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聖都バルバラ、祝福を囲うは妖精の輪編
開放的ってそういう意味じゃなくてですね2*
しおりを挟む今更ながらに現在の状況に危機感を覚え、俺は思わず目の前の相手をじっと見てしまう。今のところは何も不埒な事を考えていないようだが、こっちがヘタに動くと何を思いつくか解らない。
クロウはブラックほどちょっかい掛けて来ないけど、でも所構わず俺を触ってくるスケベな奴には変わりない。自制は出来てるしまだ紳士だけど、最近はすねたりするとすぐ近寄ったり抱き着いたりしてくるし……。
そ、そうなるとマジで今の状況は危険だ。
うっかり普通に友達と風呂に入る気持ちで入れちゃったけど、こいつ友達じゃねーから! いや大切な仲間だけど、なんかいつの間にか俺の側室とか言うのになってる油断ならないオッサンだから!!
「ツカサ、どうした」
「ヒッ、な、なーんでもないよー!」
き、気付かれるな気付かれるな。俺が意識した事を気付かれてはならない。
滅茶苦茶に早鐘を打つ心臓を押さえつけながら、俺はクロウが妙な気持ちを抱かないように、じっと相手の一挙手一投足を注視する。
「ン?」
クロウは不思議そうに首を傾げているが、俺の警戒に気付いていないようだ。
よしよし、そのまま風呂を楽しんでくれよ。
……しかし……本当凄いなクロウの体……。
ブラックはアスリート系って言うか、男らしい体格に見合うだけの必要な筋肉を付けてるっぽくて、バッキバキに腹筋が割れてる感じじゃないけど……クロウの体つきは本当に格闘技とかやる人のそれだ。
パンチなんて軽く跳ね飛ばしそうな程に胸筋は発達してるし、腹筋だって夢のシックスパックだぞこれ。腕だってそこまで太くないのに、すげー筋肉がついててガッチリしてる……う、う、羨ましい……。
どうやったらそんな狩猟民族みたいな格好いい体になれるんだろう。
やっぱ腹筋? 背筋も鍛えなきゃ駄目かな?
多くの女性にモテそうな適度マッチョ体型はブラックの方だろうけど、俺としてはこっちの「戦士だぜ!」って感じの体も捨てがたい……。
クロウはマッチョって言われるほど鳩胸でも上腕二頭筋が発達してる訳でもないけど、でも筋肉の鎧があるって事は嫌でも解る。
いいなあ、こういう体は本当に憧れるよなあ。
あとさあ、凄いのは毛だよ毛。
ギャランドゥとか胸毛とか、ほんと男の象徴だよな。
ボンバーな程に生えるのは困るけど、筋肉がついてるとアクセント程度の毛ならガチで格好良く見えちゃうから困る。獣人だから生えてるってのも有るんだろうけど、ワイルドで大人って感じだよなあ。ほんと羨ましいわクロウの体……。
そういや俺、考えてみればクロウの裸って見た事なかったような気がする。
下半身は見た事有るような気がするけど、二度と思い出したくない。
「ふと思ったんだけど、一緒に風呂に入るの初めてだよな?」
そう言うと、クロウも確かに……と言わんばかりに空を見上げて頷いた。
「考えてみれば裸の付き合いはこれが初めてか。ブラックには交尾を禁止されていたから、ツカサを食べる時も我慢して服のままで、裸を見せた事はなかったな」
「そ、それはまあ良いとして……クロウってやっぱ鍛えてんだなあ。がっつり筋肉付いてて羨ましいよ」
「そうか? 良く変わらんが、ツカサに褒められると嬉しい」
無表情なままで耳をぴるぴると動かすクロウ。
その反動か、お湯がちょっと波打った気がした。……うん。波打つ?
あ、もしかしてクロウの熊の尻尾もぱたぱた動いてたのかな?!
「な、なあクロウ、やっぱクロウにも尻尾ってあるのか?!」
「無論、獣人だからな。……ああ、嬉しくて尻尾を動かしたせいで、湯が波打ったか。すまんツカサ」
「いや、それは良いんだけどさ! あの、やっぱいつも動かしたりしてるの?」
「ん? 見てみるか?」
「えっ」
そう言うと、いきなりざっぱーんと立ち上がって俺に背を向けるクロウ。
男のケツなんて見て誰が喜ぶ……と思ったが、がっちり鍛えられた堅そうな尻を隠すかのようにもっふりと垂れ下がっている濡れた熊の尻尾を見つけて、俺は思わず「はわああ……!」と声を漏らしてしまった。
「しっ、尻尾だー!」
「ツカサは本当に動物っぽい部分が好きだな」
「あああっ動いたっ、やだー! 可愛いー!」
男の尻に向かって可愛いとか気が狂った光景だけど、俺は尻尾が動いたのを見て可愛いって言っただけですから! 男のケツとかどうでも良いですから!!
っていうか大きな熊の尻尾でケツの割れ目半分くらい隠れてるからオッケー!
俺の目には尻尾しか見えてません!!
ああそれにしても熊さんの尻尾ってどうしてこんな重量感があるんだろう。
そのくせぽんぽん動くから、本当可愛いんだよなあ……!
「そう熱く見つめられると、なんだかむず痒いな」
「だ、だって俺クロウの尻尾見た事なかったから……!」
「ふふ、ツカサは俺の尻尾まで好いてくれるのか」
「ン゛ッ!? そ、そう言う話では……」
「そう言う話だろう。猫族や犬族ならともかく、熊族のオレは尻尾を褒められた事なんて無かったからな……嬉しいぞ、ツカサ」
声音からも、クロウが喜んでいる事が解る。
そっか、熊って尻尾は地味だもんなあ。でも熊の尻尾とちょっと似てるウサギの尻尾だって可愛いわけだし、俺の世界だったら間違いなく熊しっぽも人気だと思うんだけど……獣人の世界じゃあんまし人気ないのか。勿体ない。
まあ、こんな事を思うのはクロウが熊の獣人だからで、今目の前に在るのが男の尻オンリーだったら褒めるどころか退散してますけどね俺。
大体、こんな狭苦しい風呂に男二人で入るのだって、ブラックやクロウじゃなきゃ絶対嫌だもんよ。二人にはもう死ぬほど抱き着かれてるから、至近距離に慣れちゃって風呂で恥ずかしがるのなんてもう今更だし……ってそれも男としてはどうかと思うが。
いや、そんな話はどうでもいい。
今の俺には熊しっぽだ。熊しっぽが重要なのだ。
どうせだし、獣の姿に戻った時に触っていいか聞いておきたいな。
「なあクロウ、熊に戻った時にしっぽもモフモフしていい?」
「ん? ツカサがやるなら構わないが……少し恥ずかしいな」
「ダメ?」
「ダメではないが……なら、もっと構って欲しい」
「はい?」
あれれ~おかしいぞ。話がまた変な方向に……。
「昨日からツカサはあの性根が腐った眼鏡やブラックとばかり話していて、オレにはあまり構ってくれないから寂しかったんだ」
「あのねクロウ、他人の揶揄はもうちょっと言葉を選ぼうか……」
「構ってくれたら選ぶ」
こんなくだらない事で取引しようってか!
お前俺をちょっとチョロく見積もり過ぎてないか、流石に俺だってんな取引には応じんわ!! 普通に明日説教すんぞゴルァ!
「変な事言うなら触らなくていい!」
「それではオレが困る。ツカサのせいで興奮してしまっているのに」
「…………はいぃ……?」
何を言ってるんだ、と思った瞬間。
クロウがくるっとこっちを向いて……俺のすぐ目の前に突き出すように、とんでもない物を見せつけて来た。
「ひっ……」
眼前に突き付けられたのは、ご立派に起立した赤黒い……その……。
いや、その、なに、なんで今ので勃ってるの、なんで!?
「くくくくろうっ!? なんでいまのでっ!!」
「すまん、ツカサに体を見られていると思うと勃起した」
「お願いだからもうちょっと恥じらいのある表現をしてえええ!」
もう見てらんない、っていうかお、お、俺まともに見ちゃったんですけど!!
ななななにあのでっかいの。なにあの凶暴な形!!
ちょ、ちょっとまって怖い、ブラックのですら正直見慣れてないのになんでこう凶器のようなブツのモデル違いを見せつけられなきゃならんのだ!
俺男なんですけど! 同じヤローの持ち物見せられても困るんですけどお!!
「おおお俺もうあがるっ……」
「ダメだ。逃がさない」
逃げようと背を向けて立つ俺だったが、それが仇となって俺はクロウに肩を掴まれて捕まってしまう。その際に背筋になにか固くて熱い物が当たって、俺は思わず飛び上がらんばかりに驚いてしまった。
「うわぁあっ!」
「その声、色気が無いぞツカサ……」
「いいい色気なんてあってたまるか!!」
「何故だ、ツカサはいつも可愛くて色気が有るのに」
「そう言う事素面で言うなぁあ!」
コイツの場合からかってるんじゃなくて本気で言ってるからタチ悪いんだよ!
何で俺が可愛くて色気が有るんだよ、いや女子に色気ありますねって言われたらオヤッて思うけど、相手男じゃん、しかも俺を抱く対象として見てる奴じゃん。
そんな相手に可愛いとか言われても困る訳で……。
とかなんとか思っていたら、クロウが背中に付けた物をぐっと押しつけて来た。
「はぁっ……は……ツカサ…………」
や、やだ。なんか変に固い。ごりごりする……っ。
なんで、獣人だから? 背筋にゆっくり擦りつけてくるクロウのブツは、俺が知っているブラックの物と比べてやけに感触が違う。
背骨に当たると凄く固くて、まるで生暖かい棒を当てられているようだった。
あ……こ、これ……もしかして陰茎骨っていう奴……?
ほとんどの動物が持っていて、子孫を残すために何時間もえっち出来るようになってるっていう……。
「あ……あの……クロウ……」
「ん、なんだ」
「ちなみに、その……っ、クロウの一族って……一回のえっち……交尾の時間ってどのくらいなんだ……?」
「個人差はあるが、基本的には半日くらいだ」
俺の背中に濡れた感触の熱いものを擦りつけながら、クロウは荒い息で答える。
そうか、そんなにやるのか。しかもそれが基本なのか……。
…………って……はん、にち……。
半日?!
「ぁ……うぁ……は、はんにち…………」
ま、待って。じゃあ、あの、絶対に無い事だと思うが、仮にクロウとえっちする事になった場合……このゴリゴリした凶器を半日も挿れられ続けるって事……?
ブラックのでもいっぱいいっぱいなのに、あ、あんなもの入れられ続けたら本当に物理的にも精神的にも壊れちゃうんじゃ……。
「ひ……ひぇ……」
「交尾に興味を持ってくれて嬉しいぞ、ツカサ……」
「あぁああっ、ち、違うますっ、これは個人的興味ってだけれっ」
「興味を持ったと言う事は、オレとの交尾を想像したと言う事だろう……?」
ああああ興奮してる、背後からすごく熱い息がうなじに掛かってるぅううう!
思わず逃げ腰になっちゃうけど、クロウは離してくれない。それどころか、更に体を押し付けて来て、俺の体を自分の体ですっぽりと包み込んでしまった。
「ぅあ……っ」
浅黒い色をした逞しい腕に、がっちりと体を囚われる。
そうなるともう抵抗すら出来なくて、俺は情けない声でクロウを振り返った。
「く、クロウ……駄目だって……おねがい、頼むから……」
「嫌だ。ツカサが悪い……。ツカサがオレの体を褒めるから、オレは嬉しくて興奮したんだ。誰と比べる事も無く、オレの体だけを見て褒めてくれた……。愛している存在に純粋に褒められて、嬉しくない雄はいない……」
「うぅ……そりゃ、わかるけど……」
好きな奴に褒められたら、そりゃ嬉しいよね。俺だってそうだよ。
でも、だけど、この状況はダメだとおもうんだけど……。いくらブラックが俺に触る事を許可していると言っても、この状態を見たら怒り狂うはずだ。
だって、こんな。二人とも裸でくっついてるなんて……。
「クロウ、やっぱダメだって……!」
「何故だ、交尾してないのにどうしてダメなんだ? オレには解らない。なにより、勃起してしまったらもう収まらない……。いつもは我慢してたのに、ツカサが柔肌を剥き出しにしてオレを褒めて誘うから、我慢出来ず勃起してしまった……」
「やっ、み、耳元で何度も言うなってば……っ」
恥ずかしい事を言われて、身体が熱くなる。
だけど直接的な言葉であるがゆえに、クロウの思いが嫌と言うほど強く伝わって来て。誘ってなんかないと言いたいのに、ぴったりと背中に張り付かれて低い声で囁かれると、嫌でも心臓が高鳴ってしまう。
クロウの少し早い心音が背中に伝わってくる度に自分の心音まで早くなっていくような気がして、俺は顔が熱で痛くなって堪らなかった。
なのに、クロウはそんな俺を責めるようにまた耳元で囁いて来る。
「ツカサ……ツカサにだって解るだろう? 犯したいほど好きな相手を目の前にして、興奮する事すら我慢するという行為が、どんなに苦しかったか……」
「う……そりゃ、その……わかる、けど……」
俺だって男だ。据え膳を前にして扱かないで下さいとか言われたら、そいつは鬼か悪魔かと罵りたくなる。まあそりゃ時間経過で収まる程度のブツですけど、でも性欲マックスの時だと冗談じゃないって思っちまうよな。
考えてみれば、クロウはそれを何度も何度もやらされてた訳で……。
うわ……アカン……それ俺なら不能になりそう……。
でも、だからってクロウとえっちする訳にもいかないし、そんな事したらブラックが絶対に爆発しちゃいそうだし、俺もその、ちょっと……。
どうしようかと思っていると、俺の心境を察したのかクロウが耳に唇を寄せて、熱い息を吹きかけながら耳朶を柔く食んできた。
「これ以上拒まれると……本当に……このまま犯してしまう……」
「んぅっ……!? そ、そんな……!」
思わず青ざめた俺に、クロウがまた少し悲しそうな声で俺の心を揺さぶる。
「ブラックとの約束は守る。絶対に交尾はしない……だから……ツカサの柔らかくて美味そうな腿で、オレを慰めてくれないか……?」
「ふぇっ……!? そ、それって……素股…………」
「名前は良く解らんが、そうしてくれれば治まる。オレだって、ツカサの温かさに包まれながら射精したい。愛する者の体に触れて絶頂したいんだ。だから、頼む。ツカサ、オレを拒まないでくれ……」
「クロウ……」
戸惑う俺に、クロウはとどめのように拗ねたような声で言葉を漏らした。
「ブラックには許可を貰っているのに……それでもダメか……?」
「え……。あ、あいつそんな事まで許可してたのか!? いいいいつのまにっ」
待って待って俺全然そんなの聞いてないよ!
前は触るだけならオッケーって話じゃなかったっけ!?
ええ……。いやでも……ブラックだって同じ男だし、クロウの辛さは俺と同様に痛いほど理解しているはずだ。なら、素股ならって仏心を出した可能性もある。
ブラックとしてはギリギリの譲歩って感じだし……有り得る事だけど……。
「ツカサ……」
「んんっ!? やっ、なにっ……!?」
うわ、背中に在った熱が、下に移動してきてる。
このままじゃ触れたらヤバい場所に……と思っていたら、身体が一旦離れて、俺を抱き締めているクロウの腕が少し下に移動した。
そうして、内腿にまたあの熱い塊が押し付けられる。
ぬるりと足の合わせ目に入って来る、固いくせに柔らかさもある奇妙な太い物体に、俺はびくびくと反応しながらクロウの腕を掴んで耐えた。
「っ、う……んぅう……っ!」
こ、こうなったら我慢するしかない。
ブラックが許してるんなら俺も許さない訳には行かないし、何よりクロウが素股で我慢しようとしてくれてるんだから、これ以上拒むのは可哀想だ。
俺だって、その、男だから辛い気持ちは解るし……素股でそれが収まると言うのなら、物凄く変な感じだけど……クロウのためだし、その……。
「あぁ……ツカサ……っ、く……なんて気持ち良い……っ」
「……ッ!」
俺の足の合わせ目に強く熱塊を捻じ込んだ途端上擦った声を上げるクロウに、不覚にも俺は思いきり反応してしまう。
だって、めっちゃ低くて渋い声で感じたような声を出されたら、そんなの俺じゃなくても反応しちまうよ。ただでさえ、クロウもブラックみたいな低くて格好いい声なのに……。くそ……俺と何が違うんだろ……俺も早く大人になれば、ブラック達みたいな大人の声になれるのかな。
「っ、はぁ……動かして……いいか……」
「う……うん……」
あんまり大きすぎて、合わせた太腿が開いてしまいそうになる。
そうなると気持ちが良くないだろうと思い、必死で力を籠めて足を合わせると、その刺激が心地良かったのかクロウはまた獣のように呻いた。
こんな事でしか相手の熱を収めてやれないのは、少し申し訳なく思ったが……今はクロウに精一杯気持ちの良い思いをさせてやるしかない。
俺は勝手に熱くなる自分の体を叱咤すると、ちゃんとクロウが気持ちよくなれるように足をぎゅっと合わせて、出来るだけクロウのモノを締め付けた。
「んっ……んんっ……」
ぬちゅ、ぬちゅ、と音が耳に届いて来る。
クロウが腰を動かすたびに膝辺りまであるお湯が波打って、それが時折ひざ裏に当たる事に俺は何故かまた顔が熱くなってしまっていた。
野外で、しかもいつブラックに気付かれるか解らない場所で、後ろからクロウに抱き着かれて腰を打ちつけられてるなんて……こんなの、パッと見じゃ犯されているのと変わらない。いくらブラックが許可しているとはいえ、それを思うとどうにも羞恥を抑えきれなくて、俺はいつしか自分を捕えるクロウの腕に縋り、身を縮めて必死に声を抑えようと努めていた。
「っ、ん……んぅっ、う……っ!」
ぬるぬると内腿を擦って大きく動くクロウのモノが、時折俺のモノに当たる。
人間の物とは少し違うソレが陰嚢に当たったり、まだ立ち上がってもいない俺の分身を掠めて前後に動くたびに、俺はもどかしい感覚に腰を動かしてしまう。
いっそ触ってくれればと思うが、そんな事を頼むなんて情けなくて、俺はゆっくりと体内に積もっていく熱に苛まれながら早く終わる事を祈った。
だけど、俺の反応を見逃さないクロウがそれを叶えてくれるはずがなくて。
「ツカサ……ッ、は、はは……っ! オレの肉棒で股を擦られて、だんだん感じて来たのか……? お前の可愛らしい肉棒……いや、おちんちんだったな。可愛いおちんちんが、徐々に立ち上がろうとしているぞ」
「やっ、ぁ……そ、そんなこと言うなぁ……っ!」
「恥ずかしがる事は無い……ツカサもオレの肉棒で感じてくれているのが解って、オレはとても嬉しいぞ……ッ」
「ふあぁあ!? やっ、らえっ、そこさわっちゃやあぁあっ!」
軽く裏から突かれるだけだった俺のモノを、クロウがぐっと掴んで扱いて来る。
その間にも腰がぱんぱんと俺の尻を打ち、卑猥な水音を立てて内腿を蹂躙した。
クロウの太くしっかりした指がいとも容易く俺のモノに絡みついて、こしこしと根元から精液を搾り取るように扱き上げて来る。
それと同時にクロウは俺を抱き締めていたもう片方の腕を解いて、無防備に勃ちあがっていた乳首をきゅっと摘まんできた。
「いぁあっ! やっ、あ、やあぁあ……ぅぐっ、ひあ゛っ、い、いっぺんぃっらめっ、い゛あっ、もっ、そんあ、あぅう、んぅうう゛う……っ!!」
「ふ、ふははっ、気持ちいいか……!? どこが気持ちいいか言って見ろ……!」
強く命令するような興奮しきった声に、頭が蕩けていく。
急かされるように鈴口をぐっと押さえつけられて弄われると、もう逃げる事すら出来なくて、俺はすすり泣きながらクロウの言うとおりに情けない声で答えた。
「はっ、あぅっうぅ……! お、おちんちっ……と……ちくびっぃっひぁあっ! や、も、こすららいぇっもっやらぁ……っ!」
「なにが嫌だ……言え、解放してやるから……ッ」
低い、獲物を弄ぶような楽しげな声。
腹に響くその声すらもう俺にとっては気持ちのいい音でしかなくて。
恥ずかしいのに、辛いのに、内腿をクロウの大きなおちんちんに擦られて、命令されながらおちんちんを太い指でごしごし扱かれると、もう、我慢が出来ない。
熱くて苦しい気持ちよさを吐き出したい一心で、俺はクロウの言う通りに身をくねらせて泣きながらお願いした。
「おっ、おちんちん……っ、くっ、うぁあっああぁあ……! おえのっ、ぅ、おちんちっ、も、いじえらいえぇ、ひぐっ、う、うぅう……っ、も、い、いぎだぃい……っ!」
もどかしい。気持ちいいのに、決定的な気持ちよさがやって来ないのが苦しい。
俺を貫いて悦ばせてくれるものがあるのに、なのに、それは使う事が出来ない。
おちんちんをぐりぐり指で虐められて、ふとももをクロウの大きいおちんちんで擦られて、おしりもクロウの固い体でぱんぱん叩かれてるのに、なのに、俺を狂わせてくれるあの気持ちよさは、来ない。
それが辛くて、でもやって来ない事にホッとしてる自分も居て、訳が解らなくて涙がぼろぼろ溢れて来る。
こんなに欲しいのに、欲しくてもだめなんて、つらい。
クロウもこんなに辛かったんだと思うと、申し訳なくてたまらなかった。
でも、俺ももう、限界で。
「くろっ、もっ、いぐっいっひゃうっおちんひんひっひゃうぅう……!!」
「ふっ……ふははっ……いいぞっ、一緒に……ッゥグ……っ、グッ……!!」
強く擦りあげられて、先端を手で覆われる。
その生温い感触に体が思いきり跳ねて――――俺は、股に挟みこんでいるクロウと一緒に、我慢しきれずに射精してしまった。
「っ、あ……あぁ、あ゛……っ、ぁ…………」
クロウの掌に、出してしまった。
力が抜けてお湯に座り込みそうになるが、クロウは俺を抱えて精液をこそげ取るように器用に俺の亀頭を撫で回す。
自分は草の上に飛ばした癖にその動きは執拗で、俺は辛くて啜り泣いてしまう。
「ひっ、う……! ん゛ぁあっ、や、だぇっ、もぉ……っ」
「一日しか置いてないから、まだ充分じゃないだろうが……ツカサの美味い精液を流すなんてもったいないからな」
そう言いながら手を離し、俺の背後でぺちゃぺちゃと舐める。
自分の出したものを口に含まれているんだと思うとどうしても恥ずかしくて、俺は涙目で震えながら自分を抱えるクロウに縋った。
ああ、もう、力が入らない……。
……だ、だけど、これで……満足してくれたのかな……。
「く……クロウ……すこし、は……すっきり、した……?」
甲高い情けない声で息も絶え絶えに言うと、クロウは舐めるのをやめて、改めて俺に抱き着いてきた。そうして、そのまま湯船へと座り込む。
「ああ……最高だった……。付き合ってくれてありがとう、ツカサ」
ぎゅっと俺を抱き込んで、濡れた俺の頭に顔を擦りつけて来る。
実は少し寒かったからその体温と湯船が温かくて、俺は心地良さに目を細めた。
さっきまでいやらしい事をしてたのに、今はもういつものクロウだ。俺に素直に甘えて来て、顔を摺り寄せてくる。そこに性欲なんて一切ない。
お互い裸の状態なのがちょっと気になったけど……まあ、その……いいか。
「ツカサ、大好きだ。愛してるぞ」
「ん、んん……」
最近はブラックに遠慮してそう言う事は言わなくなってたけど、二人きりの時は普通にさらっと言ってくるんだな。
気恥ずかしいにもほどがあるけど、クロウが喜んでるなら……うん……。
とにかく、今日はつかれた……。
「クロウ……これからも食事の時に素股するのか……?」
「ん? まあ、そうしたいが……食事をする度に何度もやっていたら、腹が減って食事の意味がなくなるからな。だけど、ツカサが許してくれるならまたやりたい。……だめか?」
「うぅう……」
許す許さないって、俺もどう言っていいやら……。
ああもう、頭が回らない。だめだこりゃ。
とんでもない入浴になってしまったと思いながらクロウの逞しい胸に頭を預けると、上の方から何やら変な音が聞こえてきた。
何か、グウグウというか、ゴォゴォというか……とにかく変な音。
クロウのたくましい喉仏の所から、獣の唸り声のような音が鳴っているようだ。
……あ……。
これ、もしかして……猫が喉を鳴らすのと一緒……?
「ツカサ……」
ぐうぐうと微かに喉を鳴らして、クロウは俺を抱き締めて顔を摺り寄せてきた。
お湯が波打って、クロウの尻尾が喜んでぱたぱたと動いているのが解る。
そんな風にすぐに解ってしまうくらい、相手は今の時間を喜んでいるのだ。
……ずるい。
そんなに素直に喜ばれたら、そんなに素直に好きって言われたら……どうしたらいいのか解らなくなるじゃんか……。
「ツカサ……撫でてくれ……」
「ん……」
俺だって、クロウには優しくしたいし……喜んでほしい。
でも、こう言うのって良いのかな。いくらブラックが許可してても、ブラックもアレはダメこれはダメって言うのがあるだろうし……ああ、俺に黙って勝手に決めるからこんなモヤモヤしちまうのに、どうしてこいつらは勝手に決めちゃうんだ。
俺はブラックが嫌な事はしたくないし、クロウが悲しくなる事もしたくない。
だけど、俺はこんなの初めてで、どうしたら良いのかも知らないんだ。今の状況が良いか悪いかなんて俺に判断できるはずがない。
ブラックも、俺に面と向かって「素股までは許した」なんて言いたくない気持ちは解るけど……その……恋人なんだし、言ってくれてもいいのに……。
……いや、でもなあ、俺が逆の立場なら、言いたくない気もするよなあ。
うー……もうなんだか解らない。今日はもう疲れて考えがまとまらないや。
クロウの頭を撫でながら、俺はなんだかスッキリしない気持ちを抱えて小さく溜息を吐いたのだった。
→
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