前になりすぎて、考えたこともなかった」
「わたしもよ。かき氷っていうのはいがいだったわ」
まさか今の時代でも、夏のおやつとして食べているかき氷だなんて。
かき氷だとわかったのはいいれど――問題は、あまづらだった。
「あまづらってなんなのーーー? 料理の本にのってないんないんだけど」
「調べましょう。手分けすれば早いわ」
母さんがスッとノートパソコンを立ち上げる。
「俺は植物の本を探してみるかな」
「私はスマホで探すー」
家族みんなで手分けしてしらべていく。
私はスマホでキーワードを入れて、ヒットするサイトをかたっぱしから開く。
【奈良時代から室町時代に使われていた甘味料。
さとうが手に入らない時代では、水あめと並んで使われていた。】
【ブドウ科のしょくぶつのツルを煮つめて作ったとされている。】
【江戸時代に海外からさとうをゆにゅうするようになってからは、すたれていった】
【どのようにして作ったのか、文けんはのこされていない】
三人でいろんなじょうほうをかき集めて、一ついえることは『小町が食べたあまづらと同じものにはならない』ということだった。
平安時代の人がどのツルからどうやってあまづらを取り出し作っていたのか、こんなに科学がはったつした現代の日本でもわかっていない。
それってふしぎ。
昔よりもできることがたくさんあるはずなのに、昔の人でないとできないこともある。
世の中には毒をふくむしょくぶつもあるから、シロウトが下手に「そこらの木を切ってシロップを作ってみよう!」なんてすると命にかかわる。しょくぶつのプロでもむずかしいことだから、ぜったいためすなとすら書かれている。
パソコンを見ていた母さんが声を上げた。
「あ! 見て誉さん、マコト。奈良の大学で研究して、あまづらとにたような成分のシロップを作ったっていう報告がのっているわ。おとりよせもできるみたい」
「それためそうよ!」
「決まりね。問い合わせてみる」
パソコンのまわりにあつまっていた雪路と小町は、じっと私たちを見上げている。
「草凪。つくれるのか?」
「うん。きっとできるよ。ただ、ちょっととどくまで何日かかかるから待っててくれる?」
「あいわかった!」
思い出の味が楽しみなようで、小町のつぶらなひとみがキラキラかがやいた。
小町が求めていた白くて冷たくて甘いもの、食べられるまであと少しだ。
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