異世界日帰り漫遊記

御結頂戴

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アコール卿国、波瀾万丈人助け編

19.すべての思いは複雑怪奇

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 かつて、世界は六度めぐりました
 
 一巡いちじゅんする世界は再判定され、失敗と成功に分かれました

 成功、失敗、失敗、成功、判定不能、失敗

 変化によって何度となく繰り返された世界は
 無限の時間によって積み重なり
 不自然を常態化し通常へと成す工程を経て巡ります

 成功を判定する存在は世界の外で監視を行います

 失敗を判定する存在は世界の中で行動を行います


 変わり巡る、それが世界と言う物の輪廻転生であるなら




 不変を望む時

 おそらく、せかいは





-----------------------------------



「ツカサ君、もうすぐ国境の砦だよ」
「…………ん……」

 うとうとしていた所を、肩をゆすって起こされる。
 国境の砦……もう、着くのかな。やっぱ馬車ってすげえ早いよな……。

 目を擦り、まだぼやける顔を手でごしごし擦る。
 そうすると寄りかかっていた壁が急に温かく思えて、俺は寝惚け眼を擦りながら寄りかかっていた壁の方を見た。
 ……なんだこれ。壁じゃないぞ。ていうか、これ。

「うえぇっ!?」

 ぎゃーっ! ぶ、ブラックの肩に寄りかかってた!
 うわあ、よりによってうわっ。

「そ、そんな驚かなくてもいいじゃない……」
「あっ、ご……ごめん」
「キュキュ……?」
「うわ、ロクもごめん、びっくりしたよな……」

 しょぼんとするブラックと半目で周囲を見回すロクに、慌てて謝る。
 撫でてやるとまた寝てしまうロクにホッとしながら、俺はちょっとだけブラックと距離を置いた。いや、別にブラックが嫌いってわけじゃなくてね。

「ツカサ君、どうしたの。何か変な夢でも見た?」
「あ。い、いや……なんかびっくりしただけ」

 そう言って、俺は頭を掻く。
 夢を見ていたのは本当だけど、また何の夢か忘れてしまった。
 失敗だの成功だのって単語だけはぼんやり覚えてて、なんか怖かったような気がするけど……なんだっけ。もしかして体育での体力測定の夢?
 あれ怖かったなあ、別の意味で。

 女子に俺の運動音痴が知られでもしたら、裏で何言われるか解ったもんじゃないもんな。世の中は草食系男子だのなんだのが良いっていうが、あいつらそのくせ俺が運動音痴だと「ダサっ」とか「やっぱ男はそこそこ動けないとねぇ~」とか好き放題言うんだよな。こっちが「好みじゃない」って言うと集団で怒るくせして。
 一対一なら良いけど、数の暴力は卑怯だぞ本当。
 いや、何の話だっけ。……まあいいか。

「ねえねえ、なんでちょっと離れてるの」
「えっ? やだなあこれが俺らのいつもの距離だろ? も~中年で健忘症とか救えないぞブラック! あっはっは」
「……ツカサ君って嘘つく時饒舌じょうぜつになるよね」
「うっ……」

 ば、ばれてーら。
 いやだって、その……おとといから変なのが治らなくて困ってるんだよ。
 あの日――ヘクトの街で、ブラックと一回目の約束を果たした日から、俺は何故だかブラックと引っ付くのが前にも増して苦手になってしまっていた。

 良く解らないけど、肩とか抱かれると凄く恥ずかしくなって、前みたいに平然と出来なくなったと言うか。その、ブラックの手とか匂いとか体温とか、色々間近で感じると、触れてるのに耐えられなくなるっていうか。

 とにかく困るのだ。
 多分、あの夜の事を思い出すからなんだと思うけど……でもさ、普通、真っ裸でぎゅっぎゅしまくったら、触れるだけで嫌でも思い出すよな?
 俺初めてだし、こう言うの知らないけど、多分普通の事……だよな?
 だけどそれがもう恥ずかしくて、布の上からでもブラックのマッパがフラッシュバックしちゃって、なんかもう見てられないのだ。

 でもこんなの正直に言ったら絶対ブラックは誤解するし。面倒なの嫌だし。

 俺も俺でそんな事になっちゃって「あれ、俺マジで変態になりかけてる?」とか思うと絶望しちゃうので認めたくないわけだし。
 それで必死に取り繕おうとしてるんだけど……。うまくいかないなあ。

「ま、いいや。ほら、見て。あの巨大な壁がハーモニック連合国の砦だよ」

 乗合馬車の中、まだ他の人は毛布にくるまって寝ている。
 その人達の先にある馬の背の向こうに、視界を越えて横に伸びる巨大な壁が聳え立っていた。その堅牢そうな姿は、俺の世界にある万里の長城の様だ。

 いかにも古めかしい黄土色の煉瓦を積んで作られた高い壁は、何もない広い草原に似つかわしくない。
 見渡す限りを分断する壁は、まるで世界の果てのようだった。

 あまりにも巨大な建造物に目を丸くする俺に、ブラックは微笑みながら言う。

「ハーモニック連合国は、元々幾つかの小さな国や部族が集まって出来た巨大な国家でね。地域によって法律やしきたりが違うから、色々面倒も有って……だから、面倒事は先に封殺しておこうってことで、アコール卿国との国境はこうして長くて巨大な壁で閉じてあるんだ。まあ、山脈のあたりは流石に作るのも厳しいから、壁はそこで途切れてるけどね」

 ほー、マジで万里の長城とかベルリンの壁みたいな感じなのね。
 地域によって法律が違うっていうのは、ヨーロッパ連合だとか、アメリカみたいなもんだろうか。アメリカは州法ってのが有るんだよな。
 西の端は中世っぽくて、南の端は今っぽいって、なんか変な感じ。

「あ、ちょっと待てよ。地域ごとに法律が違うんじゃ、通行許可とかも地域地域で貰わなきゃダメだったりするのか?」
「いや、それは大丈夫。というか寧ろ、ハーモニックは一番そういうのが楽な国じゃないかな。その代わり、あの国は入るより出るほうが難しいけど」
「え、それってどういう……」

 聞こうとして、砦の方から大きな鐘の音が聞こえる。
 きっと、朝の合図だ。
 耳をぶん殴るかのような大音量に一斉に起き出す乗合馬車の人達に押され、俺の質問はとうとう解答されずじまいに終わってしまった。






 アコール卿国とハーモニック連合国を分断する壁の砦、バルード。
 この壁は巨大なだけではなくとても厚く出来ており、その壁を僅かにくりぬいた場所に関所が存在する。砦の街であるザドでもそうだったけど、ここでも警備兵が乗合馬車から徒歩の旅人まで、逐一身分をチェックしていた。

 ザドの砦ではラスターの威光もあってすぐ通れたけど、今回はそうもいかない。ずらっと並ぶ馬車の列に加われば、チェックされるのに暫し時間がかかる。
 その間に乗客たちは馬車を下りて砦で買い物をする訳だけど……アコール卿国側の街は、わりかし質素であまり目ぼしい物は無い。
 どうやら、砦の街の品揃えは国力に影響されるらしい。

 俺達も馬車を下りて順番を待ちながら、ざっと露店を眺めていた。

「俺らの馬車の順番って、あと幾つラッパが鳴ったらだっけ」
「えーと……二十四回かな。まだまだ時間はありそうだね」

 一つの馬車につき大体数十分かかるから、四時間程度……?
 空港の手荷物チェックだとかは数十分で終わるのに、本当スローライフだよなあこの世界。まあでも、買い物してたら多分それほど長いとは思わないか。

 折角なので、俺達は朝食を取ってから地図屋に向かう事にした。
 街にもいくつか地図屋はあったんだけど、荷物になるし砦で買おうと思ってたんだよな。ってな訳で、居並ぶ露店をざっと見つつ、俺達は地図屋を探した。

 バルードの砦はザドとは違い、全ての店が露店だ。地べたに敷いた布の上に筒だとか籠を置き、そこに商品を盛っている。そういえば、店主もターバンっぽいのを巻いてたり、服が布を重ね着した様な中東っぽい感じだな。
 ほとんどの人がハーモニックの方の服装をしているようだ。
 こういうのを見ると異国情緒って感じするわー。

「あっ、ツカサ君ここだよ、ここ」
「はいはい、いらっしゃい」

 ターバンを巻いて長い黒ひげを整えたおじさんが、地べたに敷いた布の上に紙を山のように積み重ねている。おお、まさしくインド……じゃねえ、ハーモニック人。

「おじさんが地図屋さん?」
「そうさ。お兄ちゃん地図をご所望かい。どこの地図が良いかね……アランベールとオーデルは残念ながら最新版がないんだが」

 アランデール? いや、そんなチーズっぽい名前の国は知らないんですけど。
 あ、そうだ。俺世界地図も買う予定だったんだっけ。
 ついでだし色々聞いてみよう。

「その二つはいらないんだけど……出来るだけ縮尺がまともで細かいハーモニックの地図と、あと……ちゃんとした世界地図ってありますか?」
「はっは、その勢いだと兄ちゃんも地図で苦労したクチだね。そう言う代物は少し高いしまからんが、いいかい」
「信頼性高いなら、多少高価でもいいです……」

 本当、綿兎の森のデカさにはまいったからな……。
 旅の行程をみて覚悟を決めるくらいじゃないと、この先やってけない。
 俺の情けない顔を見ておじさんは全てを察したのか、積み上がった地図の山から何枚かを取り出して俺に見せた。

「全て、稀代の測量士と呼ばれる伝説の英雄……アナンの作った地図だよ。昨年に作られた物では無く、十五年以上も前のものだが……今の所、この男の作った正確な地図の右に出る物はおらん」
「アナン……?」

 その名を聞いた途端、隣で物珍しげに眺めていたブラックの顔が険しくなった。視界の端でそれを見ていた俺は思わず振り向くが、ブラックはただ地図に魅入られているかのように固まっていて、こっちを見てはくれなかった。
 なんだ、どうしたんだろうか。

「すみません、この……この地図を作ったアナンという男は……」

 地図からやっと目を離して店主を見たブラックに、おじさんはとても残念そうな顔をして首を振った。

「ああ、三年前に亡くなったよ。空白の国を測量すると言って出て行って……未知のモンスターに襲われたようでね。獣人たちが亡骸を彼の国へ届けたと、世界新聞で大きく報じられてたよ。まさか、プレイン共和国の英雄が死ぬなんて……本当に惜しい事だ」
「……そう、ですか」

 見つめる横顔は、とても真剣で辛そうな顔をしていた。
 いつものブラックじゃない。これは、多分……昔の、ブラックの顔だ。
 俺が知らない過去を思い出す時にブラックは辛そうな顔をする。
 きっと、このアナンという測量士も、ブラックの過去に何か関係が有ったんだ。
 でも、俺は……それを、聞けない。

「キュー……」
「あ、ああ、そうだな。時間も無いし早くしなきゃ。えっと……おじさん、じゃあ新しいのを買うより、そのアナンさんが作った地図がいいって事?」
「いや、地形と縮尺は正確だが、それだって地形が変わったり国や街が消えちまったんじゃ正確さには欠けるからね。ここは最新の地図と二枚買う事をお勧めする。お兄ちゃん可愛いから、買うならちょっとおまけしちゃうよ?」

 でた、商売上手のおっさん。
 素直に買っちゃうのは癪だけど、それなら安全な旅が出来るかも。
 買わないで後悔するより、買って後悔した方がいいよな。
 アナンさんの地図は割高だったけど、その分最新版の地図を値引いてくれたので良しとする。おまけで「国の位置が解る程度の世界地図ならあげるよ」と、簡易の世界地図も貰ったし、ま、いっか。

 礼を言って地図屋を後にしたけど、ブラックはやっぱり黙り込んだままだった。
 ……なんだよ、いつもは煩いくらいに喋るくせに。
 これ話しかけていいの? でもなあ、普段お喋りな奴って、こういう時に話しかけると怒るしな。雰囲気悪くするのはあんまりやりたくないし……。
 そんな感じで困ってしまって、手持無沙汰にロクの頭を撫でていると、ブラックは不意に頭を上げて俺を見た。

「地図、アレで良かった?」
「う、うん。正確なのが欲しかったし……てか……あんた、大丈夫?」

 恐る恐る訊くと、ブラックは一瞬目を丸くしたが……もう深刻そうな顔はせず、いつもの人懐っこい笑みでにっこりと笑った。

「ああ、大丈夫だよ。ごめんね、変な所みせて」
「それは……別に、いいけど……」
「アナンってのは、昔パーティーを組んでた奴の一人でね。……アナン・レウコン・ダバーブって言って、凄く強い金の曜術師だった」
「え……」

 喋って、いいの?
 思わず面食らった俺に、ブラックは嬉しそうに顔を歪める。

「冒険してても絵を描く事をやめない変わり者でね、あちこち飛び回っては地形を模写してた。若い頃の僕にも、結構よくしてくれたよ。まあ……友人くらいには思ってたかな。でも、まさか死んでるとは思わなかった」
「……なんでそれを、俺に話すんだ?」

 アンタ、過去とか話したくないって言ってたじゃん。
 胡乱な目つきでブラックの無精髭生えまくりな顔を見上げると、相手は何故だかまた嬉しそうにニコニコと笑った。

「ん? 僕の過去の恋人じゃないかって不安そうだったから」
「だぁーッ!! んなことこれっぽっちも思ってないわい!」
「またまたそんな~」
「穴レンコンだか何だか知らんけど、俺はちゃんとした地図買いたかっただけだから! お前の恋愛遍歴とか全然興味ないから!! そういう浮かれポンチな勘違いホントやめてくれないかな!?」
「また饒舌じょうぜつになってるね」
「うっ!! う、うぅう……」

 悔しい、違うと言ってるのに解って貰えないこの悔しさ。
 今日はセクハラされて無いから殴れないし、ジョーゼツだか何だか知らないけど、すぐにこう言い返されるから下手に反論も出来ない。
 本当こいつどんどんタチ悪くなってるぞ。どうすりゃいいの。

「あはは、ほら、機嫌直して。……まあ、でも……ちょっとびっくりちゃったな。僕は五年くらい隠遁生活してたから、その間の世界なんて知らなかったし……」
「……後悔とか、してるのか?」
「ううん。前にも言ったと思うけど、僕はもう過去なんて忘れたいから。それは、アナンの事でも一緒だ。今は君さえいればそれでいい」
「ばっ、ばっきゃろ」

 またそうやって、茶化す。
 思わずロクに噛みついて貰おうと思ったけど――――ブラックの顔が、なんだか寂しがってる子供のように見えて、俺は意気を失ってしまった。

「肩、抱いてもいい?」

 甘えるように上から問いかけてくるブラックに、俺は口を曲げた。

「ヤダ。こんな人前でとか断固拒否する」
「じゃあ、人前じゃない所で。ね」

 またそうやって人の言葉を良いように解釈する。
 本当訳解んない。今寂しそうにしてたと思ったら、こんなこと言い出すし。
 結局過去の事なんて忘れられてないくせに、俺にはあんな鳥肌立つような口説き文句言うって、どういう心境の変化だよ。高低差激し過ぎだろ。
 それとも、明るく振る舞ってるのは強がりなのか?

「アンタ、本当……ワケわかんないんですけど」
「うん。ごめんね、ツカサ君」

 謝りながらどうしてニヤニヤするかな。
 マジで意味不明なんですけど。
 何だかもう喧嘩するのも疲れちゃって、俺は深い溜息を吐くと肩を落とした。

「で、なんだっけ……これからどうするんだっけ」
「乗合馬車は国境近くにある街【バラッカ】で終点だから、とりあえずそこまで行こう。バラッカに着いたら、次の移動手段を探して首都に向かうんだ。世界協定の支部があるのは、首都だからね」

 あ、そうだ。俺達これから首都に行くんだ。
 確か地図上では、ハーモニックの首都【ラッタディア】は南端の海の側にある。そこまで行けば、俺はやっと自分を殺そうとした人と会えるんだ。
 そして……噂の、獣ちゃん達とも!!

「おっと、そーだった! ラッタディア行くんだよな!」
「なっ、なに、いきなり元気になったね」
「えっそう? 気のせいだろ! さあさあそうと決まったらガンガン行こうぜ! 目指すは首都・ラッタディアだ!!」

 首都は巨大な港町でもある。ってことは、そこには他の地域からやって来た獣人やら魔族のお姉さんが沢山いるってことだよな。
 じゃあこんな所でウジウジ悩んでる暇なんかないわっ。
 隣のオッサンより遠くの美女とぱふぱふだ。悩むだけ損損、それよりも楽しい事を考えて生きなきゃな!
 オッサンの胸板より美女のおっぱい。それが今一番大事なことなのだ。

「ツカサ君、ねえ、なんかまた変な事考えてるよね? なんか隠してるよね?」
「よーっし、早くラッパ鳴んねーかなー!」
「キュッキュー!」
「あっ、こらっ、ツカサ君!」

 俺を散々振り回してるんだから、置いていくくらいは別にいいよな。
 ちったあ俺の苦労も考えろってんだ。

 俺の肩の上でウキウキなご様子のロクを愛でながら、俺はブラックを振り切って一足先に馬車へと戻ったのだった。












 
※次はちょっと時間を飛ばしてハーモニック連合国編です
 新たなオッサン攻めは出るのにもうちょっと時間かかります
 
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