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4章 八丁味噌の豆乳味噌スープ 〜挽肉とブロッコリーと香るごま油〜
⑥
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「羽根田さん、どうしてここに来たんだ」
長ネギを切りながら、切り干し大根をつついている羽根田に聞く。ネトに聞かれた羽根田は、芋焼酎で口の中を潤した後、おしぼりで口周りを拭いた。
「どうしてここに来たか? それは……わからない。強いて言うなら、本能がそうさせたというべきか」
「……本能か。理由になっていないと言いたいところだけど、まあいいか」
ここは冥土と繋がっているみそ汁食堂。普通の人はここを訪れない。
羽根田が何も思い出せないのは、致し方ないだろう。
精神状態が異常だから、この神様たちと接することができるのだ。
アキは羽根田がどういう理由でこの店に来ることになったのか、深くまで追求したくなる。もちろん聞けないのだけど。
「まあ、食べながら話聞こうか」
「お腹がペコペコなんだ。頭に血が回ってないよ」
「スタミナがつきそうなやつ作ってるから、ちょっと待っててな」
見た目はずーっと羽根田の方が年上なのに、物怖じせず対等に話しているネトを見て、アキはヒヤヒヤした。
羽根田は不思議と嫌そうじゃない。アキが気にしているだけなのか。
アキは切り干し大根をバリバリと咀嚼しながら、ネトの空気感に感心した。
「よーし、あとは炒めるだけだ」
ネトの前にあるまな板の上には、長ネギと砂肝が置いてあった。
気づかぬ間に、砂肝の下ごしらえも終えている。相変わらずの手際の良さだ。
フライパンにごま油を引き、長ネギから炒める。
ニンニクと生姜も少量加えた。砂肝は軽く茹でているやつを使っているのか、すぐにフライパンの中に投入しても、すぐに火が通って柔らかくなっていった。
「うーん……良い香りだなぁ。これだけで酒が美味いよ」
「ああ、これは焼酎に合うぞ。塩コショウとレモンで味付けするだけで、こんなに美味しいなんてな」
「早く食べたいな。多少火が通ってなくてもいいぞ?」
「そう急かすなよ。まもなく完成だ」
冗談を交えつつ、二人は楽しそうに話している。耳に入ってくるやり取りに、アキも笑いそうになった。
フライパン返しが美しい。返す度に油がジュワッと跳ね、良い音を奏でる。
火を止めて、皿に盛る。油が照っているようだ。
「まず一品目、砂肝の長ネギ塩焼きだ。召し上がれ」
「おー、これは食欲が駆り立てられるな。どれどれ、いただきます」
長ネギを切りながら、切り干し大根をつついている羽根田に聞く。ネトに聞かれた羽根田は、芋焼酎で口の中を潤した後、おしぼりで口周りを拭いた。
「どうしてここに来たか? それは……わからない。強いて言うなら、本能がそうさせたというべきか」
「……本能か。理由になっていないと言いたいところだけど、まあいいか」
ここは冥土と繋がっているみそ汁食堂。普通の人はここを訪れない。
羽根田が何も思い出せないのは、致し方ないだろう。
精神状態が異常だから、この神様たちと接することができるのだ。
アキは羽根田がどういう理由でこの店に来ることになったのか、深くまで追求したくなる。もちろん聞けないのだけど。
「まあ、食べながら話聞こうか」
「お腹がペコペコなんだ。頭に血が回ってないよ」
「スタミナがつきそうなやつ作ってるから、ちょっと待っててな」
見た目はずーっと羽根田の方が年上なのに、物怖じせず対等に話しているネトを見て、アキはヒヤヒヤした。
羽根田は不思議と嫌そうじゃない。アキが気にしているだけなのか。
アキは切り干し大根をバリバリと咀嚼しながら、ネトの空気感に感心した。
「よーし、あとは炒めるだけだ」
ネトの前にあるまな板の上には、長ネギと砂肝が置いてあった。
気づかぬ間に、砂肝の下ごしらえも終えている。相変わらずの手際の良さだ。
フライパンにごま油を引き、長ネギから炒める。
ニンニクと生姜も少量加えた。砂肝は軽く茹でているやつを使っているのか、すぐにフライパンの中に投入しても、すぐに火が通って柔らかくなっていった。
「うーん……良い香りだなぁ。これだけで酒が美味いよ」
「ああ、これは焼酎に合うぞ。塩コショウとレモンで味付けするだけで、こんなに美味しいなんてな」
「早く食べたいな。多少火が通ってなくてもいいぞ?」
「そう急かすなよ。まもなく完成だ」
冗談を交えつつ、二人は楽しそうに話している。耳に入ってくるやり取りに、アキも笑いそうになった。
フライパン返しが美しい。返す度に油がジュワッと跳ね、良い音を奏でる。
火を止めて、皿に盛る。油が照っているようだ。
「まず一品目、砂肝の長ネギ塩焼きだ。召し上がれ」
「おー、これは食欲が駆り立てられるな。どれどれ、いただきます」
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