見捨てられた俺と追放者を集める女神さま スキルの真価を見つけだし、リベンジ果たして成りあがる

腰尾マモル

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【第82話】三つの型

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 大陸会議を終えて帝国リングウォルド東街区を出発した俺達は六日目にしてようやくドライアド周辺まで辿り着く事が出来た。帰り道の橋が落とされていたり、仮面をつけた謎の野党に襲われたりと散々進行の邪魔をされてきた。

 ここまであからさまな妨害をしてくるとは思わなかったが、それだけモードレッドも必死なのかもしれない。その必死さが俺達への牽制なのか、末っ子レックに援護がしたい兄心なのか、それとも別の何かなのかは分からないが、厄介な事にはかわりない。

 ドライアド平原で馬を走らせ続けていると、遂にドライアド跡地が見えてきた。生で初めて見るドライアド跡地は思ったよりも廃れていないようだ、一足先に復興を始めたサーシャ達のおかげもあるかもしれないが。

 見た限り東西で立てている旗が違う事から東側をシンバード、西側を帝国第四部隊が復興して競い合っているようだ。東側にある一番大きな家に入ると早速サーシャが出迎えてくれた。

「おかえりなさいガラルド君、随分と遅かったね、何かあったの?」

「ああ、本当に色々あったよ、実は――――」

 そして、俺達はお互いにどんなことがあったかを伝え合った。帝国の横暴さ、帰路の妨害、レックとサーシャの言い争い、皆の尽力、緋色の目のこと等、常に俺とサーシャのどちらかが驚き続ける報告会が終わりを迎えた頃、シンが主要メンバーを集めて作戦会議を始めた。

「みんな、聞いてくれ。統治権を争う投票日まで後二十日もない。今のところ街や農地の整備に関しては我々シンバード側が上回っているが、魔獣討伐や防備に関しては帝国が上なのが現状で今日の時点でもドライアド周辺でかなりの魔獣を討伐しているらしい。向こうの国は軍備管理のエキスパートだから戦闘面に関してはどうしても負けてしまうだろう」

 シンの言葉に復興作業員達は俯いている。しかし、シンはマイナスな報告だけで終わらせるような男ではない。シンはリリスの肩に手を置くと、さっきよりも張りのある声で皆を鼓舞した。

「だが、今日からは帝国に行っていたリリス君達も帰ってきて、戦闘面でも復興面でもパワーアップするだろう。それに今はまだ到着していないシンバード周辺の友好国もドライアド復興計画の話を聞いて助けに来てくれるだろう。対して帝国は従僕に近い国はあっても友好国は無いに等しい。これ以上労働力が上がる事は無いだろう。ゆえにここからが我々の追い上げの時となる。みんな最後まで精一杯頑張ろう!」

 全員がシンの言葉に頷き、掛け声で気勢を上げた。皆の熱量に当てられた俺は両方の拳をぶつけ合い、気合を入れて宣言した。

「よぉぉし! 一応俺がドライアド復興計画の代表だからな、いっちょう気合を入れて危険度の高い魔獣でも討伐してくるか」

「ちょっと待ってくれガラルド君」

 俺が外に出ようと歩き出すとシンが慌てて止めてきた。

「どうしたシン?」

「ガラルド君には別にやってもらいたいことがあるのだよ。それは緋色の目のコントロールだ」

「緋色の目のコントロール? この力にそもそもコントロールなんてあるのか?」

「我々も分からない事だらけだが、とりあえずやれることはやろうと思う。ガラルド君にはつきっきりでストレングと特訓を続けてもらう。魔獣の討伐などはリリス君達に任せておいてくれ」

「それでさっきリリスの肩に手を置いて説明していたのか。しかし、少しでも人手が欲しい時に俺とストレングが欠けちまって大丈夫か?」

「大丈夫さ、だって君は今まで何度もここにいる仲間達に救われてきただろう? それは凄く頼りになる証拠でもあるだろ?」

「フッ、そうだな。手練れのハンターや兵士、リリスにサーシャにヒノミさん、レナだっているしな。あと一応パープルズも」

 パープルズの四人は俺に向かって威嚇の表情を向けているものの、ちょっと笑っていた。俺のイジりを笑ってくれた事がしこりの解消を感じさせてくれて少し嬉しかった。

 それから俺とストレングは皆と別れて、少し離れた荒地に移動して特訓をすることになった。特訓をするだけならドライアドの中でもいいのではと思った俺は此処に来た理由を尋ねた。

「ストレングさん、何でわざわざ離れた荒地に来たんだ?」

「その説明をする前にまずはガラルドの緋色の目について再確認しておこう。今まで緋色の目が発動してきた条件は『危険な状況』や『集中している状況』だ。そして、身体能力や魔力の向上があるものの、疲労感……つまり体力や魔量の消費が激しくなる。それで間違いないな?」

「ああ、感覚的なことだから絶対とは言い切れないがそうだと思う」

「ワシも含めてガラルドが緋色の目になった瞬間を見てきた者は『別の魔力を纏っている』ように見えたり『魔力を二重で纏っている』ように見えたんじゃが、そういう感覚はあるか?」

「う~ん、ただがむしゃらに集中していただけだから分からないな」

「まぁ、そうじゃろうな、それじゃあ早速確かめるぞ、棍を構えろガラルド。今からワシの大剣を使って全力でお前を叩き斬るからな」

「え? 何を言ってんだストレ――――」

 俺が言葉を言い切る前にストレングは大剣に炎を纏わせ、全力で振り下ろしてきた。

「サンド・ストーム!」

 俺は慌ててサンド・ストームを作り出したが、馬鹿力のストレングが繰り出す衝撃は凄まじく、自慢の防御壁が一発で半壊状態にされてしまった。いきなり過ぎる攻撃に困惑した俺は後ろへ飛んで、大声で文句を言った。

「いきなり何をするんだストレングさん! 死ぬかと思ったぞ」

「…………予想通り緋色の目になったか、それに身に纏ったその魔力、やはり二種類の魔力を二重に纏っておるな」

 俺は自分の目に魔力を集中させて活性化させたあと、手をじっくりと見つめた。すると確かに二種類の魔力の波動が揺らいでいた。

魔力の色はその時使っている魔術や得意属性によって変わる事もあるから一概には言えないが、昔から地属性魔術を使っていた俺は基本的に黄色のオーラが出ていることが多い。

 だが、今は黄色のオーラの奥にうっすらと緋色が混ざっている様に見える、これが緋色の目の魔力なのだろう。

「確かに薄っすらと別の魔力が存在しているのが分かるよ」

「今の感覚を大事にするんだ。これまでと違い今のお前は二種類の魔力を保持しているという認識が出来ている、その認識が何より重要なんだ。例えるなら右手で火属性魔術を左手に風属性の魔術を発動するような感覚で、右半身に緋色の魔力、左半身に通常の魔力を移動させてみるんだ」

「いきなりそんなこと言われてもなぁ……まぁやるだけやってみるか、はああぁぁ!」

 ストレングの言われるがままにやってみたものの、緋色の魔力はほんの少ししか右側にいかず全身を巡っていた、正直難易度がめちゃくちゃ高い。それどころか、段々と体から緋色の魔力が消えていく感覚すらある。

「最初のコントロールはそんなもんか、それに緋色の魔力自体が危機的状況じゃなくなったせいで消えかけているな。ガラルドの当面の課題は『通常の魔力のみの状態』『緋色の魔力のみの状態』そして『通常の魔力と緋色の魔力の両方を纏う状態』を使い分けられるようになることだな。長ったらしいから順番に『無纏むてん』『緋纏ひてん』『双纏そうてん』と名付けよう」

「名前はそれでいいけど、何で三つも型を作るんだ? 無纏むてん双纏そうてんだけあれば火力タイプと節約タイプの使い分けは出来ると思うが」

「魔量というのは肉体的な体力よりも回復が早いからな。片方の魔力を消費したらもう片方の魔力で戦っている間に回復する事が出来るだろう?」

「確かにその通りだ、雑魚との連戦の時は特に有効そうだな」

「あともう一つ注意しておこう。双纏そうてんは消耗が激し過ぎるからいざという時にしか使わない方がいいぞ。魔力を同時に使うから肉体負荷や魔量消費は二倍になるなんて簡単な計算にはならない。人が重りを持ち上げる時と一緒だ、マックス一回しか挙げられない重量に対して半分の重さにしたら二回しか挙げられないかと言われたらそうじゃない、五回十回と挙げられるだろう? それだけ限界付近を行使するというのはハイリスクなんだ」

 ストレングの言う事はもっともだ。実際ローブマン戦では気を失ってしまったし、ビエード戦でも勝利の雄叫びがあげられないぐらいヘトヘトに疲れ切っていた。

「これで当面の課題が見えてきたな、ありがとうストレングさん。それじゃあ魔力を使い分ける為に今からどんな修行をすればいいんだ?」

「とにもかくにも緋色の魔力が出てこないことには特訓にならないからな、シンプルにワシの大剣を受け止め続ける特訓じゃ。ほれ、棍を構えろ、いくぞぉぉ、ボルケーノ・スイングゥゥ!」

「ちょっと待ってくれ、うわああぁぁ!」

 それからは連日大剣を受け止めるだけの特訓が続いた。荒地には何百ものクレーターが作られることとなる。わざわざ荒野に連れてこられた理由を身をもって体験する事となった……。

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