異世界日帰り漫遊記

御結頂戴

文字の大きさ
1,038 / 1,264
空中都市ディルム、繋ぐ手は闇の行先編

45.そこに在ると気付かなければ1

しおりを挟む
 
 
 
   ◆



 翌日。
 何事も無くベッドの上で目覚めて、つつがなく朝食を終えた俺達は、早速犯人の手がかりを探そうと思い部屋に戻って準備をしていた。

 昨日は部屋に戻って来てからは何事も無く眠れたけれど、やはりというなんというか、ブラックには「何も有りませんでした」は通用するわけもなく。何者かがまた襲って来た時にと思いカバンの中身を確認していた時に、背後から「ねえ」と声を掛けられ、俺は思わずぎくりと体を強張らせてしまった。

「ツカサ君さあ、なんか隠してない?」

 ああ、ホラきた。
 まあな、そりゃそう思うよな。

 昨日の夜帰って来た時に、どこに行ってたのって聞かれたもんな……。
 心配させたくなかったから「トイレ行くついでに散歩」って言っちゃったけど、それで罷り通るんなら今までも嘘が突き通せていた訳で。

 あの時の「ふ~ん」という返しは、やはり時間を置いて再び尋問するための小休止だったのだ。これはもう、話さなければ外にも出して貰えないだろう。
 しかしどう言ったものか。

 事実を話すのは良いんだけど……俺自身よく解らない方法で連れて行かれそうになった訳だし、ブラックも自分が気付かない間に連れて行かれたって知ったらなんか落ち込みそうだし……うーん、よし、そこは臨機応変に話そう。

 どのみち、ライムライトさんが教えてくれた事だって話さなきゃ行けないんだ。
 こう言う事は黙ってたら余計に拗れるって俺は知ってるからな。
 ブラック達が自分を責めるような事は極力避けて、起こった事を伝えよう。

 ……という訳で、俺は“ちゃんと話してくれないと離さない”と言う大義名分のもと、ブラックの膝に拘束されて、昨日の夜の事を話す羽目になってしまった。

 上手く話せるか不安だったが、最早話す事を止める事は出来ない。
 ごほんと咳払いをして、俺は今まであった事をぽつぽつ話し始めた。

 ――昨日の夜、真宮の庭を散歩をしていたら、ブラックの姿をした妙な存在に拉致されかけ、危うい所で気付いた俺をライムライトさんが助けてくれた。その彼が、エメロードさんについての話をしてくれて、エメロードさんも俺を助けに来てくれたらしく、その場に駆け付けてくれていた……と、まあ、そう言うような事を二人に伝えた。

 俺を膝の上に乗せて話を聞いていたブラックは、むう、と唸りながらも俺の事を抱き締めて、なんだか納得いかないような唸り声を出した。

「ツカサ君、それホント? ホントにそれだけ?」
「う、嘘は言ってないぞ」

 実はどうやって外に出たか解らないって事も、エーリカさんと一緒じゃ無かったって事も話していないが、事実は話したつもりだぞ。

「相手はそんなにブラックに似ていたのか」

 真正面に椅子を持って来て座っているクロウに問われて、俺は素直に頷く。

「最初は俺も頭がぼやけてたし夢現だったから、解らなかったんだ。でも、近付いて手を握られたら、ブラックの手と違うし……なんか……とにかく、変だって思って……だから、逃げようとしたら相手があ、あ、あんな……こ、こわっ、いや、怖くは無かったけどな!? でもその、おかしいって言うかそのっ」
「え~ツカサ君怖がってたんじゃないの~? おしっこちびっちゃったんじゃない?」

 さっきまで唸り声を出していたと思ったら、ブラックは何を考えやがったのか、俺の股間に思いっきり手を突っ込んで急所を握ってきやがった。

「ひあ゛あっ!? やっ、ばかっ、変な所に手ぇいれんな!!」
「ん~……この感じならやらしい事はされてないみたいだね。良かったぁ」
「だっ、ばかっ、やだっ揉むなばかぁ……ッ!!」

 人が真面目に話してるのに、何でお前はそうエロオヤジ丸出しの事をするんだ!
 つーかちびったってなんだよ、今触って分かるわけねーだろゴルァア!

「ねえ、ツカサ君……他に隠してる事あるよね?」
「ッ、さっ、きのは……っ、ほ、ほん、と……」
「だが隠している事は有るだろう。ツカサは隠し事をしているとすぐ分かるぞ」
「うぅっ、ぅ……ッ」

 クロウまでそんなこと言うなんて。
 でも、困るよ。だって、せっかくブラック達のプライドを立てようとして内緒にしようと思ってたのに、これで正直に話したら間違いなくお前らも落ちこむじゃないか。

 どうにか止めたくてブラックの腕を引き抜こうとするけど、でも、太腿の間に挟まった太くて筋肉が付いた腕は、まったく動かない。それどころか、俺の急所を手で包んだまま柔く揉み上げたり、擦ったりして、俺の事を追い詰めて来た。
 そんなことされたら、誰だって我慢出来なくなる。

 自分の股間に熱がこもって来た事を自分自身でも感じるのが恥ずかしくて仕方なくて、俺は眉間に皺を寄せながらも必死にブラックの腕を引き抜こうと頑張った。
 でも、そんな事が出来ていれば、膝の上になんて乗せられてない訳で……。

「ツカサ君のココ、なんだか熱くなって来たね……? もしかして、ズボンの中はもう濡れちゃってたりするんじゃない?」
「ム……やらしいニオイはするな……」
「やだっ、やだっやっ、ぁ、あぁあ……! 顔近付けるなぁあ……!」

 クロウはわざとらしく体を曲げながら、俺の股間に顔を近付けて来ようとする。
 例え俺の愚息が涎を垂らしていなくとも、今はブラックのせいで確実に熱がこもっているんだ。そんな事をされたら、また変な事を言われてしまう。

 昼間どころか朝からえっちな事をするのは流石に嫌だし、このまま流されたら、また無駄に時間を使ってしまう。何より、ドアの向こうにはエーリカさんが要るんだ。
 こんなの絶対に知られたくなかった。
 だけど、嫌だと首を振ってもブラックはのんびりした声で俺を詰るだけで。

「ツカサ君がこの期に及んで隠し事するからだよ? 正直に話してくれていれば、僕だってこんな意地悪せずにちゃんと話を聞いてあげるのに」
「だっ、ぇ……っ、だ、ってぇ……」
「何をそんなに嫌がっているんだ。話せないような事でもされたのか?」

 クロウに言われて、首を振る。そうじゃない。
 でも……言わないと、このまままたえっちな事をされるし……。

「ぅ……うぅ……だ、だって……」
「だって?」

 言ったら、落ちこむんじゃないのか。そう言いたいのをぐっと堪える。
 そんな直球で言ったら、余計に話がややこしくなるじゃないか。
 でも、結局言わなきゃ行けないのなら……その……。

「…………怒ったり、落ちこんだりしないって……約束、する……?」

 俺が何を言っているのか解らなかったのか、ブラックとクロウは一瞬動きを止めたが、それぞれに頷いた。
 じゃあ、まあ……言わなきゃいけないわけで……。
 仕方ないから、俺はいつの間にか真宮の庭に居たことも話した。
 自分でも本当にどうやってあの場所に居たのか解らなかったと。

「……なるほど、僕達が『ツカサ君をちゃんと守れなかった』と落ちこむと思って言わなかったと……」
「…………ぅう……」

 存外落ち込んでない……やっぱ俺の自意識過剰だったかな……。
 いや、落ち込んでないならそれでいいんだけど。そう思った途端。

「んんんんツカサ君たらもぉおお可愛いぃいいい~!! 僕が落ちこまないようにって隠そうとしてただ何てなにそれっ、もぉおツカサ君僕の事好きすぎじゃない!? こっ、興奮するんだけどっ、ツカサ君たら朝から僕を興奮させてなんて悪い子なんだっ!」
「オレ達の自尊心を思いやってくれたなんて、なんと出来た嫁だ……ツカサ……」

 背後からぎゅうっと抱き締められたと思ったら、クロウの顔がキスするんじゃないかってくらいに近付いて来て、俺はどちらに意識をやればいいのかわからず、混乱しながら一気に熱を上げてしまった。

「つっ、つ、ツカサ君、やっぱり今ここでセックスしよっねっ、ねっ!」
「ツカサ……オレも興奮してしまったぞ……。責任を取って、オレのモノもちゃんと手で鎮めてくれ……」
「思ってた反応と違うぅうう!!」

 ねえっ、ふ、普通さ、感動するなら抱き締めるまでで止まるもんじゃないのっ。
 優しいねツカサ君は……みたいな言葉で止まるもんじゃないの!?
 なんで二人とも変な所が興奮してるんだよおおお!!

 思わず嘆いて二人を押しのけようとするが、例によって全然二人を退散させる事が出来ない。ああもうっ、こんな事してる場合じゃないのにぃ!

「もう時間ないんだぞ!? えっちなことしてる場合じゃないだろぉお!!」
「でも切羽詰まってる時だからこそ息抜きってした方が良くない!?」
「お前らのイキヌキは余計なモンまで抜きすぎるんだよ!!」

 頼むからTPOを考えてくれと俺が泣き喚くと、やはり「二日目」という事も有ってか、さすがに二人もそのままセクハラを続けるのは考えたらしく、動きを止めた。

「うぅん……でも、特に手がかりとかはないんだろう? ライムライトって奴が言ってた事も別に情報と言えるような物じゃ無いし……」
「しかし、ラセットに会いに行けと言っていたのだろう? それはどうなんだ」

 自分も興奮していたくせに冷静な顔をして言うクロウに、ブラックは不機嫌そうな鼻息を背後で漏らすと、深く息を吐いた。

「はー……お預けお預けおあずけで気が滅入るなあもう……」
「なんだこのくらい。早く犯人を見つければ良いだけだろう」
「ぐぅう……。ああもうっ、終わったら絶対に一日中セックスしてやるーッ!」

 おい恐ろしい事を言うな。
 思わず熱も冷めて青ざめてしまったが、今の状態ではありがたいことだろう。
 気を取り直しつつ、俺は話を勧める為に再び咳ばらいをした。

「と、とにかく……今からラセットに会いに行こう。ライムライトさんがあんなに言うからには、何か重要な意味が有るはずだよ。……なっ。なっ?」

 ラセットに会う事でどうなるのかは解らないが、ライムライトさんは王宮での俺達を今までずっと見ていて、その上で俺達を助けようと思ってくれたんだ。
 だから、何も無いという事は無いはず。きっと何か意味が有るはずだ。

 どうせ行くあても無いんだ。ならば、教えて貰った事を試してみるのも決して悪い事では無いはずだ。時間が無いとは言っても、尋ねるくらいならそう時間はかからないわけだし……ていうか、俺達にはまだヒントすらないわけだし。

 それはブラックも解っていたのか、俺の背後で「ぅう~……」としばし唸っていたが、渋々と言った様子で頷いた。












※うーむ…中々戻せなくてすみませぬ…
 全快のも含めて修正が終わらなかったので明日に…
 
しおりを挟む
感想 1,346

あなたにおすすめの小説

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

身体検査

RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、 選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

カテーテルの使い方

真城詩
BL
短編読みきりです。

身体検査その後

RIKUTO
BL
「身体検査」のその後、結果が公開された。彼はどう感じたのか?

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

R指定

ヤミイ
BL
ハードです。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

男子寮のベットの軋む音

なる
BL
ある大学に男子寮が存在した。 そこでは、思春期の男達が住んでおり先輩と後輩からなる相部屋制度。 ある一室からは夜な夜なベットの軋む音が聞こえる。 女子禁制の禁断の場所。

処理中です...