45 / 112
あの日
0-3
しおりを挟む
はにかんだ笑みを向けられた時、心臓が撃ち抜かれる様な感覚を覚えた。
その日から彼の事を無意識に視線で追う様になっていた。
彼の名前は山内祐樹。Ωである彼は友達が多く、いつも囲まれている明るい性格の持ち主だった。
この高校はΩに対する待遇が手厚い為、あの件があってから暫く彼の周りにはボディガードが付いていた。因みにあの不良は停学処分を食らっていたからいつの間にか見なくなった。
(笑顔、可愛かったな)
また向けてくれないだろうか。
他ではない自分自身に。
──これがきっと恋なんだと思う。
恋愛には興味がない筈だったのに、たった僅かな交差で呆気なく堕ちてしまった。
あの日以来会話を交わす事なんて全く無く、自分達の間にそれ以上の関係性が生まれる事は無かった。きっと彼も自分の事なんてとっくに忘れている。告白なんてするつもりがなかった俺は、彼を遠くから眺めるだけの学校生活を送っていた。平凡な日常が一変してしまうあの日迄は──
(本借りっぱなしだったの忘れてた)
一週間オーバーで借りてしまった本を返しに、授業中教師が職員室に向かっている間の時間で図書室へ向かっていた。あまり人が通らない旧校舎の廊下を渡り、図書室の扉の前に立ちはだかる。
(.....ん?)
ふと、甘い香りが鼻を燻り扉に触れた手を止める。僅かだが、ほのかに甘い花みたいな匂いがする。
その時の自分はそれ以上は深く考えずに扉を開けてしまった。匂いの先は奥教室からのようだった。行ったら後悔する──直感でそう思ったのに、俺の足はゆっくりと匂いの先へ向かっていた。
奥教室の扉から溢れんばかりの匂いが風に乗って流れてくる。震える手を恐る恐るドアノブに掛け、勢いよく開く。視線の先にいたのは、匂いの発端である山内祐樹だった。俺を見るや否や、しまったと言わんばかりに苦しそうに顔を歪めて此方に背を向ける。彼の汗ばんだうなじが目に入った瞬間、自分の中の何かが暴れ始めた。
その日から彼の事を無意識に視線で追う様になっていた。
彼の名前は山内祐樹。Ωである彼は友達が多く、いつも囲まれている明るい性格の持ち主だった。
この高校はΩに対する待遇が手厚い為、あの件があってから暫く彼の周りにはボディガードが付いていた。因みにあの不良は停学処分を食らっていたからいつの間にか見なくなった。
(笑顔、可愛かったな)
また向けてくれないだろうか。
他ではない自分自身に。
──これがきっと恋なんだと思う。
恋愛には興味がない筈だったのに、たった僅かな交差で呆気なく堕ちてしまった。
あの日以来会話を交わす事なんて全く無く、自分達の間にそれ以上の関係性が生まれる事は無かった。きっと彼も自分の事なんてとっくに忘れている。告白なんてするつもりがなかった俺は、彼を遠くから眺めるだけの学校生活を送っていた。平凡な日常が一変してしまうあの日迄は──
(本借りっぱなしだったの忘れてた)
一週間オーバーで借りてしまった本を返しに、授業中教師が職員室に向かっている間の時間で図書室へ向かっていた。あまり人が通らない旧校舎の廊下を渡り、図書室の扉の前に立ちはだかる。
(.....ん?)
ふと、甘い香りが鼻を燻り扉に触れた手を止める。僅かだが、ほのかに甘い花みたいな匂いがする。
その時の自分はそれ以上は深く考えずに扉を開けてしまった。匂いの先は奥教室からのようだった。行ったら後悔する──直感でそう思ったのに、俺の足はゆっくりと匂いの先へ向かっていた。
奥教室の扉から溢れんばかりの匂いが風に乗って流れてくる。震える手を恐る恐るドアノブに掛け、勢いよく開く。視線の先にいたのは、匂いの発端である山内祐樹だった。俺を見るや否や、しまったと言わんばかりに苦しそうに顔を歪めて此方に背を向ける。彼の汗ばんだうなじが目に入った瞬間、自分の中の何かが暴れ始めた。
326
あなたにおすすめの小説
【運命】に捨てられ捨てたΩ
あまやどり
BL
「拓海さん、ごめんなさい」
秀也は白磁の肌を青く染め、瞼に陰影をつけている。
「お前が決めたことだろう、こっちはそれに従うさ」
秀也の安堵する声を聞きたくなく、逃げるように拓海は音を立ててカップを置いた。
【運命】に翻弄された両親を持ち、【運命】なんて言葉を信じなくなった医大生の拓海。大学で入学式が行われた日、「一目惚れしました」と眉目秀麗、頭脳明晰なインテリ眼鏡風な新入生、秀也に突然告白された。
なんと、彼は有名な大病院の院長の一人息子でαだった。
右往左往ありながらも番を前提に恋人となった二人。卒業後、二人の前に、秀也の幼馴染で元婚約者であるαの女が突然現れて……。
前から拓海を狙っていた先輩は傷ついた拓海を慰め、ここぞとばかりに自分と同居することを提案する。
※オメガバース独自解釈です。合わない人は危険です。
縦読みを推奨します。
【BL】声にできない恋
のらねことすていぬ
BL
<年上アルファ×オメガ>
オメガの浅葱(あさぎ)は、アルファである樋沼(ひぬま)の番で共に暮らしている。だけどそれは決して彼に愛されているからではなくて、彼の前の恋人を忘れるために番ったのだ。だけど浅葱は樋沼を好きになってしまっていて……。不器用な両片想いのお話。
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
✻改稿版を他サイトにて投稿公開中です。
ふしだらオメガ王子の嫁入り
金剛@キット
BL
初恋の騎士の気を引くために、ふしだらなフリをして、嫁ぎ先が無くなったペルデルセ王子Ωは、10番目の側妃として、隣国へ嫁ぐコトが決まった。孤独が染みる冷たい後宮で、王子は何を思い生きるのか?
お話に都合の良い、ユルユル設定のオメガバースです。
【完結】幼馴染から離れたい。
June
BL
隣に立つのは運命の番なんだ。
βの谷口優希にはαである幼馴染の伊賀崎朔がいる。だが、ある日の出来事をきっかけに、幼馴染以上に大切な存在だったのだと気づいてしまう。
番外編 伊賀崎朔視点もあります。
(12月:改正版)
8/16番外編出しました!!!!!
読んでくださった読者の皆様、たくさんの❤️ありがとうございます😭
1/27 1000❤️ありがとうございます😭
3/6 2000❤️ありがとうございます😭
4/29 3000❤️ありがとうございます😭
8/13 4000❤️ありがとうございます😭
12/10 5000❤️ありがとうございます😭
わたし5は好きな数字です💕
お気に入り登録が500を超えているだと???!嬉しすぎますありがとうございます😭
孕めないオメガでもいいですか?
月夜野レオン
BL
病院で子供を孕めない体といきなり診断された俺は、どうして良いのか判らず大好きな幼馴染の前から消える選択をした。不完全なオメガはお前に相応しくないから……
オメガバース作品です。
当たり前の幸せ
ヒイロ
BL
結婚4年目で別れを決意する。長い間愛があると思っていた結婚だったが嫌われてるとは気付かずいたから。すれ違いからのハッピーエンド。オメガバース。よくある話。
初投稿なので色々矛盾などご容赦を。
ゆっくり更新します。
すみません名前変えました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる