異世界日帰り漫遊記

御結頂戴

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裏世界ジャハナム、狂騒乱舞編

  情動

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※ブラックが本気で気持ち悪くなった上に発狂してるのでご注意ください
 直球で内容をいうと、狂喜乱舞してオナってるだけです。ツカサニゲテー
 なお、これを見なくても本編には全く支障が有りません(精一杯の善意)
 あとすみません…二話連続はやっぱり無理だった…('、3)_ヽ)_




 
 
 完璧だった。
 今日の自分は、完全に感情を制御出来ていた。それが誇らしい。
 だがそれも、強烈な衝動を発散させるためのあえての抑制に過ぎない。結局の所、彼の前で「好ましい自分」を演じ切れただけに過ぎないのだ。

 もしあの時、ツカサがもっと体を近付けて来ていたら、ブラックは容赦なく拒否されていただろう。優しい顔をしておいて興奮していたのだと知れれば、ツカサはきっと更に頑なになっていたはずだ。彼の感情が完全に理解出来た今となっては、深追いをしなくて本当に良かったと思う。

 穏やかな気持ちで部屋を出て、自分も他の部屋に引っ込んで鍵をかけた。
 勿論、外に音が漏れないようにするのも忘れない。
 トルベール達に邪魔をされない空間を作ってから、やっとブラックは息を吐いた。

「ハァ……」

 溜息のように零れた息だったが、次第に短く途切れ、笑い声に変わっていく。
 抑えきれない衝動がついに発露して、ブラックは声を上げて天を仰いだ。

「ははは、ハハハハハ!! アハハハッアハッ、はっ、ははははは!!」

 笑う度に抑制した感情が漏れ出していくのが判る。
 喜悦きえつに歪む顔は最早止めようもない。
 ブラックは笑い過ぎて酸欠でふらつく頭を揺らしながら、壁に寄りかかる。だがそれだけでは満足できず、笑いながら壁を拳で叩いた。

「クッ……ふ、ふははっ、あはっ、あははは……やった……やったぞ……」

 壁に額をぶつけ、ブラックは目を見開く。
 額が痛みにうずいたが、それすら感情をあお切欠きっかけにしかならず、ブラックは引き上がった口端を、獣のようにさらに引き上げた。
 その表情は、まるで、獲物をやっと捕まえた獣そのもの。

 爛々と光る狂喜に染まった目を見開き、牙を剥くように口を歪めている様は、とてもじゃないが常人のする表情ではなかった。だが、ブラックはその狂った表情をせずにはいられなかったのだ。

 とても、とても嬉しい事があったから。

「ふっ、ふふっ……もうちょっとだ、もうちょっとなんだね……ねえ、ツカサ君……?」

 壁に両手を突いて、爪を立てる。
 ぎりぎりと爪が食い込んで痛みが走ったが、今はそれすら心地いい。
 にたりと笑って再びひたいを壁に付け、ブラックは低い声で呟いた。

「は、はは……ははは……だめだ……本当に、ほ、ほんとに、おかしころすところだった、あ、あぶな、かったな……あはは、っはは……」

 荒い息は既に熱を帯び、顔が上気してくる。
 先程までの事を思い出すと、どうしても息が荒くなるのを押さえられなかった。

 いや、抑えられようはずもない。ツカサの前で冷静ぶって退散する事が出来たのは、ひとえに彼への愛ゆえだ。いや、寧ろ「ここで感情のままに彼を犯せば、確実に彼を失う」と自分の直感が告げたからかもしれない。

 それほどまでに、ブラックの理性はギリギリの位置で保たれていた。

「あはっ、は……はぁ……ハァ……はは、はっ……う、うれし、過ぎて……ゾクゾクする……っ……こんな、なるんだ……」

 はぁはぁと息を切らせながら見おろすのは、自分の股の間。
 そこはもう跳び出さんばかりに張りつめていて、ブラックは堪え性の無い欲望にまた大きく肩を揺らした。

 無様だ。
 だが、ツカサのあんな姿を見せられては我慢など効かなかった。

「は……はは……っ」

 あの時。
 ツカサがあの路地裏の店から出てきて、ブラックと対峙した時。
 彼の表情が自分を見て強張り、一気に紅潮したのを見て、ブラックは思った。
 いつもと違う。ツカサは、いつもの感情ではない感情で、自分を見たのだと。

 ――まるで、恋をした相手にばったり出会ったかのような顔じゃないか。

 ぼんやりそう思ったブラックに、ツカサは怯えた表情を見せて背を向けた。そうして、何をいう事も無くいきなり逃げ出したのだ。
 まるで、自分の姿を見て欲しくないとでもいうように。

 最初は訳が解らなかった。とりあえず追いかけたが、ツカサが何故赤面して自分から逃げるのかが本当に理解出来なくて、まさかまた強姦まがいの事をされたのかとも思った。

 だけど、彼の足取りはしっかりしている。
 それにツカサは嘘がヘタだ。もし本当に何かあったのなら、ブラックを心配させまいと饒舌じょうぜつになり、いつも以上に笑顔を見せて来るだろう。
 そう。ぎこちなくて、辛そうで、今にも泣きだしそうな顔をして。

 だからあのツカサの行動は、ブラックにとっては予想外の行動だった。
 何も言わずにブラックから逃げるなんてことは、今まで無かったのだ。

「あれは……びっくりしたな……」

 まさか、嫌われたのか?
 そんなバカな。彼は術を掛けられているんじゃないだろうか?

 考えながら追うが、後ろから見えた彼の耳は真っ赤なままで。
 自分の方を一度も振り返らずに小部屋に籠った時は、流石にブラックも困惑してしまった。強姦でも嫌悪でもないのなら、どうして逃げたのか。
 どうして、ブラックの姿を見て顔を赤くしたのか。

 部屋のドアをトルベール達と叩きながら、ブラックは長く思考した。
 その末にトルベール達をていよく追い払って、元気づけようかと冗談めかしながら扉に入って。
 そうして、ツカサが一度自分の顔を見た瞬間。
 ブラックはようやく、彼が何故逃げたのかを完全に理解できたのだ。

「はは、はははっ、僕もバカだよね……に、逃げた時に……気付く、べきだった」

 自分を嘲笑あざわらう独白すら、体内に渦巻く熱を煽る。
 ブラックは壁につけた額を更に押し付けた。

「やっと…………やっと、僕をちゃんと意識してくれたんだよね……?」

 壁の向こうでまだ泣いてるだろう相手に向かって、ささやく。
 震えて上擦った声は、荒い息に邪魔されて気味の悪い声音になっていた。
 こんな声音、ツカサに聞かせていたら完全に嫌われていただろう。変態だのなんだのと罵倒されて、数日触れさせて貰えなかったに違いない。

 だけど、自分は堪えた。耐え切った。
 やっとツカサが自分の気持ちに素直になり始めた事が嬉しくて、興奮してたまらなくて、これからの事を思うと歓喜が溢れ出て。だけどこれからの事を考えて、今の自分が持ちうる最大の薄っぺらい理性で、ブラックは衝動に耐えたのだ。

 ツカサが、やっと自分に振り向いてくれたから。

「長かった……長かったなあぁ……」

 ズボンをくつろげて、最大まで張りつめていた自身を取り出す。
 いつもはむなしい手淫も、今日ばかりは喜びに押されて気にならない。
 ツカサの頭を触った手で握りながら、ブラックは陶然とうぜんと目を細めた。

「はっ……ぁ、あぁ……ツカサ……ツカサ君……っ」

 最初は、受け入れて貰えるだけで良かった。
 こんな自分を認めて、隣に居てくれる事が何より嬉しくて、一緒に居られれば、出来ればその体を抱かせてくれれば、それだけで幸せだと思い込もうとしていた。
 だけど、長く一緒に居る内に願望は欲望へ、執着へと変化して。

 いつしか、ブラックはツカサの全てを手に入れたいと願うようになっていた。

 ――ツカサを抱いている時、時折彼は「まだ求めるのか」と涙を浮かべて自分を見つめる事が有った。「もう許して」と言わんばかりのその目は愛らしかったが、自分の心を見透かされているようでもあって。
 ブラックはその目を向けられる度に激しく興奮したが、それと同じくらい、ツカサが自分に恋や愛などという甘い感情を抱いていない事を痛感して辛かった。

 手に入れたい。
 虜にして、縛り付けて、喉が擦り切れるほど「好き」と言わせたかった。
 だが、そんな凶行が出来るはずもなく。だから、ブラックはただ自分の気持ちを伝え続けた。

 待つとは言ったが、本当は不安で、いつ置き去りにされるかと怖くて仕方なくて、おいそれと手を出す事が出来なかった。だから、半ば諦めていたのだ。
 嫌だと言いながらも共に行動してくれて、抱く事すら許してくれる相手に、これ以上何を強要するのかと。
 抱き着く事を許されてるだけでもありがたいのだからと。
 でも諦めきれなかったから、いつも約束を持ち出して強引に抱いていたのだ。

 しかし、それが急に変わり始めた。
 あのアコール卿国での出来事が、ツカサに変化を与えたのだ。

 ツカサ自身気付いてなかっただろう。それはそうだ。あの少年は背伸びをしているが、まだ他人の強い感情に曝された事のない無垢な存在なのだ。
 ブラックに好きだと言われただけで赤くなるのに、恋をした事が有るなどと言うのはちゃんちゃらおかしい。自分は世間一般的な恋愛はしていないだろうと顧みるブラックですら、ツカサは初心な子供だと思っていた。

 そんな彼が、自分を意識した。
 裸で抱き合ったあの夜から、ツカサはブラックに戸惑いを見せ始めたのだ。

 今でも覚えている。
 ブラックの肩にもたれて寝ていた彼が、起きた時に慌てた事を。

「あはっ……あ、あれ、は……良かったなぁ……っ」

 荒い息を吐き、血管の浮いた醜く猛々しい自分の分身を擦りあげる。
 ツカサの事を考えながら手淫をするのは、これが初めてではない。それどころか数えきれないくらいやった。何度も何度も、ツカサの乱れた姿を思って白濁で手を汚している。ツカサが寝静まった後で、彼の寝顔を見ながら。
 同意も得ずに触れた後の事を考えると怖くて、だから、数えきれないほどの夜をツカサの事を想いながら乗り越えた。

 でも、それも、もうすぐ終わるのだ。

「はぁっ、はっ、はぁあっ、あ……ツカサ君、ツカサくっ、ツカサ君……っ」

 全部、全部覚えている。
 ブラックに抱き締められた時に鼓動が早くなることも、とても嬉しそうな表情になる事も、不安な時に優しくすれば他の誰に慰められるよりも安心して笑ったり、ちょっとしたキスにだって過剰に反応して顔を真っ赤にしていた事も、全部。
 旅をする内に、彼は明確に、自分に対しての態度が変わっていった。

 殴らなくなった。照れ隠しが過剰になった。徐々に甘えてくるようになった。
 抱き締めても何も言わなくなって、ブラックの前で泣いてくれるようになって、ブラックが安心させるような言葉を言うと、素直に安心してくれて。
 約束もしてないのに、この前はセックスだって許してくれた。
 ツカサは己の気持ちを理解できないまま、ブラックを受け入れ始めているのだ。

「あぁあ……可愛い、かわいっ、ははっ、可愛い、可愛いよツカサくん……!」

 判らないんだね、可哀想に。
 君はこんな最低な男を意識して、抱かれてよろこんでいる。
 最初はあんなに僕を拒絶してたのに、今じゃ君は僕に抱き締められる事が大好きになってるんだよ。僕が抱き締めたら安心して眠るようにまでなってしまった。
 可愛い、可哀想、可愛くてたまらない。

「ごめ、ね……ごめんねっ、こんなっ、こんな……最低な男に……っ」

 こんなに最低な自分が純真な少年を貪りつくして籠絡ろうらくさせたのだと思うたびに、ブラックの劣情は際限なく盛り上がって行った。

 彼の無知極まる優しさに付け込んだ。異世界にたった一人落とされた彼の寂しさに付け込んだ。それは認めよう。自分は彼に恋焦がれるあまり、この世界での彼のになる事で、彼の信頼を勝ち取ったのは事実なのだから。
 孤独を怖がった少年を、そのよすがで釣って強引に抱いたのだ。

 きっとツカサはその事すら「自分が絆されたから」と思っているだろう。だが、そうではない。これはブラックが明確に彼を手に入れたいと思って、策をろうした末の事なのだから。

 あの時から。
 初めて出逢ったあの時から、ずっと、ブラックはツカサが欲しかった。

 だって、自分には何もなかったから。
 何もなかった自分を受け入れてくれたのは、ツカサだけだったから。

 体だけじゃない。
 心も全て奪って、ずっと自分の傍に居て欲しいと思っていたのだ。
 だから、今までずっと、待っていると言いながらずっとツカサのそばに居た。
 彼の無垢な心をゆっくり染めて、自分を好きにならざるを得なくさせるように。
 ずっと、この時を、待っていたのだ。
 彼の明るい未来を壊してしまうとしても、ずっと。

 ……これを最低と言わないのなら、強姦すら善意の奉仕だろう。

 それを理解しているからこそ、ブラックは興奮せずにいられなかった。

「はっ、ぁ、あ……っ、くっ……」

 この猛りきった熱を、早く受け入れて欲しい。
 浅ましく涎を垂らし慈悲を欲しがる欲望を、「好きだから」と言って呑み込んでほしい。ブラックが望むのではなく、ツカサ自身が望んで、このブラックのどうしようもない熱塊を柔らかな体内で包んでほしいのだ。

 二度や三度と言わない。もう我慢はしなくていい。何度も何度も打ち付けて精を放ってドロドロにして失神させるまで犯して良いと、そこまで受け入れて欲しい。
 愛しているからこその欲情を、全て受け止めて欲しかった。

 その時こそが、ツカサが自分から逃れられなくなったと確信できる時。
 ブラックが本当に歓喜できる時だ。

「つかさっ、ツカサ君……っ、あ、っう……ツカサ君……っ」

 無様で格好のつかない水音を思う存分響かせながら、壁の向こうでまだ淡い感情に翻弄ほんろうされている少年を想う。

 自分の一挙手一投足いっきょしゅいっとうそくに顔を赤らめ、戸惑って、ブラックを意識するがゆえの体の高揚に混乱して、離れてくれとすすり泣いていた。

 恋情をそれと認識できないがゆえに苦しみ、力ない声で懇願するあの姿は、例えようもない程に艶やかで欲を煽る姿で。自分の為に今も苦しんでいるのだと思うと、こうして欲情するのも仕方のない事だった。

 ああ、今思い出しても、心が躍る。

「はやく……早くっ、気付いて……気付いて、ツカサ君……っ!」

 こんな最低な男を、早く好きだと言ってくれ。
 そして僕の恋情を受け入れて、全てを抱き締めてくれ。
 「好きだ」と言って抱き締めてくれたら、もう何もいらない。いらないから。

「っく……ぅ……ッ……!」

 涙がこぼれる。
 興奮して真っ赤になった顔は、ツカサと同じだろうか。
 ちゃんと、人間らしい顔をしているのだろうか。

 泣きながら、ブラックは壁に精液をぶちまける。情けない恰好で壁に手を突き、だけど止められずに壁を汚した。
 この向こう側に居る純粋な相手にぶつけるように。

「はっ……はぁ……はあ……ぁ……」

 目からも水が出ているのに、握った自分の陰茎はツカサの事を考えるだけで軽く硬くなる。きっと、ツカサはこんな事すら思い浮かばないのだろう。
 「好き」という言葉の曖昧さを、彼は知らない。
 好きだから欲望のままに動いてしまう男がいる事すら、理解していないのだ。

「ツカサ君…………っ」

 ちゃんとした愛し方じゃなくても、良いのだろうか。
 自分の感情を全てぶつけて良いのだろうか。

 情けない姿のまま、ブラックは壁の向こうの愛しい少年を思って目を細める。

「は……ははは……いいよね……いいんだよね……?」

 こんな自分を好きになってくれたんだから、受け入れてくれるはずだ。
 ブラックは自分に言い聞かせるようにそう言うと、また自分を慰めはじめる。

「待ってるからね……ツカサ君…………」

 恋人になったら、もう、我慢しなくていいんだよね?
 そこまで堕としたのなら、責任は取るから。ずっと、ずっと一緒に居るから。
 だから、僕に存分に君を愛させてくれ。
 ドロドロにして……壊してしまうくらいに。

 ブラックのその命令にも似た懇願は、ツカサに悪寒という形となって届いていたのだが……そんな事など、二人は知る由も無かった。











 
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