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サブメイン攻め×ツカサ
アドニス×ツカサ2(リクエスト、詳細は内容にて)
※三井さんリクエスト
「ノベルゲームコレクションにアップしている
【暫定版思い出を作ろう】のアドニスエンディング後
ひまわり畑に行く二人。ほのぼの甘々」
リクエスト本当にありがとうござました!(*´ω`*)人
当社比で甘目ですw
――――――――――――――――――
※※注意!※※
第一部のネタバレが含まれます!
まだ読んでいない方はご注意ください!
「いやー、ホントに連れて来てくれるとは思わなかったな……」
そんな事を言いながら見渡すのは、一面の花畑。
強い日差しに照らされながら広がっている、ひまわり畑だった。
……いや、ひまわりって言っていいのかな……?
この広い畑一面に植わっている黄色く背の高い花は、とてもひまわりに似ているんだけど……実際は、【太陽花】という異世界の花だ。
俺も以前ちょっとだけ育てたことがあるんだが、この花は色といい育った形といい、実にひまわりと似ているのだ。
でも、アドニスが言うには「常夏の国の熱く厳しい太陽を浴びて育つため、湿潤で穏やかな常春の国では育ちにくい」という事で、やっぱり俺の世界の「ひまわり」とは違うような感じもしてくる。
だって、俺の世界の「ひまわり」は、夏の花ってだけで別にギンギンの太陽が必要な花ってワケでもなかったんだもんな。
むしろ日差しが熱すぎると枯れちゃうみたいだし、そこを考えると……やっぱりこの【太陽花】も異世界の植物なんだなと実感が湧いてくる。
なにせ俺達が今いる所ってのは、常夏の国の中でも砂漠や荒野が広がるかなりの暑さを誇る地帯だ。行き交う人も少ないこんな場所に、すくすくと育って群生している花が存在するなんて、普通の人は思うまい。
ほんと異世界の植物ってビックリだよなぁ。
アドニスに連れてきて貰うまで、俺も正直ちょっと疑ってたよ。
でも「荒野を越えた先の村が、見せると約束していた【太陽花】畑ですよ」とアドニスが言うもんだから、まあ嘘ではないと思っていたけど……それにしても、こんな綺麗な光景ってのまでは想像できなかった。
畑を囲う畝から周囲を見回すと、村の外は本当に草木もまばらな荒野なのに……この広く高い畝の中には、青々とした緑と広大な花畑が広がっている。
まるで夢みたいな光景だ。旅人だって驚いちゃうだろうな。
一日二日の距離じゃない砂漠と荒野を抜けた先に、黄色の宝石みたいな花畑……長い旅をしてこんな光景に辿り着けば、感動も一入ってもんだろう。
まあ俺はアドニスが【異空間結合】で一っ跳びに連れて来てくれたので、困難な道のりを進まずに済んだんだが。
……ちょっとズルしているような気もしたけど、それは仕方がない。アドニスが好意で連れて来てくれたワケだしな。ここは素直に喜ぼうではないか。
我ながら面倒臭い事を考えつつ、目の前に広がっている太陽花畑を見つめていると、アドニスが横から話しかけてきた。
「おや、私が約束を違えるような男に見えましたか? それは心外ですねえ」
さっきの俺の「本当に連れて来てくれるとは」という発言に、薄い微笑を浮かべて、金色の瞳を瞼で細める。その姿は、一見すれば怪しい魅力の美形そのものだ。
髪に緑色の光の環がなければ、黒髪にも見えるような長髪。整った顔立ちだけど、通った鼻筋や男性的な輪郭は、女性と見紛うほどではない。
綺麗で得体のしれないイケメンと言った感じだった。
……って、なんで俺はコイツを褒めてるんだ。
俺は美形の男を褒める趣味なんてないぞ。あーったくヤダヤダ、顔の概要を改めて観察するだけで褒め言葉になるんだから、イケメンってのは本当いけ好かないよ。
しかもさあ、相変わらず体を隠すようなどこもかしこも長い服のくせに、どうも暑さを感じていない所もイケメンっぽさがあってムカつくわ。
まあたぶん、木属性だけじゃなく氷の能力も持ってるから、常夏の地域にいようが常冬の国の服装でも耐えられるんだろうけど……。
「ツカサ君、人をジロジロ見るのは結構ですが、そう熱っぽい視線を送られると少々勘違いしてしまいますよ? そんなに私の顔が好みなんですねえ君は」
「はぁーっ!? 違いますけど!?」
「おやおや、そんなに顔を真っ赤にしていては、ちっぽけな意地を張ってもまるで効果がありませんねえ。 君は本当に背丈以下の思考力しかないようで」
「キーッ!!」
ぐううう、本当にこのイヤミったらしい眼鏡はっ!!
でもここで背丈の事を言うなと言い返すとヤブヘビになりそうで言い返せない。
けどムカツクううう……。
背丈以下って、別に俺は背が低いわけじゃないんだからな!
俺は本当に、ほんっとうに平均身長ギリギリ以下なだけで、アドニスみたいな長身ばっかの異世界人からすればチビってだけだし! 本当は違うし!!
あと顔も赤くなってないし全部間違いなんだからな、ホントだからな!?
「あっはっは、いやぁ本当に愉快ですねえ君は。何度からかっても飽きませんよ」
「お前の楽しみのためにからかうんじゃねーっ!! 俺をからかうためだけにココに来たのかアンタは!」
「おや心外ですね、私は手紙に書いたように君をお誘いしたというのに」
なーにがお誘いだ。
このドS眼鏡は本当に俺をからかうためだけに色々やるからな……。
あの手紙だって、息抜きに俺で遊びたかったから誘ったのかも知れん。
疑惑は充分にあるぞ。俺は騙されないんだからな。
こんな綺麗で楽しそうな花畑に連れてきて貰っても、油断しないんだからな!
「いやぁ……本当に君は分かりやすいですねえ」
「なんだよ!」
「何でもありませんよ。……まあ、からかうためじゃないのは本当ですよ? 今回は、純粋に君が喜ぶと思って連れてきましたから」
「…………ホント?」
金色の瞳を見上げると、相手は口を弧に歪め猫のように目を細める。
相変わらず真意の見えない笑みを浮かべるけど……アドニスのこういう時の笑みは、少なくとも嘘を言ってはいない……と思う……。
だったら、俺のためっていうのは本当なのかな?
見上げた相手は、俺にアピールするように口角を軽く上げて見せた。
「本当ですよ。君との約束に関しては、絶対に嘘などつきませんから」
「……そっ……そう……」
ああもう、なんでそう急に真面目な事を言い出すんだか。
男相手に真っ直ぐ見つめながら言うもんじゃないんだってのに、なんでそうジッと俺に視線を合わせてくるんだよ。
これもおちょくりの一貫なら良かったんだけど、アドニスってヤツは毎回こうして突然真面目な事を言うんだ。こういう時は本当にからかってこないから、その……困る。
だって、いつもはからかってばっかりなのに、なんか……ぐうう……もういい。
「ご機嫌が治ったようで何よりです。頬は赤いままですけどね」
「だーっ、うるさいっ! もういいから花畑いくぞ花畑!」
もうこれ以上会話を続けても、俺が負けるのは決まり切っているのだ。
こういう時はブラック以上にヤな奴だなと思いつつ、高い畝から降りて花の群れに近付くと……不意に、独特な甘い香りが漂ってきた。
カラメルみたいに濃くて、ハチミツみたいな深さがある。でも澄んだ柑橘系の匂いが感じられる、独特な良い香りだ。もしかしてこれが【太陽花】の匂いなんだろうか。
アドニスに聞きたくて振り返ると、相手はいつもの微笑みを浮かべて頷いた。
「これだけ群生していると、注意深く探らずとも香ってくるでしょう? 太陽花の花の蜜は、蜂達にとってもごちそうらしいです。咲き終わった後の種を搾って作る油は、油と言うよりも澄んだ味の甘いお茶のようだと言われています」
「マジで!? うわぁ……油なのにそんな普通に飲めちゃうんだ……! なあなあっ、アドニスも飲んでみた事があるのか!?」
簡単な説明だけでももう美味しそうで、つい興奮して訊いてしまう。
そんな俺に、アドニスは苦笑交じりの笑みでクスクスと笑いつつ答えてくれた。
「ええ、私も薬草を求めて大陸を旅したことがありますから。まさに、この香りを凝縮し砂糖を含ませたような甘い油でしたよ。……ですが、太陽花がこんな風に強い香りを発するのは、たったの数日だと言われているんです」
「えっ……こんなに良い香りするのって、そんなに短いの?」
桜でも一週間は頑張ってくれるのに、太陽花は厳しい環境で咲くにもかかわらず、ずいぶんと儚い命のようだ。
まあでも一夜しか咲かない花ってのもあるし……花ってのも色々だよな。
それにしても、アドニスってばよくドンピシャな時期に俺を誘うことが出来たな。そんな絶妙なタイミングが必要なら、事前のリサーチとかも頻繁に行ってただろうし……その間、仕事とか大丈夫だったんだろうか。
っていうか、今も無理してないのかな。
少し心配になって顔を見上げると、アドニスは俺を見返して説明の続きを語った。
「油は後で楽しめますが、香りばかりは満開の時期がまちまちでしてね。ここに私が来るときは、いつも大体さかりを過ぎた後だったんです。……ですが今回は、ちゃんとこちらで話を聞いて、日程を調整しましたからね。間に合って本当によかった」
「アドニス……」
ああ、やっぱり俺の為に仕事の時間をやりくりしてくれたんだ。
そう思うと申し訳なくて、つい沈んだ声を漏らしてしまう。
「どうしました。日差し、強かったですか?」
「あ、いやそうじゃなくて……アドニスって忙しいだろ? だから、調整したってことは、仕事が大変だったんじゃないかと思って……」
そう。本来なら、アドニスは忙しい身なのだ。
この金色の瞳を持つ眼鏡のお兄さんは、なんたってこの世界でも有名すぎる「世界最高の薬師」の称号を持つ男なんだからな。
……まあ、笑顔が怖いとか皇帝付きの薬師なのにアダルトグッズ作って売ってる変た……ゴフンゴフン。ともかく、そう思えない腹黒さがあるんだけど……でも、凄い薬を調合して人を救ってくれているのは確かだ。
薬草や薬、植物の知識も凄いし……まあ、そこは尊敬してないでもない。
だから、余計に俺がお邪魔して良かったのかなと思うわけで。
「ツカサ君、今なにか分不相応な上から目線を私に向けませんでしたか」
「むむ向けてねえよなんでだよ! ていうかアンタも人の心読むの!? そういうの本当やめてくれません!?」
ていうか分不相応ってなに!
俺がザコだってことか、ああそうですけど何かっ。
でも心の領空は侵犯しないで貰えますかねえ!
「本当に君は分かりやすいですねえ……。まあ、それは置いておくとして……別に、何も大変ではありませんよ。だから君は心配しなくてもいい」
「う……でも……」
食い下がろうとしたが、そんな俺の口にアドニスは指を当ててムリヤリ閉じた。
細くて長い指なのに、力強くて思わずなすがままになる。
そんな俺を見て、アドニスは満足そうに口角を上げた。
「私を心配してくれるのは嬉しいことですが、そう想ってくれるなら……今、私と二人きりで花畑にいることを楽しんでください。楽しいと思ってくれないと、せっかく君の為に用意した私が報われませんよ?」
「んぐ……」
そんな軽口を叩きながら、綺麗な顔で覗き込んでくるアドニス。
微笑んでいる顔は、ちょっとだけ悪戯っぽい感じを含ませている。いつもの笑みとは少し違う、アドニスの素が出たみたいな表情だ。
いつも貼り付けたようなアルカイックスマイルを浮かべているけど、ちゃんと見ていれば、アドニスの笑顔って色んな種類があるんだよな。
仲間になってみると、アドニスも表情豊かなんだなって分かるんだ。
……実は、それがちょっとだけ、嬉しかったりする。
今だって本心から俺に「気にするな」と言ってくれてるんだろう。
だったらあまり気に病むのも行けないかなと思い、俺はこくりと頷く。
そんな俺の様子に満足げに口角を少し上げると、アドニスは指を離した。
「では、すこし花畑の中を歩いてみましょうか。【太陽花】は綺麗に整列させると、ヘソを曲げて花を咲かせなくなってしまうらしいので、あえてバラバラに植えられているんですよ。天然の迷路になっているので、離れないようにしてください」
「えっ、迷路!?」
花の迷路だなんて、そんなの滅多にないアトラクションじゃないか!
ガキの頃、コスモス畑に連れて行かれたことがあるけど、アレのちゃんとした迷路版ってことだろ。ニュースでは見たことがあるけど、こんなに広大な花の迷路ってのは人生初めてだ。そんなのやるに決まってるじゃないか。
「おやおや、本当に君はこういうのが好きなんですねえ」
「あったりまえじゃん、花の迷路なんてめったにないんだぜ!?」
「ふふっ……十七歳にもなって、こういう可愛らしい自然物ではしゃげるのは、かなり珍しいと思いますがね」
「ぐっ……い、いるし! そういう人も中にはいるって!」
昔は男らしさが必要だったから、あんまり表に出さない人もいたかもしれないけど、今の時代は何でもアリなんだ。男だってぬいぐるみを可愛いと思うし、花が大好きな人だっているだろう。だから俺がはしゃぐには当然の事のはず。
俺は可愛い小動物は可愛いと言い続けるぞ!
「まあ、そういう事にしておきましょうか。では、はい」
なんか軽い感じでスルーされたと思ったら、また手を差し出された。
どうしたのかと思ったら、アドニスは俺にアピールするように手をくいくいと動かす。
「なにその手は」
「君を自由にさせたら、迷子になりそうですからね。手を繋いでください」
「ええー!?」
思ってもみない事を言われて思わず驚いてしまうが、しかしアドニスは相変わらずの微笑みを浮かべたままで、圧力をかけてくる。
笑顔の圧力こわい。
「おや、では迷子になって置いて行かれる方が良い、と? ほう、そうですか。では、帰りは私一人で戻りましょうかねえ」
「わーもー分かった分かった! 繋げばいーんだろ、繋げば!」
アドニスの場合、ここでゴネたら帰るまでめちゃくちゃ突き回されるからな……。
コイツはマジで暇さえあれば俺の事をおちょくってくるので、早いところ降参の旗を振っておいた方が身のためだ。でも、手を繋ぐって……うう……。
しかし「やる」と言ってしまったんだから仕方ない。
俺は躊躇いながらも、こちらに掌を向けるアドニスの手に触れた。
と、アドニスはそれを見て笑みを深め、ゆっくりとこちらの手を握ってくる。
でも、普通に握るんじゃない。
向きを変えると、俺の指の間にするりと自分の指を捻じ込んできて、逃がさないとでも言うようにしっか握りしめてくる。
普通の手繋ぎじゃない。
こちらが指をだらんとしていても抜け出せないように掴まれていて、俺は思ったのと違う手繋ぎに思わず狼狽えてしまった。
だ、だってこんな、恋人繋ぎみたいな感じで来ると思わなかったし……。
流石にコレはしっかり繋ぎ過ぎなんじゃないかとアドニスを見たけど、相手は俺の戸惑う表情がよほど面白いのか、どこか上機嫌な笑みを浮かべるばかりだ。
どうしたって、離してくれなさそう。
……俺、そんなに迷うと思われてるんだろうか。
それとも、その……いや、アドニスに限ってそんなことないか……。
でも俺の方が恥ずかしいんだってば。
せめて普通の繋ぎ方にしてくれないだろうか。
「あ、アドニス……俺、もうちょっと普通の繋ぎ方でも良いんだけど……」
「駄目です。君にはこのくらいしないと。いつも興奮して飛び出すんですから」
「ぐ……そ、それは反論できない……」
「でしょう? ですから、このままでいましょう。さ、行きますよ」
そう言って、アドニスは俺の手を引き太陽花畑の迷路の入口に入る。
ぐいっ、と、思ったより強い力で引っ張られて、俺はつんのめりつつも慌てて体勢を立て直し、アドニスの横に並んだ。
……そういえばアドニスって、結構力が強いんだよな。
ブラック達よりも細めの輪郭だから、たおやかな美青年……みたいな感じに思えちゃうんだけど、実際は長身で輪郭もワリと男性寄りだ。
手だってホッソリしてて指も綺麗だけど……実際触れてみると、女の子の手の方が柔らかくてすべすべなのは分かるし、手の甲は男らしく太い筋が見える。
なにより、握る手の大きさは、大人の男性そのものだった。
…………そ、そっか。
アドニスも、綺麗な顔してるけど大人の男なんだよな。
っていうか実際は、何百年なんて言わないほど生きてるんだっけ……。
そう思うとなんだか不思議で、俺は周囲の花よりアドニスの横顔の方が気になってしまい、ついチラチラと相手を見てしまった。
――――やっぱり、植物と一緒にいるアドニスは活き活きしてるようにみえる。
薬師だからと言うだけじゃなくて、本当に植物そのものが好きなんだろうな。太陽花に囲まれているのを見ると、まるで物語の中の人みたいだ。
手を繋がれたままそんなことを思っていると、不意に金色の瞳がこちらを見た。
「……折角の太陽花の畑なのに、そんなに私の事が気になりますか」
「えっ、い、いや……そうじゃなくて……その……」
「楽しくありませんでしたか?」
あまり気にしていないような言葉遣いだけど、でもちょっとしょんぼりしているような気がする。アドニスなりに、今日はかなり気合を入れてたんだろうか。
だとしたら申し訳ない。っていうか誤解だってば。
ああでも、こんなの俺が話したら恥ずかしくないだろうか。
しかし折角アドニスが誘ってくれたのに、俺が喜んでいないと思われるのは嫌だ。
ぐうう……し、仕方ない……。
いつの間にかだいぶ深いところまで迷路を進んでしまったみたいだけど、俺は一度立ち止まり、改めてアドニスと向き合う。
相手は笑みを収めて、ほんの少しだけしょげたような雰囲気を醸し出していたが、俺の返答を待ってくれているようだ。
そんな素直な相手に、更に言いづらさが増してしまったけど……俺は、意を決して口を開いた。
「た、楽しいよ! でも、あの……あの……」
「あの?」
「あ……アドニスが、植物を見てイキイキしてるなって……ほんとに植物のこと、好きなんだなって思ったら……つい……目が、離せなくなって……」
………………。
あ゛~~~~恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい!!
何言っちゃってんだよ俺、マジで口にしたら恥ずかしすぎる!!
なにガラにもないこと言ってんだ、これじゃなんか口説いてるみたいじゃないか!
でも思っちゃったんだから仕方ないだろ、好きなことして嬉しそうにしてるヤツの事を「良い顔だな」って思うのは普通のことじゃん、当たり前じゃんか!
そ、それなのに、なんで俺が言うとこんな意味深に聞こえちゃうんだろう。
どう考えても下心があるナンパ男みたいじゃないか!
こんなの、ブラックとかアドニスみたいなイケメンが言えば真っ当なセリフだなって思えるのに、なんで俺みたいなのが言うといやらしさが滲み出るんだろう。
そんなんじゃないのにっ、お、おれはただ普通に……。
「……――――」
えっ。
あれ、な、なんか、目の前が白くなった。いや別に意識が飛んだわけじゃなくて、今まで太陽花の黄色が眩しかったのに、急に白い……服がめのまえに……。
…………え、も、もしかして俺今、アドニスに抱きしめられて……っ。
「あああアドニスっ!?」
なになに何してんのアンタっ、なんでここで急に抱きしめてくるんだ!?
ちょっ、ちょっとマジで離れて……っ。
「君って子は……どうしてそんな風に、私を煽るんですかね……」
「ふえっ!? あ、あおるって、別に……っ」
「煽ってますよ、充分に。大人しくしてなさい」
えええ……俺そんな、別に……。
でも、今口答えをするとヤブヘビになりそうで何も言えない。
……し……仕方ない……しばらくこのままでいるか……。
いや、しかし、人が来たらどうしよう。
花の迷路だっていっても入口があるんだから、途中の道でこんなことをしてたら後から入った人に見られちゃうんじゃないの。
そうなったら俺もう顔が熱で爆発する気がする。
ただでさえ今でも予想外の事に心臓がバクバクしてるのに……っ。
「あ……あどにす……」
「……君は、いつも温かいですね」
「ぅえ……?」
変な声を出してしまったが、アドニスは構わずに俺を抱きしめ続ける。
……温かいって、体温が?
そういえば……アドニスに抱きしめられてるけど、不思議と熱くないな。
もしかして、アドニスが氷の能力で冷やしてくれているんだろうか。
…………な、なんでそう、人に言わない心遣いをやってくれるんだお前は。
これじゃあ「熱いから」って離れられなくなっちゃったじゃんか。
あったかいだなんて、暑いこの国の気候じゃ面倒なだけなのに……。
「ふ……。納得いってませんか。でも、ツカサ君が悪いんですよ? 君の事を好きなオスに、そんな蠱惑的な言葉を贈るから、こんなことになるんです」
「こっ、こわくてき!? そんなこと言った覚えないし……っていうか、当たり前のことを言っただけでなんでそんな……」
「そうやって無自覚なのが堪らないんですよ。悪い子ですね、いいから大人しく抱きしめられていなさい。でなければ、一生この迷路から出しませんよ」
「ヒェッ……」
うう、アドニスなら本気でやりかねない……。
それに、お、俺のこと好きなオスって、あんた……なんでそんな、サラッとそういう事を言えちゃうんだよ。アンタみたいな感じのヤツなんて、普通そんなことはプライドが邪魔して言えないんじゃないのか。
なのにどうして、そうハッキリ言っちゃうんだよ。
そんなの、困るよ。
「……ドキドキしてますね。顔や体の熱が伝わってきますよ」
「う、うるさいなあっ! アンタが変なコト言うからだろ!?」
「ツカサ君を愛しているという話ですか? 変な事ではないと思いますけどねえ」
「だーっ、だからそう平気で言えるのがあっ!」
ああもうヤダやだやだ恥ずかしい、恥ずかしいんだってば!
いや、アドニスの事がじゃなくて俺が恥ずかしいんだよ。だって、そんな、ブラックに言われるのだけでも未だに慣れないのに、こんな雰囲気があるところで二人っきりで、アドニスみたいなイケメンに抱きしめられながら「好き」とか言われたら、そんなのオッサンだってきっとこんな風になるじゃんか。
なのにこの自分の容姿の良さを全力で使い倒す眼鏡は、平気でスキだとか言うし、一生迷路から出さないとか好き放題言ってくるし……!
「仕方ないじゃないですか。喜んでもらえると思って花畑に連れてきたら、愛しい君はそれ以上に私の姿に喜んでくれたんですから。……それが愛しいと思えないというのなら、私は常冬のオーデルより寒々しい性格をしてることでしょうね」
「え、ええ……そこまで言わなくても……」
そこまで言う?
じゃあ、その……。
嬉しかったんなら、まあ……い、良いんだけど……。
でも、自分の事をそこまで言うのはちょっと飛びすぎちゃってないか。
俺だってそこまでアドニスのことを貶さないぞ。
「だって、そうじゃないですか」
なのに、アドニスは少し拗ねた子供みたいな声でそう言ってくる。
少し拘束が緩んだのを感じ、体を離してアドニスの顔を見上げると――――
アドニスは、少し頬を赤らめて……
何かを堪えるような表情で、僅かに眉を歪めていた。
「あ……」
「……私が、こんな顔をしているのは……おかしいですか?」
やっぱり、ちょっと拗ねたような口調。
こんな風な事を言うなんて思っても無かったので、俺は言葉を失ってしまった。
なんか……な、なんも、言えない……。
なんだろう、相手も照れてるのかなって思ったら、またドキドキしてきた。
心臓が凄くうるさくて苦しい。
そんな顔で俺を見ているなんて思わなかったから、その……。
「お……おかしく、ない……けど……」
「だったら、今は大人しく抱きしめられていてください。……私が変な気を起こさないように。ただ嬉しいという気持ちだけでいられるように」
「な、なにそれ……」
「ツカサ君は、私を煽り過ぎなんですよ。…………本当にこの花迷路に閉じこめられたくないなら、大人しくしていることです」
そんなこと言ったって、アンタの腕の中なのは変わらないじゃないか。
でも……そんなふうに詰られたら、何も言えなくて。
……仕方ない。
アドニスが何も言うなっていうなら、俺は黙って抱きしめられていよう。
なんだかもう、花畑どころの話じゃなくなっちゃった。
折角アドニスが時間を作って連れてきてくれたのに、綺麗だし良い香りなのは確かなのに、もうアドニスしか見えない。
それに、香りだって……抱きしめられていると、花の香りよりも……アドニス自身の不思議な良い香りがほのかに香ってきて。
ひんやりとした相手の空気ですら、外の環境から俺を囲っている。
アドニスだけしか、感じられない。
「――――~~~っ……」
そんな事を考える自分がやっぱり恥ずかしくて、俺はしばらくの間ずっとカッカしたまま黙っている事しか出来なかった。
一時間以上は、花畑の中に居ただろうか。
やっと解放された俺は、やっぱりアドニスと手を繋いだままで花の迷路からようやく脱出することが出来た。どうやら終身刑は免れたらしい。
抱きしめられたり手を握られるのは恥ずかしかったけど……でも、アドニスの機嫌がこの上なく良くなったので、まあ何も言わないでおこう。
…………あ、あんなことくらいで上機嫌になられると、俺の方が恥ずかしいんだけど……でも、綺麗な場所に連れてきてくれたお礼は出来たのかな。
見上げると、アドニスは心底嬉しそうな笑みで微笑み、俺の頬を撫でた。
「太陽花の香りがするツカサ君も良いなと思っていたんですが……やっぱり、ほのかに自分と同じ香りを纏ってくれる方が嬉しいものですね」
「っ……!!」
「今度は、天木蓮という花を見に行きましょうか。水上にとても軽い樹木が成長して、蓮のように美しい花が咲くんですよ」
あっ、ああもう、急に次の話題に行くっ。
顔から火が出るくらいのことを言われたのに、この気持ちはどうすりゃ良いんだよ。
でも俺からツッコミを入れるとまた話がこじれるしぃい……ああもうっ、このイジワル眼鏡! なんでそう俺を振り回すんだよバカー!!
ちくしょう、もういいっ、わ、忘れる。
今日の事は絶対忘れてやるからな!!
おわり
「ノベルゲームコレクションにアップしている
【暫定版思い出を作ろう】のアドニスエンディング後
ひまわり畑に行く二人。ほのぼの甘々」
リクエスト本当にありがとうござました!(*´ω`*)人
当社比で甘目ですw
――――――――――――――――――
※※注意!※※
第一部のネタバレが含まれます!
まだ読んでいない方はご注意ください!
「いやー、ホントに連れて来てくれるとは思わなかったな……」
そんな事を言いながら見渡すのは、一面の花畑。
強い日差しに照らされながら広がっている、ひまわり畑だった。
……いや、ひまわりって言っていいのかな……?
この広い畑一面に植わっている黄色く背の高い花は、とてもひまわりに似ているんだけど……実際は、【太陽花】という異世界の花だ。
俺も以前ちょっとだけ育てたことがあるんだが、この花は色といい育った形といい、実にひまわりと似ているのだ。
でも、アドニスが言うには「常夏の国の熱く厳しい太陽を浴びて育つため、湿潤で穏やかな常春の国では育ちにくい」という事で、やっぱり俺の世界の「ひまわり」とは違うような感じもしてくる。
だって、俺の世界の「ひまわり」は、夏の花ってだけで別にギンギンの太陽が必要な花ってワケでもなかったんだもんな。
むしろ日差しが熱すぎると枯れちゃうみたいだし、そこを考えると……やっぱりこの【太陽花】も異世界の植物なんだなと実感が湧いてくる。
なにせ俺達が今いる所ってのは、常夏の国の中でも砂漠や荒野が広がるかなりの暑さを誇る地帯だ。行き交う人も少ないこんな場所に、すくすくと育って群生している花が存在するなんて、普通の人は思うまい。
ほんと異世界の植物ってビックリだよなぁ。
アドニスに連れてきて貰うまで、俺も正直ちょっと疑ってたよ。
でも「荒野を越えた先の村が、見せると約束していた【太陽花】畑ですよ」とアドニスが言うもんだから、まあ嘘ではないと思っていたけど……それにしても、こんな綺麗な光景ってのまでは想像できなかった。
畑を囲う畝から周囲を見回すと、村の外は本当に草木もまばらな荒野なのに……この広く高い畝の中には、青々とした緑と広大な花畑が広がっている。
まるで夢みたいな光景だ。旅人だって驚いちゃうだろうな。
一日二日の距離じゃない砂漠と荒野を抜けた先に、黄色の宝石みたいな花畑……長い旅をしてこんな光景に辿り着けば、感動も一入ってもんだろう。
まあ俺はアドニスが【異空間結合】で一っ跳びに連れて来てくれたので、困難な道のりを進まずに済んだんだが。
……ちょっとズルしているような気もしたけど、それは仕方がない。アドニスが好意で連れて来てくれたワケだしな。ここは素直に喜ぼうではないか。
我ながら面倒臭い事を考えつつ、目の前に広がっている太陽花畑を見つめていると、アドニスが横から話しかけてきた。
「おや、私が約束を違えるような男に見えましたか? それは心外ですねえ」
さっきの俺の「本当に連れて来てくれるとは」という発言に、薄い微笑を浮かべて、金色の瞳を瞼で細める。その姿は、一見すれば怪しい魅力の美形そのものだ。
髪に緑色の光の環がなければ、黒髪にも見えるような長髪。整った顔立ちだけど、通った鼻筋や男性的な輪郭は、女性と見紛うほどではない。
綺麗で得体のしれないイケメンと言った感じだった。
……って、なんで俺はコイツを褒めてるんだ。
俺は美形の男を褒める趣味なんてないぞ。あーったくヤダヤダ、顔の概要を改めて観察するだけで褒め言葉になるんだから、イケメンってのは本当いけ好かないよ。
しかもさあ、相変わらず体を隠すようなどこもかしこも長い服のくせに、どうも暑さを感じていない所もイケメンっぽさがあってムカつくわ。
まあたぶん、木属性だけじゃなく氷の能力も持ってるから、常夏の地域にいようが常冬の国の服装でも耐えられるんだろうけど……。
「ツカサ君、人をジロジロ見るのは結構ですが、そう熱っぽい視線を送られると少々勘違いしてしまいますよ? そんなに私の顔が好みなんですねえ君は」
「はぁーっ!? 違いますけど!?」
「おやおや、そんなに顔を真っ赤にしていては、ちっぽけな意地を張ってもまるで効果がありませんねえ。 君は本当に背丈以下の思考力しかないようで」
「キーッ!!」
ぐううう、本当にこのイヤミったらしい眼鏡はっ!!
でもここで背丈の事を言うなと言い返すとヤブヘビになりそうで言い返せない。
けどムカツクううう……。
背丈以下って、別に俺は背が低いわけじゃないんだからな!
俺は本当に、ほんっとうに平均身長ギリギリ以下なだけで、アドニスみたいな長身ばっかの異世界人からすればチビってだけだし! 本当は違うし!!
あと顔も赤くなってないし全部間違いなんだからな、ホントだからな!?
「あっはっは、いやぁ本当に愉快ですねえ君は。何度からかっても飽きませんよ」
「お前の楽しみのためにからかうんじゃねーっ!! 俺をからかうためだけにココに来たのかアンタは!」
「おや心外ですね、私は手紙に書いたように君をお誘いしたというのに」
なーにがお誘いだ。
このドS眼鏡は本当に俺をからかうためだけに色々やるからな……。
あの手紙だって、息抜きに俺で遊びたかったから誘ったのかも知れん。
疑惑は充分にあるぞ。俺は騙されないんだからな。
こんな綺麗で楽しそうな花畑に連れてきて貰っても、油断しないんだからな!
「いやぁ……本当に君は分かりやすいですねえ」
「なんだよ!」
「何でもありませんよ。……まあ、からかうためじゃないのは本当ですよ? 今回は、純粋に君が喜ぶと思って連れてきましたから」
「…………ホント?」
金色の瞳を見上げると、相手は口を弧に歪め猫のように目を細める。
相変わらず真意の見えない笑みを浮かべるけど……アドニスのこういう時の笑みは、少なくとも嘘を言ってはいない……と思う……。
だったら、俺のためっていうのは本当なのかな?
見上げた相手は、俺にアピールするように口角を軽く上げて見せた。
「本当ですよ。君との約束に関しては、絶対に嘘などつきませんから」
「……そっ……そう……」
ああもう、なんでそう急に真面目な事を言い出すんだか。
男相手に真っ直ぐ見つめながら言うもんじゃないんだってのに、なんでそうジッと俺に視線を合わせてくるんだよ。
これもおちょくりの一貫なら良かったんだけど、アドニスってヤツは毎回こうして突然真面目な事を言うんだ。こういう時は本当にからかってこないから、その……困る。
だって、いつもはからかってばっかりなのに、なんか……ぐうう……もういい。
「ご機嫌が治ったようで何よりです。頬は赤いままですけどね」
「だーっ、うるさいっ! もういいから花畑いくぞ花畑!」
もうこれ以上会話を続けても、俺が負けるのは決まり切っているのだ。
こういう時はブラック以上にヤな奴だなと思いつつ、高い畝から降りて花の群れに近付くと……不意に、独特な甘い香りが漂ってきた。
カラメルみたいに濃くて、ハチミツみたいな深さがある。でも澄んだ柑橘系の匂いが感じられる、独特な良い香りだ。もしかしてこれが【太陽花】の匂いなんだろうか。
アドニスに聞きたくて振り返ると、相手はいつもの微笑みを浮かべて頷いた。
「これだけ群生していると、注意深く探らずとも香ってくるでしょう? 太陽花の花の蜜は、蜂達にとってもごちそうらしいです。咲き終わった後の種を搾って作る油は、油と言うよりも澄んだ味の甘いお茶のようだと言われています」
「マジで!? うわぁ……油なのにそんな普通に飲めちゃうんだ……! なあなあっ、アドニスも飲んでみた事があるのか!?」
簡単な説明だけでももう美味しそうで、つい興奮して訊いてしまう。
そんな俺に、アドニスは苦笑交じりの笑みでクスクスと笑いつつ答えてくれた。
「ええ、私も薬草を求めて大陸を旅したことがありますから。まさに、この香りを凝縮し砂糖を含ませたような甘い油でしたよ。……ですが、太陽花がこんな風に強い香りを発するのは、たったの数日だと言われているんです」
「えっ……こんなに良い香りするのって、そんなに短いの?」
桜でも一週間は頑張ってくれるのに、太陽花は厳しい環境で咲くにもかかわらず、ずいぶんと儚い命のようだ。
まあでも一夜しか咲かない花ってのもあるし……花ってのも色々だよな。
それにしても、アドニスってばよくドンピシャな時期に俺を誘うことが出来たな。そんな絶妙なタイミングが必要なら、事前のリサーチとかも頻繁に行ってただろうし……その間、仕事とか大丈夫だったんだろうか。
っていうか、今も無理してないのかな。
少し心配になって顔を見上げると、アドニスは俺を見返して説明の続きを語った。
「油は後で楽しめますが、香りばかりは満開の時期がまちまちでしてね。ここに私が来るときは、いつも大体さかりを過ぎた後だったんです。……ですが今回は、ちゃんとこちらで話を聞いて、日程を調整しましたからね。間に合って本当によかった」
「アドニス……」
ああ、やっぱり俺の為に仕事の時間をやりくりしてくれたんだ。
そう思うと申し訳なくて、つい沈んだ声を漏らしてしまう。
「どうしました。日差し、強かったですか?」
「あ、いやそうじゃなくて……アドニスって忙しいだろ? だから、調整したってことは、仕事が大変だったんじゃないかと思って……」
そう。本来なら、アドニスは忙しい身なのだ。
この金色の瞳を持つ眼鏡のお兄さんは、なんたってこの世界でも有名すぎる「世界最高の薬師」の称号を持つ男なんだからな。
……まあ、笑顔が怖いとか皇帝付きの薬師なのにアダルトグッズ作って売ってる変た……ゴフンゴフン。ともかく、そう思えない腹黒さがあるんだけど……でも、凄い薬を調合して人を救ってくれているのは確かだ。
薬草や薬、植物の知識も凄いし……まあ、そこは尊敬してないでもない。
だから、余計に俺がお邪魔して良かったのかなと思うわけで。
「ツカサ君、今なにか分不相応な上から目線を私に向けませんでしたか」
「むむ向けてねえよなんでだよ! ていうかアンタも人の心読むの!? そういうの本当やめてくれません!?」
ていうか分不相応ってなに!
俺がザコだってことか、ああそうですけど何かっ。
でも心の領空は侵犯しないで貰えますかねえ!
「本当に君は分かりやすいですねえ……。まあ、それは置いておくとして……別に、何も大変ではありませんよ。だから君は心配しなくてもいい」
「う……でも……」
食い下がろうとしたが、そんな俺の口にアドニスは指を当ててムリヤリ閉じた。
細くて長い指なのに、力強くて思わずなすがままになる。
そんな俺を見て、アドニスは満足そうに口角を上げた。
「私を心配してくれるのは嬉しいことですが、そう想ってくれるなら……今、私と二人きりで花畑にいることを楽しんでください。楽しいと思ってくれないと、せっかく君の為に用意した私が報われませんよ?」
「んぐ……」
そんな軽口を叩きながら、綺麗な顔で覗き込んでくるアドニス。
微笑んでいる顔は、ちょっとだけ悪戯っぽい感じを含ませている。いつもの笑みとは少し違う、アドニスの素が出たみたいな表情だ。
いつも貼り付けたようなアルカイックスマイルを浮かべているけど、ちゃんと見ていれば、アドニスの笑顔って色んな種類があるんだよな。
仲間になってみると、アドニスも表情豊かなんだなって分かるんだ。
……実は、それがちょっとだけ、嬉しかったりする。
今だって本心から俺に「気にするな」と言ってくれてるんだろう。
だったらあまり気に病むのも行けないかなと思い、俺はこくりと頷く。
そんな俺の様子に満足げに口角を少し上げると、アドニスは指を離した。
「では、すこし花畑の中を歩いてみましょうか。【太陽花】は綺麗に整列させると、ヘソを曲げて花を咲かせなくなってしまうらしいので、あえてバラバラに植えられているんですよ。天然の迷路になっているので、離れないようにしてください」
「えっ、迷路!?」
花の迷路だなんて、そんなの滅多にないアトラクションじゃないか!
ガキの頃、コスモス畑に連れて行かれたことがあるけど、アレのちゃんとした迷路版ってことだろ。ニュースでは見たことがあるけど、こんなに広大な花の迷路ってのは人生初めてだ。そんなのやるに決まってるじゃないか。
「おやおや、本当に君はこういうのが好きなんですねえ」
「あったりまえじゃん、花の迷路なんてめったにないんだぜ!?」
「ふふっ……十七歳にもなって、こういう可愛らしい自然物ではしゃげるのは、かなり珍しいと思いますがね」
「ぐっ……い、いるし! そういう人も中にはいるって!」
昔は男らしさが必要だったから、あんまり表に出さない人もいたかもしれないけど、今の時代は何でもアリなんだ。男だってぬいぐるみを可愛いと思うし、花が大好きな人だっているだろう。だから俺がはしゃぐには当然の事のはず。
俺は可愛い小動物は可愛いと言い続けるぞ!
「まあ、そういう事にしておきましょうか。では、はい」
なんか軽い感じでスルーされたと思ったら、また手を差し出された。
どうしたのかと思ったら、アドニスは俺にアピールするように手をくいくいと動かす。
「なにその手は」
「君を自由にさせたら、迷子になりそうですからね。手を繋いでください」
「ええー!?」
思ってもみない事を言われて思わず驚いてしまうが、しかしアドニスは相変わらずの微笑みを浮かべたままで、圧力をかけてくる。
笑顔の圧力こわい。
「おや、では迷子になって置いて行かれる方が良い、と? ほう、そうですか。では、帰りは私一人で戻りましょうかねえ」
「わーもー分かった分かった! 繋げばいーんだろ、繋げば!」
アドニスの場合、ここでゴネたら帰るまでめちゃくちゃ突き回されるからな……。
コイツはマジで暇さえあれば俺の事をおちょくってくるので、早いところ降参の旗を振っておいた方が身のためだ。でも、手を繋ぐって……うう……。
しかし「やる」と言ってしまったんだから仕方ない。
俺は躊躇いながらも、こちらに掌を向けるアドニスの手に触れた。
と、アドニスはそれを見て笑みを深め、ゆっくりとこちらの手を握ってくる。
でも、普通に握るんじゃない。
向きを変えると、俺の指の間にするりと自分の指を捻じ込んできて、逃がさないとでも言うようにしっか握りしめてくる。
普通の手繋ぎじゃない。
こちらが指をだらんとしていても抜け出せないように掴まれていて、俺は思ったのと違う手繋ぎに思わず狼狽えてしまった。
だ、だってこんな、恋人繋ぎみたいな感じで来ると思わなかったし……。
流石にコレはしっかり繋ぎ過ぎなんじゃないかとアドニスを見たけど、相手は俺の戸惑う表情がよほど面白いのか、どこか上機嫌な笑みを浮かべるばかりだ。
どうしたって、離してくれなさそう。
……俺、そんなに迷うと思われてるんだろうか。
それとも、その……いや、アドニスに限ってそんなことないか……。
でも俺の方が恥ずかしいんだってば。
せめて普通の繋ぎ方にしてくれないだろうか。
「あ、アドニス……俺、もうちょっと普通の繋ぎ方でも良いんだけど……」
「駄目です。君にはこのくらいしないと。いつも興奮して飛び出すんですから」
「ぐ……そ、それは反論できない……」
「でしょう? ですから、このままでいましょう。さ、行きますよ」
そう言って、アドニスは俺の手を引き太陽花畑の迷路の入口に入る。
ぐいっ、と、思ったより強い力で引っ張られて、俺はつんのめりつつも慌てて体勢を立て直し、アドニスの横に並んだ。
……そういえばアドニスって、結構力が強いんだよな。
ブラック達よりも細めの輪郭だから、たおやかな美青年……みたいな感じに思えちゃうんだけど、実際は長身で輪郭もワリと男性寄りだ。
手だってホッソリしてて指も綺麗だけど……実際触れてみると、女の子の手の方が柔らかくてすべすべなのは分かるし、手の甲は男らしく太い筋が見える。
なにより、握る手の大きさは、大人の男性そのものだった。
…………そ、そっか。
アドニスも、綺麗な顔してるけど大人の男なんだよな。
っていうか実際は、何百年なんて言わないほど生きてるんだっけ……。
そう思うとなんだか不思議で、俺は周囲の花よりアドニスの横顔の方が気になってしまい、ついチラチラと相手を見てしまった。
――――やっぱり、植物と一緒にいるアドニスは活き活きしてるようにみえる。
薬師だからと言うだけじゃなくて、本当に植物そのものが好きなんだろうな。太陽花に囲まれているのを見ると、まるで物語の中の人みたいだ。
手を繋がれたままそんなことを思っていると、不意に金色の瞳がこちらを見た。
「……折角の太陽花の畑なのに、そんなに私の事が気になりますか」
「えっ、い、いや……そうじゃなくて……その……」
「楽しくありませんでしたか?」
あまり気にしていないような言葉遣いだけど、でもちょっとしょんぼりしているような気がする。アドニスなりに、今日はかなり気合を入れてたんだろうか。
だとしたら申し訳ない。っていうか誤解だってば。
ああでも、こんなの俺が話したら恥ずかしくないだろうか。
しかし折角アドニスが誘ってくれたのに、俺が喜んでいないと思われるのは嫌だ。
ぐうう……し、仕方ない……。
いつの間にかだいぶ深いところまで迷路を進んでしまったみたいだけど、俺は一度立ち止まり、改めてアドニスと向き合う。
相手は笑みを収めて、ほんの少しだけしょげたような雰囲気を醸し出していたが、俺の返答を待ってくれているようだ。
そんな素直な相手に、更に言いづらさが増してしまったけど……俺は、意を決して口を開いた。
「た、楽しいよ! でも、あの……あの……」
「あの?」
「あ……アドニスが、植物を見てイキイキしてるなって……ほんとに植物のこと、好きなんだなって思ったら……つい……目が、離せなくなって……」
………………。
あ゛~~~~恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい!!
何言っちゃってんだよ俺、マジで口にしたら恥ずかしすぎる!!
なにガラにもないこと言ってんだ、これじゃなんか口説いてるみたいじゃないか!
でも思っちゃったんだから仕方ないだろ、好きなことして嬉しそうにしてるヤツの事を「良い顔だな」って思うのは普通のことじゃん、当たり前じゃんか!
そ、それなのに、なんで俺が言うとこんな意味深に聞こえちゃうんだろう。
どう考えても下心があるナンパ男みたいじゃないか!
こんなの、ブラックとかアドニスみたいなイケメンが言えば真っ当なセリフだなって思えるのに、なんで俺みたいなのが言うといやらしさが滲み出るんだろう。
そんなんじゃないのにっ、お、おれはただ普通に……。
「……――――」
えっ。
あれ、な、なんか、目の前が白くなった。いや別に意識が飛んだわけじゃなくて、今まで太陽花の黄色が眩しかったのに、急に白い……服がめのまえに……。
…………え、も、もしかして俺今、アドニスに抱きしめられて……っ。
「あああアドニスっ!?」
なになに何してんのアンタっ、なんでここで急に抱きしめてくるんだ!?
ちょっ、ちょっとマジで離れて……っ。
「君って子は……どうしてそんな風に、私を煽るんですかね……」
「ふえっ!? あ、あおるって、別に……っ」
「煽ってますよ、充分に。大人しくしてなさい」
えええ……俺そんな、別に……。
でも、今口答えをするとヤブヘビになりそうで何も言えない。
……し……仕方ない……しばらくこのままでいるか……。
いや、しかし、人が来たらどうしよう。
花の迷路だっていっても入口があるんだから、途中の道でこんなことをしてたら後から入った人に見られちゃうんじゃないの。
そうなったら俺もう顔が熱で爆発する気がする。
ただでさえ今でも予想外の事に心臓がバクバクしてるのに……っ。
「あ……あどにす……」
「……君は、いつも温かいですね」
「ぅえ……?」
変な声を出してしまったが、アドニスは構わずに俺を抱きしめ続ける。
……温かいって、体温が?
そういえば……アドニスに抱きしめられてるけど、不思議と熱くないな。
もしかして、アドニスが氷の能力で冷やしてくれているんだろうか。
…………な、なんでそう、人に言わない心遣いをやってくれるんだお前は。
これじゃあ「熱いから」って離れられなくなっちゃったじゃんか。
あったかいだなんて、暑いこの国の気候じゃ面倒なだけなのに……。
「ふ……。納得いってませんか。でも、ツカサ君が悪いんですよ? 君の事を好きなオスに、そんな蠱惑的な言葉を贈るから、こんなことになるんです」
「こっ、こわくてき!? そんなこと言った覚えないし……っていうか、当たり前のことを言っただけでなんでそんな……」
「そうやって無自覚なのが堪らないんですよ。悪い子ですね、いいから大人しく抱きしめられていなさい。でなければ、一生この迷路から出しませんよ」
「ヒェッ……」
うう、アドニスなら本気でやりかねない……。
それに、お、俺のこと好きなオスって、あんた……なんでそんな、サラッとそういう事を言えちゃうんだよ。アンタみたいな感じのヤツなんて、普通そんなことはプライドが邪魔して言えないんじゃないのか。
なのにどうして、そうハッキリ言っちゃうんだよ。
そんなの、困るよ。
「……ドキドキしてますね。顔や体の熱が伝わってきますよ」
「う、うるさいなあっ! アンタが変なコト言うからだろ!?」
「ツカサ君を愛しているという話ですか? 変な事ではないと思いますけどねえ」
「だーっ、だからそう平気で言えるのがあっ!」
ああもうヤダやだやだ恥ずかしい、恥ずかしいんだってば!
いや、アドニスの事がじゃなくて俺が恥ずかしいんだよ。だって、そんな、ブラックに言われるのだけでも未だに慣れないのに、こんな雰囲気があるところで二人っきりで、アドニスみたいなイケメンに抱きしめられながら「好き」とか言われたら、そんなのオッサンだってきっとこんな風になるじゃんか。
なのにこの自分の容姿の良さを全力で使い倒す眼鏡は、平気でスキだとか言うし、一生迷路から出さないとか好き放題言ってくるし……!
「仕方ないじゃないですか。喜んでもらえると思って花畑に連れてきたら、愛しい君はそれ以上に私の姿に喜んでくれたんですから。……それが愛しいと思えないというのなら、私は常冬のオーデルより寒々しい性格をしてることでしょうね」
「え、ええ……そこまで言わなくても……」
そこまで言う?
じゃあ、その……。
嬉しかったんなら、まあ……い、良いんだけど……。
でも、自分の事をそこまで言うのはちょっと飛びすぎちゃってないか。
俺だってそこまでアドニスのことを貶さないぞ。
「だって、そうじゃないですか」
なのに、アドニスは少し拗ねた子供みたいな声でそう言ってくる。
少し拘束が緩んだのを感じ、体を離してアドニスの顔を見上げると――――
アドニスは、少し頬を赤らめて……
何かを堪えるような表情で、僅かに眉を歪めていた。
「あ……」
「……私が、こんな顔をしているのは……おかしいですか?」
やっぱり、ちょっと拗ねたような口調。
こんな風な事を言うなんて思っても無かったので、俺は言葉を失ってしまった。
なんか……な、なんも、言えない……。
なんだろう、相手も照れてるのかなって思ったら、またドキドキしてきた。
心臓が凄くうるさくて苦しい。
そんな顔で俺を見ているなんて思わなかったから、その……。
「お……おかしく、ない……けど……」
「だったら、今は大人しく抱きしめられていてください。……私が変な気を起こさないように。ただ嬉しいという気持ちだけでいられるように」
「な、なにそれ……」
「ツカサ君は、私を煽り過ぎなんですよ。…………本当にこの花迷路に閉じこめられたくないなら、大人しくしていることです」
そんなこと言ったって、アンタの腕の中なのは変わらないじゃないか。
でも……そんなふうに詰られたら、何も言えなくて。
……仕方ない。
アドニスが何も言うなっていうなら、俺は黙って抱きしめられていよう。
なんだかもう、花畑どころの話じゃなくなっちゃった。
折角アドニスが時間を作って連れてきてくれたのに、綺麗だし良い香りなのは確かなのに、もうアドニスしか見えない。
それに、香りだって……抱きしめられていると、花の香りよりも……アドニス自身の不思議な良い香りがほのかに香ってきて。
ひんやりとした相手の空気ですら、外の環境から俺を囲っている。
アドニスだけしか、感じられない。
「――――~~~っ……」
そんな事を考える自分がやっぱり恥ずかしくて、俺はしばらくの間ずっとカッカしたまま黙っている事しか出来なかった。
一時間以上は、花畑の中に居ただろうか。
やっと解放された俺は、やっぱりアドニスと手を繋いだままで花の迷路からようやく脱出することが出来た。どうやら終身刑は免れたらしい。
抱きしめられたり手を握られるのは恥ずかしかったけど……でも、アドニスの機嫌がこの上なく良くなったので、まあ何も言わないでおこう。
…………あ、あんなことくらいで上機嫌になられると、俺の方が恥ずかしいんだけど……でも、綺麗な場所に連れてきてくれたお礼は出来たのかな。
見上げると、アドニスは心底嬉しそうな笑みで微笑み、俺の頬を撫でた。
「太陽花の香りがするツカサ君も良いなと思っていたんですが……やっぱり、ほのかに自分と同じ香りを纏ってくれる方が嬉しいものですね」
「っ……!!」
「今度は、天木蓮という花を見に行きましょうか。水上にとても軽い樹木が成長して、蓮のように美しい花が咲くんですよ」
あっ、ああもう、急に次の話題に行くっ。
顔から火が出るくらいのことを言われたのに、この気持ちはどうすりゃ良いんだよ。
でも俺からツッコミを入れるとまた話がこじれるしぃい……ああもうっ、このイジワル眼鏡! なんでそう俺を振り回すんだよバカー!!
ちくしょう、もういいっ、わ、忘れる。
今日の事は絶対忘れてやるからな!!
おわり
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