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1章 麦味噌の記憶 〜つみれと大根とほんのり生姜〜
⑥
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「猫神様、そんなに見つめられたら、食べてる方も緊張しますよ。ねぇ?」
「え、ええ……まあ」
「ワシのことは気にしなくていいから、食べるんだ」
アキは再びその生姜が香る白っぽいみそ汁を啜った。
味噌自体の甘みと大根の甘みがマッチしている。そして鶏団子の味もパンチが効いていて、すぐにご飯が食べたくなった。
たった一口のみそ汁に対して、アキはお米を二、三口と口に運んだ。
「こんなに美味しいみそ汁……食べたことない」
続けて生姜焼きも口にした。想像よりも遥かに食べやすい。しょっぱさがなく、ちょうどご飯に合う味付けだった。
アキは綺麗な三角食べを見せている。
「だろだろ。こいつのみそ汁はな、出汁が決め手なんだ。あれが旨味を最大限まで引き出してるんだよ」
猫神様が得意げに話し出した。
アキは確かにと同意しながらも、箸を進めるペースを落としはしない。
サリはキッチンの中に置いてあるカウンターチェアに座って頬杖をつきながら、アキの食べっぷりを嬉しそうに見ていた。
「あなた……死にたいんでしょ?」
止まることなかった箸の勢いが、サリの一言でピタッと止まった。
アキはサリに目線を移す。サリの目つきが今までよりも鋭くなったことを確認してから、咀嚼を続けた。
ゴクンと飲み込んだ後に「どうして私のことを?」とおそるおそる聞く。
「ここに来るってことは、そういうことだから」
サリの真剣な表情は緩むことがない。
ここに来るってことはそういうこと……アキはいまいちピンと来ていなかった。
コップ一杯の水を一気飲みした後に、サリに質問する。
「それって、どういう意味ですか?」
同僚の春風にオススメされただけ。それなのにサリは、まるでここに来るのが運命だったかのように言っている。
自殺したいという気持ちがあることに間違いはない……でも、どうしてサリがそれを知っているんだろう。
「この食堂はね、冥土と繋がっているの。あなたが死ぬか、それとも生き続けるか、その分岐点にあるお店なのよ」
「え、ええ……まあ」
「ワシのことは気にしなくていいから、食べるんだ」
アキは再びその生姜が香る白っぽいみそ汁を啜った。
味噌自体の甘みと大根の甘みがマッチしている。そして鶏団子の味もパンチが効いていて、すぐにご飯が食べたくなった。
たった一口のみそ汁に対して、アキはお米を二、三口と口に運んだ。
「こんなに美味しいみそ汁……食べたことない」
続けて生姜焼きも口にした。想像よりも遥かに食べやすい。しょっぱさがなく、ちょうどご飯に合う味付けだった。
アキは綺麗な三角食べを見せている。
「だろだろ。こいつのみそ汁はな、出汁が決め手なんだ。あれが旨味を最大限まで引き出してるんだよ」
猫神様が得意げに話し出した。
アキは確かにと同意しながらも、箸を進めるペースを落としはしない。
サリはキッチンの中に置いてあるカウンターチェアに座って頬杖をつきながら、アキの食べっぷりを嬉しそうに見ていた。
「あなた……死にたいんでしょ?」
止まることなかった箸の勢いが、サリの一言でピタッと止まった。
アキはサリに目線を移す。サリの目つきが今までよりも鋭くなったことを確認してから、咀嚼を続けた。
ゴクンと飲み込んだ後に「どうして私のことを?」とおそるおそる聞く。
「ここに来るってことは、そういうことだから」
サリの真剣な表情は緩むことがない。
ここに来るってことはそういうこと……アキはいまいちピンと来ていなかった。
コップ一杯の水を一気飲みした後に、サリに質問する。
「それって、どういう意味ですか?」
同僚の春風にオススメされただけ。それなのにサリは、まるでここに来るのが運命だったかのように言っている。
自殺したいという気持ちがあることに間違いはない……でも、どうしてサリがそれを知っているんだろう。
「この食堂はね、冥土と繋がっているの。あなたが死ぬか、それとも生き続けるか、その分岐点にあるお店なのよ」
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