見捨てられた俺と追放者を集める女神さま スキルの真価を見つけだし、リベンジ果たして成りあがる

腰尾マモル

文字の大きさ
237 / 459

【第237話】魔屍棄の地ディアトイル

しおりを挟む


 イグノーラでの戦争から百日以上経っただろうか。俺、リリス、サーシャ、グラッジ、グラハム、ゼロ、シンの七人は邪悪な圧迫感と陰気な空気が混在する地『ディアトイル』の入口へ到着した。

 俺にとっては見慣れた景色で約四年前に飛び出した頃と何一つ変わっていない。しかし、俺以外の六人はディアトイルを訪れるのは初めてだからきょろきょろと全体を見渡していた。

そして新しい場所にきた時はもはやお馴染みになっているリリスの感想語りが始まった。

「死の山と隣り合っているせいか斜面に家が建っていたり、山壁に施設がくっ付いていたりしてて珍しいですね、それに家屋・橋・梯子なども魔獣の素材がふんだんに使われていて凄いです。所々岩肌が露出しているせいか土や植物が控えめで死の山の南入口付近を思い出しますが、そこ以外は普通の村に感じます。強いて言えば村人に少し覇気がないように思えますが……」

 リリスは『少し覇気がない』と言葉を選んでくれているが、実際はかなり陰気な人ばかりだ。

魔屍棄ましきの地と呼ばれている通り、ここの人間は魔獣の死体を捌いて加工する仕事をしている者が大半だし、最近マシになったとはいえ今でも色んな国から差別されているのだから陰気になるのも当然だ。

 実際、外に出ているディアトイル民は久しぶりに俺の姿を見て薄っすらとおかえりの笑顔を浮かべてくれているものの、隣に他国の人間が立っているからか声を掛けてくることはなかった。

 ディアトイル民は全てを諦めていて、死んではないけど生きてもいないと感じた俺はこんなところでずっと暮らすのも嫌だし、ディアトイルの地位を向上させたいという想いで村を出た。それほど昔の事じゃないけれど随分昔のことのように感じる、不思議なものだ。

 今日は大陸会議の二日前だから、下見がてら早めに来た俺達しかいないと思っていたが、俺達とほぼ同じタイミングでフェアスケールのラファエルも到着していた。

 ラファエルは俺とシンに目線を向けると薄く笑顔を浮かべて駆け寄ってきた。

「こんにちはガラルドさんとお仲間の皆さん、そして久しぶりですねシン。元気にしていましたか?」

 いつも愛想の良いシンだが、流石に約二十年ぶりに再会する保護者に対してどう言葉を返せばいいのか分からず困っていた。そんなシンを見かねてかラファエルは続けて自分の思いを語った。

「シン、手紙でも伝えましたが再度謝らせてください。シンが子供の頃に散々フェアスケールは変わらなければいけないと言ってくれていたのに私達は聞き入れてあげることが出来ませんでした。遅くなりましたが、ようやくフェアスケールは世界に順応し、少しずつ変わり始めています。まだまだシンバードほど完成された組織ではありませんが、よかったら久々に帰ってきて皆に顔を見せてやってください、喜びますので」

 ラファエルの言葉を受けて、シンはずっとモジモジしていた。そして、照れくさそうに斜め上を見ながら言葉を返す。

「落ち着いたら遊びに行くよ。俺もちょっとだけ皆に会いたいし」

「ええ、楽しみにしていますよ」

 まだギクシャクしているけれど、この感じならかつての仲に戻る日も遠くはないだろう。珍しく俺がシンを見守る形になったところで、ラファエルが俺に提案してきた。

「それじゃあこのまま一緒に村長の家へと挨拶に向かいましょうか。よろしいですかな、ガラルド殿?」

「う~ん、このまま直接行ってもいいけど、見せたい場所が近くにあるから先にそっちを案内するよ。俺の後をついてきてくれ」

 俺は皆についてきてもらい、村の入口より南に存在するとある場所へ案内した。そこはディアトイルがまさに魔屍棄ましきの地と呼ばれるに相応しいポイントだ。

 死の山の絶壁の根元に位置するこの場所に向かって数分に一匹のペースで魔獣の死体が降ってくるのだ。そこは死の山で死んだ魔獣がゴミでも捨てるかのように高い位置から死体をこちらへ放り投げているのである。

 死体は他のポイントにも捨てられているが、一番多く捨てられているのが今いるポイントであり、大きく穴を掘っているにも関わらず積もりに積もった死体はゆうに200匹を超えている。いつしか魔獣死体が捨てられるポイントは魔屍棄ましきの大穴と呼ばれるようになった

 この光景を見て全員が声を失い驚いていた。まるで死の山の洞窟の中で山盛りになっていた魔獣死体を彷彿とさせる光景だから、皆からしたら堪らなく恐ろしいものなのだろう。

だが、俺からしたらグラドが六心献花ろくしんけんかで一斉に葬った魔獣は高温の環境下で乾燥して腐っていなかったから逆にそっちの方が恐かった。俺は腐った魔獣死体が山盛りになっている光景は子供の頃からここで見慣れているからだ。

 リリスは断続的に落ちてくる魔獣死体を眺めながら魔獣の生態について言及する。

「死の山の魔獣集落を見て、魔獣なりの社会性や知能を感じましたが、死体を放り投げている点からもやはり人間には程遠い存在なんでしょうかね? ガラルドさんはどう思います?」

「俺は逆に魔獣がもっと賢い存在なんじゃないかと推測しているよ。魔獣の総本山である死の山には大穴限定とはいえ、とんでもない数の魔獣がいたわけだからきっと魔獣達にとって生活を営める空間は限られているのだと思う。そんな状況でなおかつ土の少ない死の山で死体を放置していたら腐る一方だし、棄てざるをえなかったんだと思う」

「確かに腐敗した死体はそれだけで病気や悪臭の元になりますからね、納得です」

 せめてグラドの手紙が置いてあった洞窟ぐらい高温の場所だったり、近くの火口にマグマが溜まっていれば棄てられるだろうが、死の山は南北にも東西にも広いから対処できないエリアもいっぱいあるのだろう。

 もしかしたら北側であるディアトイル以外にも沢山の魔獣死体が棄てられているポイントがあるのかもしれない。ディアトイルは魔獣死体から素材を剥ぎ取り加工して生計を立てているわけだが、もし魔獣が棄てられていなければどんな場所になっていたのだろうか?

 別の産業に手を出していたのか、それとも生きていく事が出来なかったのだろうか? もしもの可能性を考えても答えは出ないから考えるだけ無駄なのだが、それでも差別を受けて来た者としては想像してしまう。

 気持ちのいい故郷案内は出来なかったけれど、これで皆にディアトイルがどんな場所か自らの目で確かめてもらえたと思う。

「それじゃあ、次はいよいよ村長の家に行こうか、一応俺が育てられて寝食していた場所でもあるから実家と言ってもいいかもしれない。そんなにいい場所じゃないがついてきてくれ」


しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

さんざん馬鹿にされてきた最弱精霊使いですが、剣一本で魔物を倒し続けたらパートナーが最強の『大精霊』に進化したので逆襲を始めます。

ヒツキノドカ
ファンタジー
 誰もがパートナーの精霊を持つウィスティリア王国。  そこでは精霊によって人生が決まり、また身分の高いものほど強い精霊を宿すといわれている。  しかし第二王子シグは最弱の精霊を宿して生まれたために王家を追放されてしまう。  身分を剥奪されたシグは冒険者になり、剣一本で魔物を倒して生計を立てるようになる。しかしそこでも精霊の弱さから見下された。ひどい時は他の冒険者に襲われこともあった。  そんな生活がしばらく続いたある日――今までの苦労が報われ精霊が進化。  姿は美しい白髪の少女に。  伝説の大精霊となり、『天候にまつわる全属性使用可』という規格外の能力を得たクゥは、「今まで育ててくれた恩返しがしたい!」と懐きまくってくる。  最強の相棒を手に入れたシグは、今まで自分を見下してきた人間たちを見返すことを決意するのだった。 ーーーーーー ーーー 閲覧、お気に入り登録、感想等いつもありがとうございます。とても励みになります! ※2020.6.8お陰様でHOTランキングに載ることができました。ご愛読感謝!

世界最強の賢者、勇者パーティーを追放される~いまさら帰ってこいと言われてももう遅い俺は拾ってくれた最強のお姫様と幸せに過ごす~

aoi
ファンタジー
「なぁ、マギそろそろこのパーティーを抜けてくれないか?」 勇者パーティーに勤めて数年、いきなりパーティーを戦闘ができずに女に守られてばかりだからと追放された賢者マギ。王都で新しい仕事を探すにも勇者パーティーが邪魔をして見つからない。そんな時、とある国のお姫様がマギに声をかけてきて......? お姫様の為に全力を尽くす賢者マギが無双する!?

【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』

ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。 全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。 「私と、パーティを組んでくれませんか?」 これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!

転生貴族の移動領地~家族から見捨てられた三子の俺、万能な【スライド】スキルで最強領地とともに旅をする~

名無し
ファンタジー
とある男爵の三子として転生した主人公スラン。美しい海辺の辺境で暮らしていたが、海賊やモンスターを寄せ付けなかった頼りの父が倒れ、意識不明に陥ってしまう。兄姉もまた、スランの得たスキル【スライド】が外れと見るや、彼を見捨ててライバル貴族に寝返る。だが、そこから【スライド】スキルの真価を知ったスランの逆襲が始まるのであった。

外れスキル《コピー》を授かったけど「無能」と言われて家を追放された~ だけど発動条件を満たせば"魔族のスキル"を発動することができるようだ~

空月そらら
ファンタジー
「鑑定ミスではありません。この子のスキルは《コピー》です。正直、稀に見る外れスキルですね、何せ発動条件が今だ未解明なのですから」 「何てことなの……」 「全く期待はずれだ」 私の名前はラゼル、十五歳になったんだけども、人生最悪のピンチに立たされている。 このファンタジックな世界では、15歳になった際、スキル鑑定を医者に受けさせられるんだが、困ったことに私は外れスキル《コピー》を当ててしまったらしい。 そして数年が経ち……案の定、私は家族から疎ましく感じられてーーついに追放されてしまう。 だけど私のスキルは発動条件を満たすことで、魔族のスキルをコピーできるようだ。 そして、私の能力が《外れスキル》ではなく、恐ろしい能力だということに気づく。 そんでこの能力を使いこなしていると、知らないうちに英雄と呼ばれていたんだけど? 私を追放した家族が戻ってきてほしいって泣きついてきたんだけど、もう戻らん。 私は最高の仲間と最強を目指すから。

復讐完遂者は吸収スキルを駆使して成り上がる 〜さあ、自分を裏切った初恋の相手へ復讐を始めよう〜

サイダーボウイ
ファンタジー
「気安く私の名前を呼ばないで! そうやってこれまでも私に付きまとって……ずっと鬱陶しかったのよ!」 孤児院出身のナードは、初恋の相手セシリアからそう吐き捨てられ、パーティーを追放されてしまう。 淡い恋心を粉々に打ち砕かれたナードは失意のどん底に。 だが、ナードには、病弱な妹ノエルの生活費を稼ぐために、冒険者を続けなければならないという理由があった。 1人決死の覚悟でダンジョンに挑むナード。 スライム相手に死にかけるも、その最中、ユニークスキル【アブソープション】が覚醒する。 それは、敵のLPを吸収できるという世界の掟すらも変えてしまうスキルだった。 それからナードは毎日ダンジョンへ入り、敵のLPを吸収し続けた。 増やしたLPを消費して、魔法やスキルを習得しつつ、ナードはどんどん強くなっていく。 一方その頃、セシリアのパーティーでは仲間割れが起こっていた。 冒険者ギルドでの評判も地に落ち、セシリアは徐々に追いつめられていくことに……。 これは、やがて勇者と呼ばれる青年が、チートスキルを駆使して最強へと成り上がり、自分を裏切った初恋の相手に復讐を果たすまでの物語である。

大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる

遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」 「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」 S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。 村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。 しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。 とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。

チートスキル【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得&スローライフ!?

桜井正宗
ファンタジー
「アウルム・キルクルスお前は勇者ではない、追放だ!!」  その後、第二勇者・セクンドスが召喚され、彼が魔王を倒した。俺はその日に聖女フルクと出会い、レベル0ながらも【レベル投げ】を習得した。レベル0だから投げても魔力(MP)が減らないし、無限なのだ。  影響するステータスは『運』。  聖女フルクさえいれば運が向上され、俺は幸運に恵まれ、スキルの威力も倍増した。  第二勇者が魔王を倒すとエンディングと共に『EXダンジョン』が出現する。その隙を狙い、フルクと共にダンジョンの所有権をゲット、独占する。ダンジョンのレアアイテムを入手しまくり売却、やがて莫大な富を手に入れ、最強にもなる。  すると、第二勇者がEXダンジョンを返せとやって来る。しかし、先に侵入した者が所有権を持つため譲渡は不可能。第二勇者を拒絶する。  より強くなった俺は元ギルドメンバーや世界の国中から戻ってこいとせがまれるが、もう遅い!!  真の仲間と共にダンジョン攻略スローライフを送る。 【簡単な流れ】 勇者がボコボコにされます→元勇者として活動→聖女と出会います→レベル投げを習得→EXダンジョンゲット→レア装備ゲットしまくり→元パーティざまぁ 【原題】 『お前は勇者ではないとギルドを追放され、第二勇者が魔王を倒しエンディングの最中レベル0の俺は出現したEXダンジョンを独占~【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得~戻って来いと言われても、もう遅いんだが』

処理中です...