魔法使い、双子の悪魔を飼う

yondo

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第七部 魔法使い、双子の悪魔との出会い

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でも嫌ではなかった。
彼等との賑やかな日々は新鮮で、僕は彼等と一緒に冒険をし続けた。少しずつ彼等は僕に対して反抗的な態度を取る事が無くなり、最終的に凄く懐いてくれる様になった。誰かと関係を持つとか面倒臭かった僕が、こんな風に他人と行動を共にするのは初めてだった。全く動かなかった表情筋はよく動く様になり、いつからか僕は声を上げて笑う事も増えていった。そして.....

『なぁ。いい加減の名前を教えて欲しいんだけど』

だいぶ距離感が近くなり彼等と過ごして一年程経過した頃、セルが初めてそう言った。背を向けているが魔法書を読むヨルも聞き耳を立てている。

『えぇ、改めて聞かれると恥ずかしいんだけど.....聞いてどうするの』
『名前を呼びたい』

こ.....こんな事を言うような子だっただろうか。幼かった見た目はすっかり青年の姿になり、一緒に過ごし始めて結構経つのに目が慣れてくれない。咳払いを一つした後に『嫌だ』とそっぽを向き、思わず素っ気ない態度を取ってしまう。

『何で。減るもんじゃないからいいだろ』
『へ、減るんだよ、僕の気が』
『気って何』

あぁ、もう.....自分の名前なんてあって無いようなものだし、この話題も早く終わって欲しい。それなのに何故かセルは引き下がらず『教えてよ』と顔を近付けてくる。
健康的な黒褐色な肌がすりっと頬に当てられ、ビクッと肩を震わせる。いつの間にか彼との距離は近くなっていて、凭れ掛かっていた木の幹に押し付けられる形で行く手を阻まれていた。

『ちょっ.....近、.....教えるっ、教えるから.....!』

距離感がおかしい.....!

耳元で彼の息遣いが聞こえて動揺した僕は彼の肩に手を掛けて慌てて引き剥がす。はぁーと長い溜息を吐いた後、目線を足元に向けたままポツリと呟く。

『.....だ。誰が付けてくれたのかはもう思い出せない。気付いたらその名だった』
『リュシー』

言った側から直ぐに繰り返すセル。パァッと無邪気に笑い目を細める彼の表情にドキッと心臓が反応する。

『リュシーか。綺麗な名前だな』
『リュシーって名前の由来は何処からだろう』

『な、何回も言わなくていいから.....後、呼ばれ慣れていないからもうやめて.....』

ヨル迄参戦して一緒に名前を呼び始めてきたから、恥ずかしくて膝を抱える形で俯く。多分耳迄真っ赤になっていたと思う。こんな風に感情を掻き乱されるなんて事は今迄無かったから.....こそばゆい。

『なら、これからは俺達が沢山呼ぶ。だからリュシーも俺達の名前を沢山呼んでくれ』
『俺達もこの名前、気に入っているんだ』

.....心から嬉しそうにそんな事を言って僕の手を取り、悪魔族に似つかわしくないはにかんだ笑みを見せる彼等を見て、胸にじんわりとあたたかい感情が熱を帯びて拡がっていく。
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