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【第234話】これからのガラルド達
しおりを挟む「随分と自信満々のようだが、フローラはよっぽど戦闘力が高いのか? それとも俺達が束になっても敵わない環境や状況が整っているのか?」
俺が尋ねるとフローラは頭を掻きながら照れくさそうに答えた。
「ガラルドさんにはお見通しでしたか。そうです、七恵の楽園の中だけなら私は優位に戦えるのです。先程見せた木を移動する技や小人にする技もここでしか使えませんが、ガラルドさん達だけを小人化すれば戦闘力は激減させられますし、森の破壊も抑えられます。対照的に私は外で戦う時よりも遥かに自分自身を強化できますよ」
きっとフローラは七恵の楽園を守り切れなかった後悔と復興させたいという強い気持ちに加えて、長年浄化作業を続けてきたからこそ後天スキル七恵の番人が発現したのだろう。
心の底から尊敬できる女神だ。気がつけば俺はスキルの凄さを褒めたたえていた。
「俺達の力を下げられるうえにそっちが強くなられたんじゃ勝ち目はないな。あの自信たっぷりな言い回しにも納得だぜ。それにしても七恵の番人は強力過ぎるスキルだな、正直羨ましいぜ」
「ありがとうございます。ですが、七恵の楽園でしか使えないので制約が厳し過ぎますけどね。七恵の番人に限らず、スキルというのは特定の制約や条件によって強大な力を得られるものもあるので、今後の旅で異常な凄さを持った者がいたら、何か致命的な弱点があると疑ってみるのもお勧めします」
「なるほどなぁ、単に先天・後天スキルが存在するだけだと思っていたが、スキルも奥が深いんだな、勉強になったよ。それじゃあ早速お強いフローラに鍛えてもらうとするか!」
俺とグラッジは体に魔力を纏わせて戦闘態勢に入った。ついつい上がってしまう口角に俺自身ワクワクしているんだと実感していると突然サーシャが「ストップ!」と叫んで、俺達を制止した。
「ちょっと待って、たしかに戦闘訓練も大事かもしれないけどサーシャ達にはやらなきゃいけない事が山ほどあるんだよ? シンバードにだって報告に戻らなきゃいけないし」
そこからサーシャによるプチ説教タイムが始まった。
サーシャ達は七恵の楽園で得た情報と植物を持って帰り、帝国への警戒を含む軍備や、植物の戦闘応用も進めなければいけないし、イグノーラよりも南にある国々とも可能な限り接触して、一つでも多くの国に大陸会議へ参加してもらわなければいけないでしょ? と怒られてしまった。
リヴァイアサンという早すぎる移動手段を手に入れた俺達にしか大陸南の各国へ接触することは出来ないし、サーシャの言う通りである。
それに大陸南へ行く前にシンへ『ジャッジメント』を借りて、イグノーラの牢屋にいるザキールに尋問する事も忘れてはいけない。それにウンディーネさんから死の海の航路作成がどこまで進んでいるのかも確認しておかなければならない。
やらなきゃいけない事は山ほどあるというサーシャの言い分は正にその通りだ、数日ぐらい七恵の楽園を満喫してしまおうと考えていた自分が恥ずかしい。
とりあえず今はシンバードに報告へ行く事と大陸南に行く事を優先しよう。一通り大陸南での仕事を終えて、あとは大陸会議の日まで待つだけという状態になったら、その時に改めて七恵の楽園で特訓をすることにしよう。
だが、大陸会議までに果たしてどれだけ大陸南の国々と接触して大陸会議への参加を促す事が出来るだろうか? 各国の要人にはリヴァイアサンの存在を知られたくないからリヴァイアサンでディアトイルまで運ぶことは出来そうにない。だから死の海を南から北へ航海してもらう事になる。
各国の準備期間と距離をしっかりと計算したうえで話を持ち掛けないといけないから気を付けておこう。そうやって大陸南の事を考えているうちに俺は一つ疑問が湧いてきた、それは大陸南には幾つ国が存在するかだ。
俺が早速グラッジに問いかけると、彼は少し困った顔をしながら答えを返した。
「村を除いて、国や街と呼ばれている場所は20ぐらいでしょうか。人口が数百人規模の村は結構多いですけどね」
「え? そんなに少ないのか? 死の山を除いて大陸を上下に分けたら大陸北も南もそんなに面積は変わらない筈だぞ」
もしかして魔獣寄せが原因で壊滅した国があったりするのかも? と嫌な予感がしたけれど、グラッジは国や街が少ない意外な理由を簡易的な地図を指差しながら語ってくれた。
「モンストル大陸を南北に四等分した場合、イグノーラやカリギュラは南から二番目のブロックに該当しますよね。そのブロックはそれなり人がいるんですよ。ですが、一番南のブロックはハッキリ言ってフロンティアです。人間がいる可能性もありますが、不思議で危険な場所も多く、解析が進んでいないんですよ」
「どんな不思議や危険があるんだ? 分かる範囲で教えてくれないか?」
「噂と古すぎる情報を元に話しますけど、例えば『逆さの廃墟群』と呼ばれている建造物・物体が上下逆さになってる場所があったり『消水の荒地』と呼ばれる度々豪雨が降っているのにも関わらず干ばつしている大地もあります。他にも『渦巻の沼』と呼ばれる沼地は泥が渦のように回転して飲み込まれたりと、もう滅茶苦茶なんです……」
「何だそれ……話を聞いてるだけで凄くワクワクしてきたぞ! 今すぐにでも行きたいぐらいだぜ! 大陸南に行ったらちょっとだけ見に行――――」
「駄目だよ、ガラルド君ッ! 好奇心を揺さぶる冒険がしたいならちゃんと仕事を終えてからだよ!」
またサーシャに叱られてしまった、これじゃあまるで母親と息子だ。
何にせよ俺達が次に取る行動は決まった訳だ。横で話を聞いていたフローラは「また近いうちに皆さんがここに来てくれると思いますし、楽しみに待ってますね」と言い、薬草の簡易セットが入った小箱を俺達にくれた。
ひとまず研究に没頭しているゼロはここに置いていってあげた方がいいだろうから「ゼロ以外のメンバーは一度シンバードへ戻ろう」と俺が言うと、リリスが突然挙手をしてお願いをしてきた。
「あの~、すいません、私もゼロさんとここに残っていいですか?」
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