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ブラック×ツカサ
ベイシェールでデート!(リクエスト)
※そうさんのリクエストで「時間軸は未指定、ベイシェールでのブラックとツカサのデート」です!素敵なリクエストをありがとうございました!
楽しく描きました(*´ω`*)デュフフ
穏やかに輝く太陽、真っ青な海、白い砂浜。
まるで絵画のように美しいその風景の中に、たった一つの短い橋で繋がれた、小さな島とはとても思えない大地が在る。
とても細い海峡が間にあるだけのその不可解な島は、今となっては島と認識されることも珍しく、周囲の人にはただこう呼ばれていた。
――穏やかな観光地・ベイシェール。
船が休息する入り江を持つその大陸と繋がっている島は、その気候と街並みも相まって、ライクネスの人達の新婚旅行先によく選ばれている。
かつては“ある騒動”が起こったために客足が遠のいたものの、現在は再び観光地としての人気が高まり、周辺の他の観光地と共に人が溢れる場所に戻っていた。
そんな小さな村を少し遠くから見つめて、俺は目を細める。
「急にどっかに行こうって、どこに行くのかと思ったら……ベイシェール?」
少し涼しい潮風に髪を揺らされながら街を眺めていると、ブラックが横から顔を覗き込んでくる。実に嬉しそうなニコニコ顔の相手へ視線をやると、ブラックは口を緩めた。
「えへへ~。ツカサ君、最近とっても忙しいでしょ? だからさ、今日は僕がいっぱい癒してあげようと思って!」
「それで、ここに?」
コクコクと頷くブラック。
無精髭だらけの顎もゴツいオッサンがカワイコぶった言い方をしているが、もう今となっては「オッサンなのになぁ」とは思いつつも、やめんかという気持ちは起きない。
何百回と突き合わせている顔だ。
俺はそんな自分の気持ちに苦笑すると、ブラックと一緒にもう一度ベイシェールを見た。
「ねえツカサ君、ここに初めて一緒に来た時、覚えてる?」
「ああ……変な事件が起こってて、セイフトのギルドに関わるよう仕組まれたんだよな。それはマーサ爺ちゃんとリオルが起こした事件で……アレも大変だったよなぁ……」
今となってはもうかなり前の記憶みたいに思えるけど、それほど遠い思い出でもない。
……というか、今でも何故かこの村でブラックやクロウやリオルに色々けしからん事をされたなと思うと、もう慣れっこのはずなのにまだ恥ずかしくなってくる。
でもそんな思い出し羞恥を気取られたくなくてグッと口を噤むと、ブラックがそんな俺の心を知ってか知らずかクスリと笑って、俺の手をぎゅっと握ってきた。
「色々あったけど……でもさ、純粋にデートの場所にするのは初めてじゃない?」
「そういえば、確かに……」
「だからさ、今日は何にも考えず楽しくデートしようよっ! あれから何か新しい名物も増えたらしいし、ツカサ君きっと喜ぶよ!」
俺が喜ばない事なんてないと信じ込んでいるブラックは、大柄な中年という自分の属性も忘れてキャッキャとはしゃぎ、いつの間にか太い指を捻じ込んで繋いできた手を子供のようにぶんぶん振り回す。
ほんと、どんだけ一緒に居ても変わらないと言うかなんというか……。
でも、そんな子供みたいにはしゃぐブラックを見ていると、心がきゅうっとなる。
惚れた弱みと言うか、絆された末の末期症状な気もするけど、それも今更かと思って俺はブラックの手をそっと握り返すと、相手が望むようにベイシェールへ向かって歩き出した。
◆
ブラックが言う通り、ベイシェールは俺達が初めて訪れた頃とはかなり変わっていた。
まず、村には元気なおばちゃんが切り盛りする大衆食堂があり、観光客向けの料理屋や公衆浴場、土産物屋が有る。だがそれに加えて、今はいろいろな新しいお店が出来ていたのである。しかも、どの店も大繁盛だ。
あの頃は荷揚げの船員しか見かけなかったのだが、今は幸せそうなカップルを村のそこかしこで宝飾品やお土産を見ていて、時折なにやら美味しそうな匂いがするものを食べ歩きする姿が見えた。
おお、なんだアレ……茶色いからパンか何かかな?
甘くてふんわりした香りからするとホットケーキ的な物かも……。
「ツカサ君、アレ食べたい?」
「おうっ、なんか美味しそうで……」
「じゃあ買ってみよっか。海の方からみんな買ってきてるみたいだし」
言いながら、ブラックは港の方へと歩き出す。軽く腕を引っ張られたので慌てて隣に並ぶと、ブラックは歩幅を緩めた。ブラックは背も高くて足も長いから、俺と歩幅が違う。だから、俺に合わせて歩いてくれるんだよな。
男としてはちょっと悔しい気持ちはあるけど……当然のように俺の方に歩幅を合わせようとしてくれるブラックに、少し気恥ずかしさを感じてしまう。
……なんつうか……こういう所がズルいんだよなあ、コイツ……。
何度やられても、こちらを慮っているという事が分かるとつい顔が見れなくなってしまう。
だって、中身や行動は変態だけど……やっぱり、人の扱いが上手いと言うか。
そういうところが結局モテるんだろうなというか……ぐぬぬ。
デートとは言いつつもつい嫉妬してしまうが、それを正直に言う事も出来ず、カップル達の横を通り過ぎて港の入口にある真新しい屋台へと近づいた。
日本でお馴染みの屋台の形式じゃ無くて、押して動かすカートのようなタイプにカラフルな屋根が付いたオシャレなタイプだ。これは確かにカップルが好きそうな屋台だな。
いや、俺達も一応カップルなんだけどそれはともかく。
屋台の商品は、甘くてなんとなく嗅ぎ覚えがある感じの香りだ。
屋台のお姉さんに二つ頼むと、相手は笑顔で「愛の開き貝サンドです~! 一つずつにしますか? それとも相思相愛にしますか?」と聞いてきた。
「そ、相思相愛?」
「じゃあそれでお願いします!」
俺が問いかける前に、ブラックが即答してしまった。
どんなものやねんと待っていると、お姉さんは淡い青色に色づけされた綺麗な油紙の中に、さきほどの狐色の焼き物が入っている。
「あっ、あそこにベンチがあるよ! 座って食べよっ」
両手で油紙を持った俺の手首を掴み、ブラックは海を臨む港の端のベンチに座る。当然のように横に座らされた俺は、強引だなあと思いつつも例のモノを取り出した。
それは、二つの貝が横に連なった大きなパンケーキのようなお菓子。
形状は独特だけど、ハンバーガーやサンドイッチのように中に何か挟んである。
中を軽く見ると、ハチミツとかリンゴがたっぷり入っているのが見えた。
なるほど……これは普通においしそうだぞ!
でも、相思相愛ってどういうことだろう?
不思議に思っていると、ブラックが笑いながら貝の片方に食いついた。
「わっ!? な、何するんだよ」
「だってこれ、相思相愛バージョンってヤツなんでしょ? だったら、左右から一緒に食べるんじゃないかなって思って」
なるほど、いわゆる「恋人ストロー」が差してあるジュースみたいなものか。
ということは……俺も、もう片方から食べなきゃいけないのか?
「ツカサ君も食べようよ~。……ねっ?」
……うう……ブラックが期待したように目を輝かせてこちらを見ている。
か、カップルがよくやる行動だけど、でも……いや、しかし、周囲にはカップルしかいないんだし、そ、それに……ベンチの周りには誰もいない……し……。
ええい、ままよ!
「むがっ。…………って、美味いなこれ!」
思わず目をつぶって齧りついてしまったが、蜂蜜の独特なコクと甘みに対して酸っぱめのリンゴがアクセントを加えていて、生地の甘さと蜂蜜の味をうまく纏めている。
俺の世界だとリンゴは甘いものが多いけど、こういうシャクシャクのリンゴも美味しいな!
「ふへ……ツカサ君可愛いっ」
「うっ、じ、じっと見るなぁ!」
「へへ……ツカサ君も僕の事見て良いんだよぉ? ほら、こっち見て。一緒に食べよ?」
「ぐむむ……」
口を離したかったが、しかし噛みついた手前もう食べないわけにもいかない。
仕方なく咀嚼して二口目を噛みつくと、美味しい味と共にブラックの顔が更に近くなる。
ちょっ……ま、待て待て待て、まさかこれが「相思相愛」ってことなのか……!?
「美味しいねえツカサ君」
ブラックは一旦口を離して咀嚼していたが、再び齧られた形になった貝に噛みつく。
そうして、誘うように俺をチラリと見つめた。
ぐ……。
「つふぁひゃくふも、ふぁべほっ」
食べよう、と言っているらしい。
まあ、でも、その……た、食べないと、いつまで経っても終わらないし……。
仕方なく、また噛みつく。
と、ブラックがどんどん顔を近付けて来た。
うう、目の前でブラックが食べる姿を見るなんて、ちょっとした拷問だ。
ただでさえ変な色気があるってのに、軽く歯を立てて物を噛む姿は……その……な、なんというか……凄く、えっちくさいというか……。
ああもう、目を合わせられない。は、早く食べよう。
そう思うけど、食べている途中で不意にブラックの顔が見えてしまい、息が止まる。
口が離れて行っても、口の端から垂れる蜂蜜をぺろりと舐める仕草がいやらしい。
な、なんでアンタはそう、舐めたり指でクイッと離したり、イケメンじゃないと許されない事を易々とやってのけるんだ。チクショウ、俺がやってもただのいやしんぼだよ。
「ツカサ君、どんどん貝がなくなって来たね」
「うう……も、もう良いから全部食べろよっ」
このままいくとキスをしてしまう。
そんな事を考える自分にも恥ずかしくなって突き返すと、ブラックは苦笑しながらサンドを受け取って一口で食べてしまった。
もぐもぐと動く唇が、蜂蜜でなんだか艶めいている。
と、思ったら――――目の前が真っ黒になって、唇にいつもと違うぬるりとした独特な感触が触れて来た。
一瞬、なにか判らなかった。けど、こ、これって……キス……っ。
「んっ……んん……!」
ば、バカばかバカなに人がいる所でキスしてるんだよ!
思わず相手の服を掴むが、ブラックは気にせず蜂蜜でぬめりを得た唇を動かし、俺の口にも蜂蜜を塗りたくろうとして来る。
その動きが生々しくて、吐息が顔にかかる感覚にぞわりと背筋が総毛立つ。
でも、引き剥がせない。
角度を変えて何度も触れられると、体の奥が熱くなってきて、掌が汗ばんできた。
でもブラックは俺を逃してくれない。ゆっくりと抱き締めて背筋を撫でてくる。
その手つきが、いやらしい。
窪んだ背筋を指でなぞられると、それだけで体が震えてしまった。
「ん゛っ、ぅ……んんん……っ、ん、うぅ……っ」
「っは……。ははっ……ツカサ君、顔が蕩けちゃって可愛い……」
水で揺れるような視界の中、もどかしいくらいに時間をかけて顔が離れていく。
唇が合わせ目からゆっくり別たれると、ひんやりした潮風が触れて来た。ブラックの唇も、俺の唇も……どうやら、かなり放熱していたらしい。
ぼうっとしてただ目の前の赤色と紫色を見ていると、忍び笑いが聞こえてきた。
「ふふっ……ツカサ君、こんなところでそんなエッチな顔しちゃって……。ちょっとした恋人の触れ合いのつもりだったのに、そんな顔をされたら僕もたまんなくなっちゃうよ……」
「っ、ぁ……」
太くて皮が分厚い指に顎を撫でられて、変な声が出る。
そんな俺に口を緩めて、ブラックも興奮したような下卑た顔を見せた。
「キスだけでお腹の奥キュンキュンしちゃった……? ふっ、ふふっ、か、可愛いなぁあ……僕とキスすると、すぐそんな風にトロトロになっちゃうんだから……」
「っ……ぁ……あんた、が、急にする、から……っ」
俺が悪いんじゃない。
アンタが急にキスして、俺の背中とかやらしく撫でてくるから……っ。
「あはっ。ツカサ君たらもう、ホントに煽り上手なんだからっ! そんないやらしい顔されたら早く宿に行きたくなっちゃうよ……」
「っ……!」
「でもまだデートは終わって無いもんねっ。我慢我慢!」
少し休んだら次に行こうか、と言いつつ俺の頭を自分の肩に強引に預けさせるブラックに、俺は「終わったら宿をとるのか……?」と変な所が気になってしまった。
いや、まあ、で……デートなんだし……そういうこともあるかも、だけど……。
だけどそうハッキリ言わなくても良いじゃんか。
そ、そういうコトするつもりって言われたらコッチは気にしちゃうんだよ!!
ああもう、こんな事なら最初に釘を刺しとけばよかった。
ブラックが性欲魔人なのは分かり切っていたと言うのに、カップルのデートスポットだからと油断してしまった……。
「えへへ……今日は潮風も控えめで気持ちいいねえ」
そんな事を言いつつ、俺の肩を抱くブラックは上機嫌だ。
さっきキスをしたことで満足したのか、肌がツヤッツヤになっている。これは多分、グリモアが栄養補給したんじゃなくて、単純にスケベ心が満足したからだろう。
こんちくしょう、好き勝手やりやがって……。
…………アンタじゃなかったら、どつき回してるんだからな。ほんとに。
「ツカサ君も、気持ちい?」
軽く首をかしげて聞いてくるブラックを一瞥し、俺も港を見る。
――なるほど、確かにここは良い景色だ。
遮るものが何もなくて、港と穏やかな海を一望出来る。
ここに大きな船が停まっていたら、それはそれで面白い風景だったかもしれない。
だけど……たまには、何もない海と波止場を見るのも良いかもな。
そう考えていると、段々気持ちが治まってくる。
ドキドキする気持ちは続いてるけど……でも、ブラックの肩に頭を預けてボーっとしていると、心地よくなってくるんだ。
……こんな風に思うのは、ちょっと恥ずかしいけど……ずっとこんな風にしててもいいかもしれないとか、そんなことをふんわり思ってしまうというか……。
「別の場所の海をじーっと見つめるのも久しぶりだね」
「うん……。いつもなら、二人でただ海を眺めるとかやらないもんな……」
大抵、観光地ばりにはしゃいだり、冒険や旅でやってくるからデートとかそういう雰囲気じゃないし……デートしてても何かに巻き込まれちゃうし……。
…………あれ、なんかこれ本当に普通のデートっぽくない……?
「ツカサ君?」
「わ゛っ、にゃっ、にゃんでもないっっ」
本当に何でもない、今のなし、なしだ。
っていうか噛んじゃったヤバいめちゃめちゃ恥ずかしい。
「ふふ……もう落ち着いたみたいだね! じゃあ、今度はお土産屋さんに行こうか」
さすがに今のはイジると怒られると思ったようで、ブラックはスルーしてくれた。
ホッ……なんとかなったな……。
とはいえ、ブラックはニヤついているが……ま、まあいい。
俺はブラックに手を引かれて立ち上がると、再び観光エリアに戻る事にした。
日は少し傾いて来ていて、もうすぐ夕方かなという感じだ。
思ったより二人でボーっとしていた時間が長かったらしい。
そんな事を思いつつ、次第にカップルが減ってきた道を戻り、俺は「次どこに行くんだろう」というのが気になって横に居るブラックの顔を見上げた。
「お土産屋さんって言ってたけど……ロクやクロウ達にお土産を買うのか?」
お留守番させてるんだし、何か買って行ってあげた方がいいよな。
そんな当たり前の問いかけだったのだが、ブラックは嫌そうな顔をして口を歪める。
「ロクショウ君はともかく、なんで他の奴らに土産を渡さなきゃいけないの……?」
「いやその反応にこっちがエェなんだが」
「んもー、ツカサ君の分からず屋っ。今日はデートなんだよ? 二人っきりでイチャイチャするための日なのっ! 僕達が買うのは別のもの!」
プンスカと音が出るくらいに怒っているブラックに、ごめんごめんと謝りつつ、目的地らしい新しめの土産屋に入る。
ここも見た事が無いな。俺達がリオルの事件を解決してから、ベイシェールには色々な人がやって来たらしい。そのおかげで活気も戻って来てるのかな?
不思議に思いつつ店内を見やると、土産物屋は新しいだけあってちょっとお洒落で、白い棚の下部には青い塗料で波のような模様が描かれている。
白を基調とした店内は、お洒落が分からない俺でもお洒落だとわかるぞ。
うーむ、こんな場所でブラックは何をお土産にしようというのだろう。
「ツカサ君、こっちこっち」
既に目星を付けているのか、ブラックは飴色に輝く新品の床板を踏み、店の奥へ俺を誘導する。店頭にはベイシェールでよく見かける土産物が置かれていたが、奥に行くと、お店のオリジナル商品ばかりになってきた。
貝殻などのモチーフが多いが、なんというかアクセサリーばかりな気がする。
こういうのは女子が喜びそうだな。
連れられながらキョロキョロと見渡していると、ブラックはお会計に近い棚で止まった。
そこは……オリジナルアクセサリーが集められた棚だろうか。
何を誰に贈るんだと思っていると、ブラックは最初から何かに目星を付けていたようで「あっ!」と声を漏らすと、一対の何かを取って俺に差し出してきた。
「ほらこれっ!」
嬉しそうに言いながら俺に見せるのは――――同じ色と模様をした、貝殻。
薄紫色の綺麗な貝殻に、青い綺麗な波の紋様が走っている。
だけどアクセサリーとは少し違っていて、体に付ける物ではなく、バッグなどに取り付けるための物のようだ。何だろうかと思っていると、ブラックが貝殻のふたを開けた。
「これね、中に曜具の綺麗な鉱石が入ってて……ほらっ、黒真珠! こっちは血涙真珠って言う、真っ赤な真珠だよ」
黒に、赤。
それって……俺の髪色と、ブラックの髪色って事……?
「な、名前が恐ろしいな……?」
「えへへ……琥珀色の鉱石ってあんまり無いからさ……。でもこれなら丁度いいと思って! また僕とツカサ君の“お揃い”が増えるよっ」
そう言いながら、嬉しそうに俺に赤い真珠が入った貝を握らせるブラック。
た、ただでさえ指輪が俺の中でインパクトがデカいのに、またお揃いを作られたら意識してしまうじゃないか。しかもこんな、真珠みたいなヤツ……。
し、真珠って高いのに……。
「……これ……」
「もちろん僕がプレゼントしてあげる! えへ……こういうのはオスの甲斐性だからね。僕もオスとして、いっぱい牽制……いや間違った。オスの甲斐性を見せなくちゃ!」
「お、お前なぁ……。でもプレゼントなんて今まで沢山もらってるのに……」
しかも、俺からのプレゼントなんて大体が手作りのモノだ。
それでもブラックは喜んでくれているが、その対価が高い物と言うのはいただけない。
慌てて「買わなくていい」と言おうと思ったのだが……ブラックの嬉しそうな顔に、言葉が引っ込む。お返しとか、「そういうものではない」と、無意識に理解したからだ。
……ブラックは、俺があげたプレゼントのお返しをしたり、オスの甲斐性を見せるためだけに、このお揃いの貝殻を買いたいわけではない。
ただ、単に……――――
これも“お揃い”だから、買いたかった。
まっすぐに見つめる目がそう言っているのを、分かってしまったんだ。
「っ……」
「ね、ツカサ君……真珠もだけど……この貝殻、そっくりでしょ? これ、ベイシェールでは“つがいの貝殻”って言われていて、とっても縁起がいい物なんだって」
――曰く、つがいの貝殻というものは、簡単に見つけられるものではない。
同じ種類の貝殻の中で、色も同じ、模様も同じ「別の貝殻」を見つけるのは、どんなに貝を育てていても数万の中で数十個見つかるかどうかだと言う。
それくらい、つがいとなれる確率は低い。
だからこそ、その一対になり得る貝は「一生離れないつがい」と見られ、それを贈られた者と贈った者は生涯心が離れることなく互いに幸せに暮らせるのだとか。
「つがいの……」
「……へへ……まあ、もちろん言い伝えだけどさ。でも……僕……ツカサ君とこういう、恋人が持ってたら嬉しくなるやつ、もっと欲しくなっちゃって……」
「…………」
照れたように頬を少し赤らめて、ブラックは困ったような朗らかな笑みを浮かべる。
いつもの外道な変態にはとても見えない、人懐っこくて……ちょっと、可愛い顔。
オッサンが何を言ってるんだといつもなら言うかもしれない。
けど……そんな風に、幸せそうに笑われると……何も、言えなくなる。
俺よりずっと長く生きてきて、色んな人と付き合ってきたんだろうに。それでも……俺との関係を大事に思って、嬉しく思って――――“お揃い”が欲しい、なんて、思ってくれる。
ただ「お揃い」の物が欲しいんじゃなくて、
純粋に、俺と共有できる大事な物が欲しいって――――思ってくれてるんだ。
ブラックのそんな温かくてむず痒い気持ちが、胸を引き絞るほど伝わってくる。
今日の事もただのデートじゃなくて……実は、この「お揃い」が欲しかったから一生懸命に考えて、デートとして連れ出そうとしたんだろう。
普通に「お揃いの物を買いに行こう」だなんて誘っても、味気ないから。
もっと一緒にいて、その記憶と共に「お揃い」を買いたかったから、そうしたんだ。
「…………アンタって人は、もう……っ」
そんな、不器用で子供っぽいブラックの純粋な気持ちが、分かってしまってつらい。
俺だってアンタが初めてなのに、アンタも初めてなんだと思うと……余計に何だか切ないような嬉しいような、泣きたくなるような……そんな気持ちになっちまうんだよ。
他人の事なんて、解らないのが普通なのに。
なのに、どうしてかブラックの気持ちだけは、解ってしまう。
いや、理解していると俺自身がうぬぼれたいのかも知れないけど……。
それでも……――
「ね、ツカサ君……これ、受け取ってくれる……?」
大きな手が、俺の頬に触れる。
切なげに微笑むその顔を見ていると、首を横になんて振れなかった。
「もう、高いモン買って……」
「ツカサ君との“お揃い”に、金額なんて関係ないでしょ?」
そう言いながら、いそいそとお会計に向かうブラックの背中はとても嬉しそうだ。
……金額なんて関係ないと言うけど、それでもさっき見た値札は目を剥くレベルのお値段だった。ブラック的には、それが「オスの甲斐性」なのだろう。
見栄を張りたくなる所は普通の人と変わらないんだなと思うと、ちょっと笑ってしまった。
でも……こんな事、言えないけど……可愛いと、思う。
たぶん、デートに来る前にどこかで“つがいの貝殻”の話を聞いたのだろう。
それで今までこっそりと調べて、お揃いの真珠が入っているのを見つけたから、ようやく俺をデートに誘ってここまでこぎつけたのだ。
そんな事をしてくれるヤツが、可愛く無くて何というのだろう。
見た目は完全にオッサンだし、むさ苦しいし、無精髭だし……可愛いと言うより格好いいと言った方がいいんだろうけどさ。
でも、俺からすればブラックは……お願いを聞いてやりたくなるほど、可愛いと思える。
誰よりも大切にしたい……大事な、恋人だった。
「ツカサくーんっ! えへっ、えへへっ買ったよっ! ほらほら、ツカサ君赤いのねっ。僕は、ツカサ君の黒い色! これも宝物にしようねっ」
だらしない顔で笑いながら俺に赤い真珠が入った方を握らせてくるブラックに、俺は苦笑しながら受け取った。
……大事にしよう。でも、根付にすると落としそうで怖いから……箱でも買おうかな。
「え? しまっちゃうの?」
「だーから心の声を読むなっつーに!! ……まあその、お、落しちゃいそうだし……」
土産物屋から出て、再びブラックと横に並んで夕暮れになったベイシェールの道を歩く。
この色なら、俺の頬が熱くなっていても解らないかな。
そんなことを考えていると、ブラックが嬉しそうに横から覗きこんできた。
「僕とツカサ君の思い出がいっぱいの宝石箱かぁ~! いいねそれっ! へ、へへっ、僕も作っちゃおうかな……ツカサ君との思い出が沢山のキラキラな宝石箱」
「んん……ま、まあ……好きにすれば……」
宝石箱とか言われちゃうとなんか恥ずかしくなってくるんだけど。
でもまあ、それくらいしっかりしてた方が失くさないかな?
ブラックからプレゼントして貰ったものは、なくしたくない。
……まあ、中にはスグにでも捨てたい大人の玩具とかもあるけど……でも、それ以外なら大切にしまっておきたいからな。
「ふへへ……ツカサ君、じゃあさ、僕が宝石箱作ってあげようか?」
「えっ……ブラックが? あっ、でもそうか……金の曜術で作れそうだな」
「でしょでしょ? だから今から相談しない? あ・そ・こ・で」
そう言いながらブラックは俺の視線を誘導するように人差し指を動かす。
すると、その指先が示す方向には――――
ド派手でピンクな、三階建ての真新しい建物が……。
「でっ」
「ツカサ君、ここね……蔓屋の道具をたくさん置いてある宿なんだって……。連れ込み宿を、恋人同士で楽しめるようにした新しい宿なんだよっ! さあ行こう!」
一瞬何も言えず思いっきり変な声を出してしまった俺を、窓の明かりがいくつも点いているピンクな建物に引っ張るブラック。
しばらく放心していたが、俺はなんとか我に戻り、ちょっと待てと足を踏ん張ろうとした。
だが、ブラックの腕力に俺が敵うはずもなく……。
「ちょっ、ま、待て! ブラック待て!! デートでそれは行き過ぎだってば!」
「いやいや今はこれが流行ってるんだから、僕達もアツアツな恋人としてデートに取り入れなくちゃでしょ!? ほらほらツカサ君部屋も沢山あるって! いやぁどれがいいかなぁ。僕はやっぱりご主人様とメイドの気分が味わえるおしおき部屋……」
「だーーーっ、これのどこがデートなんだよーっ!」
これはただの連れ込み宿だ。
そう主張したが、それでも今日のデートした時間を取り消せるはずもなく、俺は「デートの一環だから」と言われながらとうとう連れ込まれてしまったのだった。
…………その後の事は、語りたくない。
……い、いや、デートが楽しかったとか、二人きりの思い出だから秘密とか、そう言うんじゃないんだからな!!
もう不意のデートなんてコリゴリなんだからな!?
おわり
楽しく描きました(*´ω`*)デュフフ
穏やかに輝く太陽、真っ青な海、白い砂浜。
まるで絵画のように美しいその風景の中に、たった一つの短い橋で繋がれた、小さな島とはとても思えない大地が在る。
とても細い海峡が間にあるだけのその不可解な島は、今となっては島と認識されることも珍しく、周囲の人にはただこう呼ばれていた。
――穏やかな観光地・ベイシェール。
船が休息する入り江を持つその大陸と繋がっている島は、その気候と街並みも相まって、ライクネスの人達の新婚旅行先によく選ばれている。
かつては“ある騒動”が起こったために客足が遠のいたものの、現在は再び観光地としての人気が高まり、周辺の他の観光地と共に人が溢れる場所に戻っていた。
そんな小さな村を少し遠くから見つめて、俺は目を細める。
「急にどっかに行こうって、どこに行くのかと思ったら……ベイシェール?」
少し涼しい潮風に髪を揺らされながら街を眺めていると、ブラックが横から顔を覗き込んでくる。実に嬉しそうなニコニコ顔の相手へ視線をやると、ブラックは口を緩めた。
「えへへ~。ツカサ君、最近とっても忙しいでしょ? だからさ、今日は僕がいっぱい癒してあげようと思って!」
「それで、ここに?」
コクコクと頷くブラック。
無精髭だらけの顎もゴツいオッサンがカワイコぶった言い方をしているが、もう今となっては「オッサンなのになぁ」とは思いつつも、やめんかという気持ちは起きない。
何百回と突き合わせている顔だ。
俺はそんな自分の気持ちに苦笑すると、ブラックと一緒にもう一度ベイシェールを見た。
「ねえツカサ君、ここに初めて一緒に来た時、覚えてる?」
「ああ……変な事件が起こってて、セイフトのギルドに関わるよう仕組まれたんだよな。それはマーサ爺ちゃんとリオルが起こした事件で……アレも大変だったよなぁ……」
今となってはもうかなり前の記憶みたいに思えるけど、それほど遠い思い出でもない。
……というか、今でも何故かこの村でブラックやクロウやリオルに色々けしからん事をされたなと思うと、もう慣れっこのはずなのにまだ恥ずかしくなってくる。
でもそんな思い出し羞恥を気取られたくなくてグッと口を噤むと、ブラックがそんな俺の心を知ってか知らずかクスリと笑って、俺の手をぎゅっと握ってきた。
「色々あったけど……でもさ、純粋にデートの場所にするのは初めてじゃない?」
「そういえば、確かに……」
「だからさ、今日は何にも考えず楽しくデートしようよっ! あれから何か新しい名物も増えたらしいし、ツカサ君きっと喜ぶよ!」
俺が喜ばない事なんてないと信じ込んでいるブラックは、大柄な中年という自分の属性も忘れてキャッキャとはしゃぎ、いつの間にか太い指を捻じ込んで繋いできた手を子供のようにぶんぶん振り回す。
ほんと、どんだけ一緒に居ても変わらないと言うかなんというか……。
でも、そんな子供みたいにはしゃぐブラックを見ていると、心がきゅうっとなる。
惚れた弱みと言うか、絆された末の末期症状な気もするけど、それも今更かと思って俺はブラックの手をそっと握り返すと、相手が望むようにベイシェールへ向かって歩き出した。
◆
ブラックが言う通り、ベイシェールは俺達が初めて訪れた頃とはかなり変わっていた。
まず、村には元気なおばちゃんが切り盛りする大衆食堂があり、観光客向けの料理屋や公衆浴場、土産物屋が有る。だがそれに加えて、今はいろいろな新しいお店が出来ていたのである。しかも、どの店も大繁盛だ。
あの頃は荷揚げの船員しか見かけなかったのだが、今は幸せそうなカップルを村のそこかしこで宝飾品やお土産を見ていて、時折なにやら美味しそうな匂いがするものを食べ歩きする姿が見えた。
おお、なんだアレ……茶色いからパンか何かかな?
甘くてふんわりした香りからするとホットケーキ的な物かも……。
「ツカサ君、アレ食べたい?」
「おうっ、なんか美味しそうで……」
「じゃあ買ってみよっか。海の方からみんな買ってきてるみたいだし」
言いながら、ブラックは港の方へと歩き出す。軽く腕を引っ張られたので慌てて隣に並ぶと、ブラックは歩幅を緩めた。ブラックは背も高くて足も長いから、俺と歩幅が違う。だから、俺に合わせて歩いてくれるんだよな。
男としてはちょっと悔しい気持ちはあるけど……当然のように俺の方に歩幅を合わせようとしてくれるブラックに、少し気恥ずかしさを感じてしまう。
……なんつうか……こういう所がズルいんだよなあ、コイツ……。
何度やられても、こちらを慮っているという事が分かるとつい顔が見れなくなってしまう。
だって、中身や行動は変態だけど……やっぱり、人の扱いが上手いと言うか。
そういうところが結局モテるんだろうなというか……ぐぬぬ。
デートとは言いつつもつい嫉妬してしまうが、それを正直に言う事も出来ず、カップル達の横を通り過ぎて港の入口にある真新しい屋台へと近づいた。
日本でお馴染みの屋台の形式じゃ無くて、押して動かすカートのようなタイプにカラフルな屋根が付いたオシャレなタイプだ。これは確かにカップルが好きそうな屋台だな。
いや、俺達も一応カップルなんだけどそれはともかく。
屋台の商品は、甘くてなんとなく嗅ぎ覚えがある感じの香りだ。
屋台のお姉さんに二つ頼むと、相手は笑顔で「愛の開き貝サンドです~! 一つずつにしますか? それとも相思相愛にしますか?」と聞いてきた。
「そ、相思相愛?」
「じゃあそれでお願いします!」
俺が問いかける前に、ブラックが即答してしまった。
どんなものやねんと待っていると、お姉さんは淡い青色に色づけされた綺麗な油紙の中に、さきほどの狐色の焼き物が入っている。
「あっ、あそこにベンチがあるよ! 座って食べよっ」
両手で油紙を持った俺の手首を掴み、ブラックは海を臨む港の端のベンチに座る。当然のように横に座らされた俺は、強引だなあと思いつつも例のモノを取り出した。
それは、二つの貝が横に連なった大きなパンケーキのようなお菓子。
形状は独特だけど、ハンバーガーやサンドイッチのように中に何か挟んである。
中を軽く見ると、ハチミツとかリンゴがたっぷり入っているのが見えた。
なるほど……これは普通においしそうだぞ!
でも、相思相愛ってどういうことだろう?
不思議に思っていると、ブラックが笑いながら貝の片方に食いついた。
「わっ!? な、何するんだよ」
「だってこれ、相思相愛バージョンってヤツなんでしょ? だったら、左右から一緒に食べるんじゃないかなって思って」
なるほど、いわゆる「恋人ストロー」が差してあるジュースみたいなものか。
ということは……俺も、もう片方から食べなきゃいけないのか?
「ツカサ君も食べようよ~。……ねっ?」
……うう……ブラックが期待したように目を輝かせてこちらを見ている。
か、カップルがよくやる行動だけど、でも……いや、しかし、周囲にはカップルしかいないんだし、そ、それに……ベンチの周りには誰もいない……し……。
ええい、ままよ!
「むがっ。…………って、美味いなこれ!」
思わず目をつぶって齧りついてしまったが、蜂蜜の独特なコクと甘みに対して酸っぱめのリンゴがアクセントを加えていて、生地の甘さと蜂蜜の味をうまく纏めている。
俺の世界だとリンゴは甘いものが多いけど、こういうシャクシャクのリンゴも美味しいな!
「ふへ……ツカサ君可愛いっ」
「うっ、じ、じっと見るなぁ!」
「へへ……ツカサ君も僕の事見て良いんだよぉ? ほら、こっち見て。一緒に食べよ?」
「ぐむむ……」
口を離したかったが、しかし噛みついた手前もう食べないわけにもいかない。
仕方なく咀嚼して二口目を噛みつくと、美味しい味と共にブラックの顔が更に近くなる。
ちょっ……ま、待て待て待て、まさかこれが「相思相愛」ってことなのか……!?
「美味しいねえツカサ君」
ブラックは一旦口を離して咀嚼していたが、再び齧られた形になった貝に噛みつく。
そうして、誘うように俺をチラリと見つめた。
ぐ……。
「つふぁひゃくふも、ふぁべほっ」
食べよう、と言っているらしい。
まあ、でも、その……た、食べないと、いつまで経っても終わらないし……。
仕方なく、また噛みつく。
と、ブラックがどんどん顔を近付けて来た。
うう、目の前でブラックが食べる姿を見るなんて、ちょっとした拷問だ。
ただでさえ変な色気があるってのに、軽く歯を立てて物を噛む姿は……その……な、なんというか……凄く、えっちくさいというか……。
ああもう、目を合わせられない。は、早く食べよう。
そう思うけど、食べている途中で不意にブラックの顔が見えてしまい、息が止まる。
口が離れて行っても、口の端から垂れる蜂蜜をぺろりと舐める仕草がいやらしい。
な、なんでアンタはそう、舐めたり指でクイッと離したり、イケメンじゃないと許されない事を易々とやってのけるんだ。チクショウ、俺がやってもただのいやしんぼだよ。
「ツカサ君、どんどん貝がなくなって来たね」
「うう……も、もう良いから全部食べろよっ」
このままいくとキスをしてしまう。
そんな事を考える自分にも恥ずかしくなって突き返すと、ブラックは苦笑しながらサンドを受け取って一口で食べてしまった。
もぐもぐと動く唇が、蜂蜜でなんだか艶めいている。
と、思ったら――――目の前が真っ黒になって、唇にいつもと違うぬるりとした独特な感触が触れて来た。
一瞬、なにか判らなかった。けど、こ、これって……キス……っ。
「んっ……んん……!」
ば、バカばかバカなに人がいる所でキスしてるんだよ!
思わず相手の服を掴むが、ブラックは気にせず蜂蜜でぬめりを得た唇を動かし、俺の口にも蜂蜜を塗りたくろうとして来る。
その動きが生々しくて、吐息が顔にかかる感覚にぞわりと背筋が総毛立つ。
でも、引き剥がせない。
角度を変えて何度も触れられると、体の奥が熱くなってきて、掌が汗ばんできた。
でもブラックは俺を逃してくれない。ゆっくりと抱き締めて背筋を撫でてくる。
その手つきが、いやらしい。
窪んだ背筋を指でなぞられると、それだけで体が震えてしまった。
「ん゛っ、ぅ……んんん……っ、ん、うぅ……っ」
「っは……。ははっ……ツカサ君、顔が蕩けちゃって可愛い……」
水で揺れるような視界の中、もどかしいくらいに時間をかけて顔が離れていく。
唇が合わせ目からゆっくり別たれると、ひんやりした潮風が触れて来た。ブラックの唇も、俺の唇も……どうやら、かなり放熱していたらしい。
ぼうっとしてただ目の前の赤色と紫色を見ていると、忍び笑いが聞こえてきた。
「ふふっ……ツカサ君、こんなところでそんなエッチな顔しちゃって……。ちょっとした恋人の触れ合いのつもりだったのに、そんな顔をされたら僕もたまんなくなっちゃうよ……」
「っ、ぁ……」
太くて皮が分厚い指に顎を撫でられて、変な声が出る。
そんな俺に口を緩めて、ブラックも興奮したような下卑た顔を見せた。
「キスだけでお腹の奥キュンキュンしちゃった……? ふっ、ふふっ、か、可愛いなぁあ……僕とキスすると、すぐそんな風にトロトロになっちゃうんだから……」
「っ……ぁ……あんた、が、急にする、から……っ」
俺が悪いんじゃない。
アンタが急にキスして、俺の背中とかやらしく撫でてくるから……っ。
「あはっ。ツカサ君たらもう、ホントに煽り上手なんだからっ! そんないやらしい顔されたら早く宿に行きたくなっちゃうよ……」
「っ……!」
「でもまだデートは終わって無いもんねっ。我慢我慢!」
少し休んだら次に行こうか、と言いつつ俺の頭を自分の肩に強引に預けさせるブラックに、俺は「終わったら宿をとるのか……?」と変な所が気になってしまった。
いや、まあ、で……デートなんだし……そういうこともあるかも、だけど……。
だけどそうハッキリ言わなくても良いじゃんか。
そ、そういうコトするつもりって言われたらコッチは気にしちゃうんだよ!!
ああもう、こんな事なら最初に釘を刺しとけばよかった。
ブラックが性欲魔人なのは分かり切っていたと言うのに、カップルのデートスポットだからと油断してしまった……。
「えへへ……今日は潮風も控えめで気持ちいいねえ」
そんな事を言いつつ、俺の肩を抱くブラックは上機嫌だ。
さっきキスをしたことで満足したのか、肌がツヤッツヤになっている。これは多分、グリモアが栄養補給したんじゃなくて、単純にスケベ心が満足したからだろう。
こんちくしょう、好き勝手やりやがって……。
…………アンタじゃなかったら、どつき回してるんだからな。ほんとに。
「ツカサ君も、気持ちい?」
軽く首をかしげて聞いてくるブラックを一瞥し、俺も港を見る。
――なるほど、確かにここは良い景色だ。
遮るものが何もなくて、港と穏やかな海を一望出来る。
ここに大きな船が停まっていたら、それはそれで面白い風景だったかもしれない。
だけど……たまには、何もない海と波止場を見るのも良いかもな。
そう考えていると、段々気持ちが治まってくる。
ドキドキする気持ちは続いてるけど……でも、ブラックの肩に頭を預けてボーっとしていると、心地よくなってくるんだ。
……こんな風に思うのは、ちょっと恥ずかしいけど……ずっとこんな風にしててもいいかもしれないとか、そんなことをふんわり思ってしまうというか……。
「別の場所の海をじーっと見つめるのも久しぶりだね」
「うん……。いつもなら、二人でただ海を眺めるとかやらないもんな……」
大抵、観光地ばりにはしゃいだり、冒険や旅でやってくるからデートとかそういう雰囲気じゃないし……デートしてても何かに巻き込まれちゃうし……。
…………あれ、なんかこれ本当に普通のデートっぽくない……?
「ツカサ君?」
「わ゛っ、にゃっ、にゃんでもないっっ」
本当に何でもない、今のなし、なしだ。
っていうか噛んじゃったヤバいめちゃめちゃ恥ずかしい。
「ふふ……もう落ち着いたみたいだね! じゃあ、今度はお土産屋さんに行こうか」
さすがに今のはイジると怒られると思ったようで、ブラックはスルーしてくれた。
ホッ……なんとかなったな……。
とはいえ、ブラックはニヤついているが……ま、まあいい。
俺はブラックに手を引かれて立ち上がると、再び観光エリアに戻る事にした。
日は少し傾いて来ていて、もうすぐ夕方かなという感じだ。
思ったより二人でボーっとしていた時間が長かったらしい。
そんな事を思いつつ、次第にカップルが減ってきた道を戻り、俺は「次どこに行くんだろう」というのが気になって横に居るブラックの顔を見上げた。
「お土産屋さんって言ってたけど……ロクやクロウ達にお土産を買うのか?」
お留守番させてるんだし、何か買って行ってあげた方がいいよな。
そんな当たり前の問いかけだったのだが、ブラックは嫌そうな顔をして口を歪める。
「ロクショウ君はともかく、なんで他の奴らに土産を渡さなきゃいけないの……?」
「いやその反応にこっちがエェなんだが」
「んもー、ツカサ君の分からず屋っ。今日はデートなんだよ? 二人っきりでイチャイチャするための日なのっ! 僕達が買うのは別のもの!」
プンスカと音が出るくらいに怒っているブラックに、ごめんごめんと謝りつつ、目的地らしい新しめの土産屋に入る。
ここも見た事が無いな。俺達がリオルの事件を解決してから、ベイシェールには色々な人がやって来たらしい。そのおかげで活気も戻って来てるのかな?
不思議に思いつつ店内を見やると、土産物屋は新しいだけあってちょっとお洒落で、白い棚の下部には青い塗料で波のような模様が描かれている。
白を基調とした店内は、お洒落が分からない俺でもお洒落だとわかるぞ。
うーむ、こんな場所でブラックは何をお土産にしようというのだろう。
「ツカサ君、こっちこっち」
既に目星を付けているのか、ブラックは飴色に輝く新品の床板を踏み、店の奥へ俺を誘導する。店頭にはベイシェールでよく見かける土産物が置かれていたが、奥に行くと、お店のオリジナル商品ばかりになってきた。
貝殻などのモチーフが多いが、なんというかアクセサリーばかりな気がする。
こういうのは女子が喜びそうだな。
連れられながらキョロキョロと見渡していると、ブラックはお会計に近い棚で止まった。
そこは……オリジナルアクセサリーが集められた棚だろうか。
何を誰に贈るんだと思っていると、ブラックは最初から何かに目星を付けていたようで「あっ!」と声を漏らすと、一対の何かを取って俺に差し出してきた。
「ほらこれっ!」
嬉しそうに言いながら俺に見せるのは――――同じ色と模様をした、貝殻。
薄紫色の綺麗な貝殻に、青い綺麗な波の紋様が走っている。
だけどアクセサリーとは少し違っていて、体に付ける物ではなく、バッグなどに取り付けるための物のようだ。何だろうかと思っていると、ブラックが貝殻のふたを開けた。
「これね、中に曜具の綺麗な鉱石が入ってて……ほらっ、黒真珠! こっちは血涙真珠って言う、真っ赤な真珠だよ」
黒に、赤。
それって……俺の髪色と、ブラックの髪色って事……?
「な、名前が恐ろしいな……?」
「えへへ……琥珀色の鉱石ってあんまり無いからさ……。でもこれなら丁度いいと思って! また僕とツカサ君の“お揃い”が増えるよっ」
そう言いながら、嬉しそうに俺に赤い真珠が入った貝を握らせるブラック。
た、ただでさえ指輪が俺の中でインパクトがデカいのに、またお揃いを作られたら意識してしまうじゃないか。しかもこんな、真珠みたいなヤツ……。
し、真珠って高いのに……。
「……これ……」
「もちろん僕がプレゼントしてあげる! えへ……こういうのはオスの甲斐性だからね。僕もオスとして、いっぱい牽制……いや間違った。オスの甲斐性を見せなくちゃ!」
「お、お前なぁ……。でもプレゼントなんて今まで沢山もらってるのに……」
しかも、俺からのプレゼントなんて大体が手作りのモノだ。
それでもブラックは喜んでくれているが、その対価が高い物と言うのはいただけない。
慌てて「買わなくていい」と言おうと思ったのだが……ブラックの嬉しそうな顔に、言葉が引っ込む。お返しとか、「そういうものではない」と、無意識に理解したからだ。
……ブラックは、俺があげたプレゼントのお返しをしたり、オスの甲斐性を見せるためだけに、このお揃いの貝殻を買いたいわけではない。
ただ、単に……――――
これも“お揃い”だから、買いたかった。
まっすぐに見つめる目がそう言っているのを、分かってしまったんだ。
「っ……」
「ね、ツカサ君……真珠もだけど……この貝殻、そっくりでしょ? これ、ベイシェールでは“つがいの貝殻”って言われていて、とっても縁起がいい物なんだって」
――曰く、つがいの貝殻というものは、簡単に見つけられるものではない。
同じ種類の貝殻の中で、色も同じ、模様も同じ「別の貝殻」を見つけるのは、どんなに貝を育てていても数万の中で数十個見つかるかどうかだと言う。
それくらい、つがいとなれる確率は低い。
だからこそ、その一対になり得る貝は「一生離れないつがい」と見られ、それを贈られた者と贈った者は生涯心が離れることなく互いに幸せに暮らせるのだとか。
「つがいの……」
「……へへ……まあ、もちろん言い伝えだけどさ。でも……僕……ツカサ君とこういう、恋人が持ってたら嬉しくなるやつ、もっと欲しくなっちゃって……」
「…………」
照れたように頬を少し赤らめて、ブラックは困ったような朗らかな笑みを浮かべる。
いつもの外道な変態にはとても見えない、人懐っこくて……ちょっと、可愛い顔。
オッサンが何を言ってるんだといつもなら言うかもしれない。
けど……そんな風に、幸せそうに笑われると……何も、言えなくなる。
俺よりずっと長く生きてきて、色んな人と付き合ってきたんだろうに。それでも……俺との関係を大事に思って、嬉しく思って――――“お揃い”が欲しい、なんて、思ってくれる。
ただ「お揃い」の物が欲しいんじゃなくて、
純粋に、俺と共有できる大事な物が欲しいって――――思ってくれてるんだ。
ブラックのそんな温かくてむず痒い気持ちが、胸を引き絞るほど伝わってくる。
今日の事もただのデートじゃなくて……実は、この「お揃い」が欲しかったから一生懸命に考えて、デートとして連れ出そうとしたんだろう。
普通に「お揃いの物を買いに行こう」だなんて誘っても、味気ないから。
もっと一緒にいて、その記憶と共に「お揃い」を買いたかったから、そうしたんだ。
「…………アンタって人は、もう……っ」
そんな、不器用で子供っぽいブラックの純粋な気持ちが、分かってしまってつらい。
俺だってアンタが初めてなのに、アンタも初めてなんだと思うと……余計に何だか切ないような嬉しいような、泣きたくなるような……そんな気持ちになっちまうんだよ。
他人の事なんて、解らないのが普通なのに。
なのに、どうしてかブラックの気持ちだけは、解ってしまう。
いや、理解していると俺自身がうぬぼれたいのかも知れないけど……。
それでも……――
「ね、ツカサ君……これ、受け取ってくれる……?」
大きな手が、俺の頬に触れる。
切なげに微笑むその顔を見ていると、首を横になんて振れなかった。
「もう、高いモン買って……」
「ツカサ君との“お揃い”に、金額なんて関係ないでしょ?」
そう言いながら、いそいそとお会計に向かうブラックの背中はとても嬉しそうだ。
……金額なんて関係ないと言うけど、それでもさっき見た値札は目を剥くレベルのお値段だった。ブラック的には、それが「オスの甲斐性」なのだろう。
見栄を張りたくなる所は普通の人と変わらないんだなと思うと、ちょっと笑ってしまった。
でも……こんな事、言えないけど……可愛いと、思う。
たぶん、デートに来る前にどこかで“つがいの貝殻”の話を聞いたのだろう。
それで今までこっそりと調べて、お揃いの真珠が入っているのを見つけたから、ようやく俺をデートに誘ってここまでこぎつけたのだ。
そんな事をしてくれるヤツが、可愛く無くて何というのだろう。
見た目は完全にオッサンだし、むさ苦しいし、無精髭だし……可愛いと言うより格好いいと言った方がいいんだろうけどさ。
でも、俺からすればブラックは……お願いを聞いてやりたくなるほど、可愛いと思える。
誰よりも大切にしたい……大事な、恋人だった。
「ツカサくーんっ! えへっ、えへへっ買ったよっ! ほらほら、ツカサ君赤いのねっ。僕は、ツカサ君の黒い色! これも宝物にしようねっ」
だらしない顔で笑いながら俺に赤い真珠が入った方を握らせてくるブラックに、俺は苦笑しながら受け取った。
……大事にしよう。でも、根付にすると落としそうで怖いから……箱でも買おうかな。
「え? しまっちゃうの?」
「だーから心の声を読むなっつーに!! ……まあその、お、落しちゃいそうだし……」
土産物屋から出て、再びブラックと横に並んで夕暮れになったベイシェールの道を歩く。
この色なら、俺の頬が熱くなっていても解らないかな。
そんなことを考えていると、ブラックが嬉しそうに横から覗きこんできた。
「僕とツカサ君の思い出がいっぱいの宝石箱かぁ~! いいねそれっ! へ、へへっ、僕も作っちゃおうかな……ツカサ君との思い出が沢山のキラキラな宝石箱」
「んん……ま、まあ……好きにすれば……」
宝石箱とか言われちゃうとなんか恥ずかしくなってくるんだけど。
でもまあ、それくらいしっかりしてた方が失くさないかな?
ブラックからプレゼントして貰ったものは、なくしたくない。
……まあ、中にはスグにでも捨てたい大人の玩具とかもあるけど……でも、それ以外なら大切にしまっておきたいからな。
「ふへへ……ツカサ君、じゃあさ、僕が宝石箱作ってあげようか?」
「えっ……ブラックが? あっ、でもそうか……金の曜術で作れそうだな」
「でしょでしょ? だから今から相談しない? あ・そ・こ・で」
そう言いながらブラックは俺の視線を誘導するように人差し指を動かす。
すると、その指先が示す方向には――――
ド派手でピンクな、三階建ての真新しい建物が……。
「でっ」
「ツカサ君、ここね……蔓屋の道具をたくさん置いてある宿なんだって……。連れ込み宿を、恋人同士で楽しめるようにした新しい宿なんだよっ! さあ行こう!」
一瞬何も言えず思いっきり変な声を出してしまった俺を、窓の明かりがいくつも点いているピンクな建物に引っ張るブラック。
しばらく放心していたが、俺はなんとか我に戻り、ちょっと待てと足を踏ん張ろうとした。
だが、ブラックの腕力に俺が敵うはずもなく……。
「ちょっ、ま、待て! ブラック待て!! デートでそれは行き過ぎだってば!」
「いやいや今はこれが流行ってるんだから、僕達もアツアツな恋人としてデートに取り入れなくちゃでしょ!? ほらほらツカサ君部屋も沢山あるって! いやぁどれがいいかなぁ。僕はやっぱりご主人様とメイドの気分が味わえるおしおき部屋……」
「だーーーっ、これのどこがデートなんだよーっ!」
これはただの連れ込み宿だ。
そう主張したが、それでも今日のデートした時間を取り消せるはずもなく、俺は「デートの一環だから」と言われながらとうとう連れ込まれてしまったのだった。
…………その後の事は、語りたくない。
……い、いや、デートが楽しかったとか、二人きりの思い出だから秘密とか、そう言うんじゃないんだからな!!
もう不意のデートなんてコリゴリなんだからな!?
おわり
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