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特別番外編 3
髪の毛
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中学生の時が一番ピークだった気がする。
僕の髪の毛は結構長い。
軽くポニーテールが出来る程に。
「祐樹って髪の毛伸ばしてるの?」
ある日の夕方。
大学帰りに買い物に行き、家に着いて玄関で靴を脱いでいた時の事だった。僕が靴を脱ぎ終わるのを待っていた晴也は不意にそんな事を聞いてきた。
「いや...特に伸ばしたりとかはないかな。面倒だから適当だよ。女みたいって言われたから中学の時に一回ばっさり切ったけど...」
いつの間にか肩に着く位の長さ迄到達していた。彼の指がふわっとくすぐる様にうなじ周辺の髪に触れてくる。「柔らかくて綺麗な髪だよね」と目を細めて笑う晴也の言葉と表情に胸がキュッとなる。
「地毛?祐樹の髪って白髪と銀髪の中間みたいな....綺麗な色だよね」
「あぁ、それは父さんが....結婚の挨拶の時に見たでしょ。完全に遺伝だね」
不思議な遺伝である。
よく幼少期にはいじられたりした事もあったが個人的には気に入っている。光が当たると光の筋が入り透けて見えるのが綺麗だから。
「まぁ、特にこだわりとかはないし、この際だからまたばっさり切ってしまうっていうのもアリかも──って、は、晴也?」
突然腕を引っ張られ思わず振り返ると、悲しそうな面持ちの晴也が。「切るの?」と切ない表情と共にそんな言葉を吐き、反応を窺ってくる。
「い、いや...結構長いし、それもいいかもなって。ほ、ほら、えっちの時とか晴也も邪魔でしょ」
「.....俺は、....」
そこ迄言いかけて何故かごもる晴也。首を傾げると耳を真っ赤にして恥ずかしそうに続ける。
「最中に......汗で髪の毛が張りつく所とか、祐樹が髪の毛をふとした時に結う姿が好きだから、....そのままが、好き、かな」
「.....そのままが好きの一言だけでいいでしょ。晴也の変態」
ボソッとそう返して片手で無造作にだが髪の毛を束ねる仕草をしてしまった。「いや、切りたかったら全然切っていいから」と申し訳なさそうに手を振る晴也の必死さに思わず笑う。
髪の毛の長さなんてどうでも良かったけど...
(晴也がこのままが好きなら、もう少し伸ばしておこうかな)
たまにはポニーテールにしていじったりしよう。
未だに何かと言い訳をする可愛い晴也を見つめながら僕はそんな事を胸の内で思った。
fin.
僕の髪の毛は結構長い。
軽くポニーテールが出来る程に。
「祐樹って髪の毛伸ばしてるの?」
ある日の夕方。
大学帰りに買い物に行き、家に着いて玄関で靴を脱いでいた時の事だった。僕が靴を脱ぎ終わるのを待っていた晴也は不意にそんな事を聞いてきた。
「いや...特に伸ばしたりとかはないかな。面倒だから適当だよ。女みたいって言われたから中学の時に一回ばっさり切ったけど...」
いつの間にか肩に着く位の長さ迄到達していた。彼の指がふわっとくすぐる様にうなじ周辺の髪に触れてくる。「柔らかくて綺麗な髪だよね」と目を細めて笑う晴也の言葉と表情に胸がキュッとなる。
「地毛?祐樹の髪って白髪と銀髪の中間みたいな....綺麗な色だよね」
「あぁ、それは父さんが....結婚の挨拶の時に見たでしょ。完全に遺伝だね」
不思議な遺伝である。
よく幼少期にはいじられたりした事もあったが個人的には気に入っている。光が当たると光の筋が入り透けて見えるのが綺麗だから。
「まぁ、特にこだわりとかはないし、この際だからまたばっさり切ってしまうっていうのもアリかも──って、は、晴也?」
突然腕を引っ張られ思わず振り返ると、悲しそうな面持ちの晴也が。「切るの?」と切ない表情と共にそんな言葉を吐き、反応を窺ってくる。
「い、いや...結構長いし、それもいいかもなって。ほ、ほら、えっちの時とか晴也も邪魔でしょ」
「.....俺は、....」
そこ迄言いかけて何故かごもる晴也。首を傾げると耳を真っ赤にして恥ずかしそうに続ける。
「最中に......汗で髪の毛が張りつく所とか、祐樹が髪の毛をふとした時に結う姿が好きだから、....そのままが、好き、かな」
「.....そのままが好きの一言だけでいいでしょ。晴也の変態」
ボソッとそう返して片手で無造作にだが髪の毛を束ねる仕草をしてしまった。「いや、切りたかったら全然切っていいから」と申し訳なさそうに手を振る晴也の必死さに思わず笑う。
髪の毛の長さなんてどうでも良かったけど...
(晴也がこのままが好きなら、もう少し伸ばしておこうかな)
たまにはポニーテールにしていじったりしよう。
未だに何かと言い訳をする可愛い晴也を見つめながら僕はそんな事を胸の内で思った。
fin.
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