声に恋する君に恋した

塚口悠良

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5.約束のお泊まり会

5-3.最高の夕食

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 ひとしきり遊んで、リビングにふたりで向かう。ダイニングテーブルには所狭しと料理が並べられており、既に席についていた父さんも少し笑ってしまっている。デミグラスハンバーグ、フライドチキン、グラタン、エビフライ、コロッケ、シーザーサラダ、クラムチャウダー。何日分のメニューなんだと笑ってしまうような並びに思わず母さんに駆け寄る。
「いっくらなんでも! やりすぎだろ!」
「だってぇ……いろいろ作ってたら楽しくなっちゃって……食べられる分だけで全然大丈夫だから! 残ったら翌日以降にいろいろ工夫できるから!」
 眉を下げつつも楽しそうに笑う母さんを強く責められず、座る場所を決めかねている橘を適当に座らせて自分も席につく。
「す、すごいな……めちゃくちゃ美味しそう……」
 料理を目の前にした橘がボソリと呟いたのを聞いて、まあとんでもないけど悪くはないよなと思い直す。シンクの片付けをしている母さんが先に食べてと声をかけてくるから、お言葉に甘えることにして、手を合わせる。
「いただきます」
「い、いただきます!」
 少し遅れて橘も手を合わせて挨拶をした。一番手前にあったフライドチキンを取り皿に取って一口かじった橘は、目を大きく見開いて咀嚼している。瞳がキラキラと輝いていて、それだけで美味かったであろうことが分かる。口いっぱいに頬張ったフライドチキンがなくなってから橘はパッと顔を上げた。
「うま……美味すぎる!! 北見も食って! マジで美味しい!!」
 最初はサラダを食べていたけれど、橘からの熱烈なアピールに負けてフライドチキンを皿に取る。一口かじり、確かに超絶美味いと頷き返すとまたしても嬉しそうにはしゃぐ橘を見て、母さんが小躍りしながらダイニングにやってくる。
「こんなに喜んでくれるなんて……! 作りがいの化身なの!?」
「あの、あの、ほんとに美味しいです! マジで幸せ……」
 ふにゃりと破顔しながら幸せだとつぶやく橘になにかのスイッチを押されたであろう両親がこれも食えあれも食えと橘の皿にどんどん盛り付けていく。あわあわしながらも嬉しそうに食っていく橘に止まることを忘れたせいでずっと橘の皿が頭の悪いバイキングみたいになっているけれど、それも幸せみたいだからまあいいか、と笑いながら見守った。
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