普通の学生だった僕に男しかいない世界は無理です｡帰らせて｡

選択編

司ルート 9

｢一～双葉～おいで～｣
｢｢まま､どちちゃ？｣｣
｢さぁ､歯磨きの時間だよ｣
｢やぁ!!｣
｢ちない!!おかちたべりゅ!!｣
｢お菓子の時間はもう終わり!!歯磨きしないと虫歯になるよ～!!｣
｢｢ぴゃっ！？｣｣
一の後ろからそっと近づいて…抱き上げた｡
｢ほい､一確保｣
｢ありがと｡じゃああと双葉だけだね｣
｢ぴゃ…ふぇぇ…｣
｢怖くないよ～ピーチの香りの歯磨き粉だよ～｣
｢やら…やらぁぁ!!｣
柚は双葉を寝かせて膝に頭を乗せた｡
｢ほらあーんだよ｣
｢んんー!!｣
｢一はあそこまで嫌がらないよな｣
｢ぱぱ､いちゃい､にゃい｡まま､おしょい｣
｢柚が遅いから嫌だったのか？｣
｢うにゅ｡いちゅきちゃ､くりゅ｡こあい｣
｢…そしてその後に来る樹が嫌なのか｡一…パパも樹はちょっと苦手だ｣
嫌われ続けてもう何年だ？
とりあえず番契約を結ぶまでは許してもらったけど…｡
昼間は樹が柚と2人で家にいるわけで…｡
いや今は2人じゃないか｡
｢ぴゃぁぁぁ!!｣
｢ん､大きなお口｣
｢…一もやるか｣
｢うにゅ｣
一は自分で寝転び､歯磨きも抵抗なくできた｡
双葉は…未だに暴れている｡
｢…柚琉様､歯ブラシを貸してください｣
｢樹くんやるの？｣
｢今まで柚琉様の歯磨きをしていたのは私ですよ？｣
｢そうだったね｣
双葉は樹の方に移されてピタッと泣き止んだ｡
｢ふぇ…ふぇ…｣
｢急に大人しく…｣
｢へぷちっ｣
｢…くしゃみがしたかっただけですか｡お鼻ちーんしましょうか｣
｢…ぐじゅっ…｣
双葉の鼻水を拭き取って歯磨きが再開された｡
｢一はいい子にできたんだね｣
｢…いちご｣
｢一のはいちごの匂いだったのかな｣
｢ふちゃばは？｣
｢双葉のはピーチだよ｣
｢ぴーち!!｣
｢今度交換してみようね｣
そろそろ2人の玩具も新しくしないと｡
大分壊れてきてたな…｡
｢あ､そうでした｡旦那様からこれを預かってきました｣
樹は家電量販店のカタログを開いた｡
｢お好きなものをお選びくださいとのことです｡出産祝いを渡していなかったと｣
｢…は？いや産着とかベビーグッズもらっ…｣
｢あれはただの柚琉様のおさがりですから｣
｢…結構新品のままだったんだけど｣
わざわざ買い揃えて渡してきたんじゃねぇの？