普通の学生だった僕に男しかいない世界は無理です｡帰らせて｡

幼児編

73

｢藤沢…ねぇ｡お前この匂い…オメガだろ｣
｢え？｣
僕はクラスメイトに突き飛ばされた｡
｢藤沢はアルファの憧れなんだよ!!なんで!!なんでお前みたいなオメガが!!｣
｢ちょ…いたっ!!｣
｢柚琉様！？｣
ちょうど外へ出ていた樹くんは僕の前に僕を守るように立った｡
｢…席を外さなければよかった…｣
｢あ､おみずありがと｣
水筒無くしちゃったみたいだったから…｡
助かった｡
｢…いえ｡それよりお怪我は？｣
｢だいじょうぶ｡ちょっとすっちゃっただけ｣
｢…擦り傷？…柚琉様､柚琉様にお怪我を与えたのは…この方でよろしいですか？｣
｢ん？…うん｣
｢では私は少々この方とお話がありますので｡…これを｣
僕の手に置かれたのは…最大出力を倍以上に上げる改ぞ…げふんげふん､改良を加えられたスタンガンだった｡
…危ないヤツっ!!
僕は慌てて投げ捨てた｡
｢なんてものもたせるの!!…ってあれ？いつきくん？｣
樹くんも､僕を突き飛ばした子も､その仲間らしき子もみんな居なくなっていた｡
…またおいてかれちゃった｡
いいや､帰ってくるまで本でも読んでよう｡
｢…ふふふん♪｣
この本のシリーズ好きなんだよね｡
ずーっと読んでられる｡



｢ゆず～!!ごはんたべいこ!!｣
｢なつ!!｣
僕は鞄や帽子を持って夏に駆け寄った｡
僕達は兄さん達の授業が終わるまで待ってるつもりで残っていた｡
そのためにお昼ご飯も兄さん達と学校で食べるようにしようと朝､約束したのだ｡
｢ゆずなにたべる？いろいろあるんだって｣
｢ぼくはなんでもいいかな｡…でもぜったいにたべきれない｣
｢なつがたべてあげる!!｣
｢ありがと｣
でも夏はそこからプラス2人前は食べるんだろうな｡
…うちの食費…よく持ってるよね｡
｢…やっぱりオムライスかな？ハンバーグと…｣
…うん､3人前は食べるつもりだね｡