96 / 112
特別番外編 3
悩み③※
しおりを挟む
触れない発言をしてから彼は本当に乳首にだけは絶対に触れようとしなかった。今迄抱き締めてから、えっちの流れになる事が多かったのだが....
「今日は....少しやめとこうか」
「また次にしよう」
「.....」
気を遣っているのか、彼は暫く僕を頑なに抱こうとしなかった。乳首の痒みはだいぶ落ち着き、今は絆創膏無しの生活を送れている。胸が彼の手に触れて貰えない生活が一月程経とうとした時、ようやく僕の遅めのヒートが来た。
「....晴也。その....」
フェロモンの匂いで察したのだろう。
寝室で寝る準備をしていた彼の服の袖をくいっと引っ張る。ハッとした彼は、僕を愛おしそうに撫でながら「今日はしようか」と優しく続ける。
ベッドにそっと寝かせてくれた彼は、腕を広げた状態の僕からするすると寝巻きのボタンを取っていく。口付けを交わしながら手際よく少しずつ脱がしていくが、やはり乳首には触れようとしない。腰辺りを上から下にスローに撫でた後、露わになった僕のお腹にキスしながら下へ、下へと口でなぞっていく。
「......」
この、もどかしさは何なんだろう。
直接触れられてないのに、目先の乳首は主張をやめない。
軽く張ったピンク色のソレに気付いた晴也は、一瞬触れそうになりながらも何とか視線を逸らす。その瞬間僕の中の何かがプツッと切れて、思わず「晴也のばか!」と彼の首元を両手で掴み、グイッと引き寄せていた。
「確かに僕は私生活に支障をきたすくらい乳首の事で悩んでたよ。ただ....全く触らないでなんて言ってない」
「!」
ただ、あの時は彼に絆創膏を貼った乳首の様子を知られて揶揄われるかもしれないって思っただけ。
こいつに触られるのは嫌じゃない。
触られるのを期待しているみたいに思われても、もうそれでいい。
僕はこいつが、晴也の触れる手が好きだ。
晴也の事が大好きだ。
「晴也。....早く触って」
彼の大きな手を握り、ゆっくりと自分の胸の上迄持っていく。僕の胸に手を這わせた彼は、一瞬だけ息を呑む音を鳴らした後、恐る恐る僕の乳首に顔を近付けていった。
「──ん...」
目が覚めると、いつの間にか朝になっていた。ゆっくりと身体を起こし、不意にパジャマが乳首を擦れて「っ」と反応する。あれから一週間──彼に沢山乳首を弄られ、胸に触れられた。
沢山触れられてやっぱり痒くなったけれど、....触れて貰えない事の方がなんだか切なく感じて辛かった。これは僕自身の問題だから、どうやらこの悩みとはこれからも向き合っていくしかなさそうだ。
「はぁ.....もう諦めて大人しく軟膏塗って対策していくか」
ベッドから身体を下ろし、ゆっくりと立ち鏡の前に向かっていき、ふとある事に気が付く。「ん?」と不思議に思い鏡に近付き確認すると、身体中に大量のキスマークが。首にも幾つか付けられ、隠せない状態な程のマーキングだ。
「は、は、....!晴也のばか!!!」
既に大学へ向かい居ない彼に向かって精一杯の怒りの言葉をその場で吐く。ヒート明けの翌日──僕は首に包帯を巻き付けて大学へ向かう羽目になった。勿論こっぴどく叱った。
彼といるといちいち悩みが尽きない。
でも、嫌じゃない。
我ながら幸せで贅沢な、僕の些細な悩みである。
fin.
「今日は....少しやめとこうか」
「また次にしよう」
「.....」
気を遣っているのか、彼は暫く僕を頑なに抱こうとしなかった。乳首の痒みはだいぶ落ち着き、今は絆創膏無しの生活を送れている。胸が彼の手に触れて貰えない生活が一月程経とうとした時、ようやく僕の遅めのヒートが来た。
「....晴也。その....」
フェロモンの匂いで察したのだろう。
寝室で寝る準備をしていた彼の服の袖をくいっと引っ張る。ハッとした彼は、僕を愛おしそうに撫でながら「今日はしようか」と優しく続ける。
ベッドにそっと寝かせてくれた彼は、腕を広げた状態の僕からするすると寝巻きのボタンを取っていく。口付けを交わしながら手際よく少しずつ脱がしていくが、やはり乳首には触れようとしない。腰辺りを上から下にスローに撫でた後、露わになった僕のお腹にキスしながら下へ、下へと口でなぞっていく。
「......」
この、もどかしさは何なんだろう。
直接触れられてないのに、目先の乳首は主張をやめない。
軽く張ったピンク色のソレに気付いた晴也は、一瞬触れそうになりながらも何とか視線を逸らす。その瞬間僕の中の何かがプツッと切れて、思わず「晴也のばか!」と彼の首元を両手で掴み、グイッと引き寄せていた。
「確かに僕は私生活に支障をきたすくらい乳首の事で悩んでたよ。ただ....全く触らないでなんて言ってない」
「!」
ただ、あの時は彼に絆創膏を貼った乳首の様子を知られて揶揄われるかもしれないって思っただけ。
こいつに触られるのは嫌じゃない。
触られるのを期待しているみたいに思われても、もうそれでいい。
僕はこいつが、晴也の触れる手が好きだ。
晴也の事が大好きだ。
「晴也。....早く触って」
彼の大きな手を握り、ゆっくりと自分の胸の上迄持っていく。僕の胸に手を這わせた彼は、一瞬だけ息を呑む音を鳴らした後、恐る恐る僕の乳首に顔を近付けていった。
「──ん...」
目が覚めると、いつの間にか朝になっていた。ゆっくりと身体を起こし、不意にパジャマが乳首を擦れて「っ」と反応する。あれから一週間──彼に沢山乳首を弄られ、胸に触れられた。
沢山触れられてやっぱり痒くなったけれど、....触れて貰えない事の方がなんだか切なく感じて辛かった。これは僕自身の問題だから、どうやらこの悩みとはこれからも向き合っていくしかなさそうだ。
「はぁ.....もう諦めて大人しく軟膏塗って対策していくか」
ベッドから身体を下ろし、ゆっくりと立ち鏡の前に向かっていき、ふとある事に気が付く。「ん?」と不思議に思い鏡に近付き確認すると、身体中に大量のキスマークが。首にも幾つか付けられ、隠せない状態な程のマーキングだ。
「は、は、....!晴也のばか!!!」
既に大学へ向かい居ない彼に向かって精一杯の怒りの言葉をその場で吐く。ヒート明けの翌日──僕は首に包帯を巻き付けて大学へ向かう羽目になった。勿論こっぴどく叱った。
彼といるといちいち悩みが尽きない。
でも、嫌じゃない。
我ながら幸せで贅沢な、僕の些細な悩みである。
fin.
265
あなたにおすすめの小説
【運命】に捨てられ捨てたΩ
あまやどり
BL
「拓海さん、ごめんなさい」
秀也は白磁の肌を青く染め、瞼に陰影をつけている。
「お前が決めたことだろう、こっちはそれに従うさ」
秀也の安堵する声を聞きたくなく、逃げるように拓海は音を立ててカップを置いた。
【運命】に翻弄された両親を持ち、【運命】なんて言葉を信じなくなった医大生の拓海。大学で入学式が行われた日、「一目惚れしました」と眉目秀麗、頭脳明晰なインテリ眼鏡風な新入生、秀也に突然告白された。
なんと、彼は有名な大病院の院長の一人息子でαだった。
右往左往ありながらも番を前提に恋人となった二人。卒業後、二人の前に、秀也の幼馴染で元婚約者であるαの女が突然現れて……。
前から拓海を狙っていた先輩は傷ついた拓海を慰め、ここぞとばかりに自分と同居することを提案する。
※オメガバース独自解釈です。合わない人は危険です。
縦読みを推奨します。
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
あなたと過ごせた日々は幸せでした
蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。
完結|好きから一番遠いはずだった
七角@書籍化進行中!
BL
大学生の石田陽は、石ころみたいな自分に自信がない。酒の力を借りて恋愛のきっかけをつかもうと意気込む。
しかしサークル歴代最高イケメン・星川叶斗が邪魔してくる。恋愛なんて簡単そうなこの後輩、ずるいし、好きじゃない。
なのにあれこれ世話を焼かれる。いや利用されてるだけだ。恋愛相手として最も遠い後輩に、勘違いしない。
…はずだった。
半分だけ特別なあいつと僕の、遠まわりな十年間。
深嶋(深嶋つづみ)
BL
ヒート事故により大きく人生が変わってしまったオメガ性の水元佑月。
いつか自由な未来を取り戻せることを信じて、番解消のための治療に通いながら、明るく前向きに生活していた。
佑月が初めての恋に夢中になっていたある日、ヒート事故で半つがいとなってしまった相手・夏原と再会して――。
色々ありながらも佑月が成長し、運命の恋に落ちて、幸せになるまでの十年間を描いた物語です。
もし、運命の番になれたのなら。
天井つむぎ
BL
春。守谷 奏斗(α)に振られ、精神的なショックで声を失った遊佐 水樹(Ω)は一年振りに高校三年生になった。
まだ奏斗に想いを寄せている水樹の前に現れたのは、守谷 彼方という転校生だ。優しい性格と笑顔を絶やさないところ以外は奏斗とそっくりの彼方から「友達になってくれるかな?」とお願いされる水樹。
水樹は奏斗にはされたことのない優しさを彼方からたくさんもらい、初めてで温かい友情関係に戸惑いが隠せない。
そんなある日、水樹の十九の誕生日がやってきて──。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる