【第一章完結】凸込笑美はツッコまざるを得ない……!

阿弥陀乃トンマージ

文字の大きさ
18 / 50
第1笑

5本目(1)熱いトーク

しおりを挟む
                   5

「……やはり、『〇ラックジャック』だろう」

 屋代が眼鏡をクイっとさせながら答える。

「え~」

「え~とはなんだ、え~とは!」

 屋代が礼明を指差す。

「『ブラック〇ャック』って、タイトルは知っていますけど……ね~礼光ちゃん?」

「うん、さすがにちょっと古くないですか~?」

 礼明の問いに礼光が頷く。

「古いというのは大した問題ではない。あの作品は生命とは何かを我々読者に考えさせてくれる非常に意義深い作品だ」

 屋代が腕を組んで、自らの発言にうんうんと頷く。

「う~ん……」

「なんかねえ~」

 能美兄弟が揃って首を捻る。屋代が問う。

「ならば、君たちは何だと思うんだ?」

「やっぱり、『花男』でしょ!」

「はなだん?」

 屋代が首を傾げる。

「『〇より男子』ですよ~」

「F4が4人ともかっこいいしね~」

「エフフォー?」

 屋代がさらに首を傾げる。

「屋代パイセン、『花より〇子』知らないのヤバいですよ~」

「うん、マジあり得ない、人生損してる~」

「くっ……お、おい、江田はどう思う?」

「えっ? う~ん、『スラダン』っすかね~」

「スラダン? スライムより団子か?」

「『〇ラムダンク』っすよ、国民的バスケ漫画の!」

「君は野球部だろう! 野球漫画を読みたまえよ!」

「なんすか、その暴論は……」

 江田は冷ややかな視線を向ける。屋代は司に尋ねる。

「細羽! 君はなんだと思う⁉」

「えっ? ぼ、僕は……『〇撃の巨人』ですかね~」

「ふっ……」

「そうっすか……」

「ミーハーだね、司っちは……」

「ベタだよね~」

 四人が司の答えを鼻で笑う。司はムッとする。

「な、なんでそこで四人の息が合うんですか⁉ 『進撃の〇人』は良いでしょ! アニメもカッコ良かったし! 世界的な人気ですよ!」

「世界的人気を誇るアニメなら『〇ウボーイビバップ』だろう!」

 屋代が声を上げる。礼明が笑う。

「ははっ……」

「なにがおかしいんだ?」

「なんか、屋代パイセン、チョイスが古いんですよ……」

「古いだと⁉ あのスタイリッシュさは今もなお色褪せることはないぞ!」

「アニメならやっぱり、『あの花』っしょ~」

「あの花?」

「『あの日見た花の名前を〇たちはまだ知らない』ですよ~」

「あれはマジ泣けるよね~」

 礼光が礼明に同意する。

「何度見ても良いよね~」

「知らないが、お涙頂戴系か……」

「パイセン~『あの花』知らないのはどうかと……」

「ちょっとヤバいよね~」

 能美兄弟が冷めた視線を屋代に送る。

「くっ、え、江田はどうなんだ?」

「え、そうっすね……『〇―リ!!! on ICE』っすかね……」

「なんだそれは? 野球アニメか?」

「フィギュアスケートものっす!」

「野球を見ろ!」

「さっきからなんすか、その暴論は⁉」

 江田が困惑する。

「ちっ……細羽はどうだ? 『進撃』以外なら」

「え? ガ、『ガルパン』ですかね?」

「いやらしいものか?」

「ち、違いますよ! 『ガールズ&パンツ〇ー』、略して『ガルパン』です。戦車道という架空の競技を描いた傑作です! 舞台になった茨城県大洗町は聖地なんですよ!」

「あ~なんか、聞いたことあるかも……」

「聖地とか、やっぱミーハーだよね~司ちんは……」

 礼光が笑う。

「作家志望ならもっと通が好むものを観たらどうだ?」

「全くっすね」

 屋代の言葉に江田が頷く。司が再びムッとする。

「だからなんでそこだけ息が合うんですか⁉ ガルパンはゲームもヒットしていますよ!」

「ゲームならば、『〇長の野望』シリーズだな、戦国大名の気分を味わえる。歴史や地理の勉強にもなるしな……」

「いや~そこはやっぱり『スプラ』っしょ!」

「スプラ?」

「『スプラ〇ゥーン』シリーズ知らないんですか⁉」

「さすがにそれはヤバいですよ……」

 首を傾げる屋代に対し、礼明は驚き、礼光は引き気味で呟く。

「そ、そんなに引くことはないだろう⁉」

「だってヤバいんですもん……」

「ね~」

「むう……江田はどうだ、ゲームは……」

「『〇IFA』シリーズっすね」

「『FI〇A』?」

「サッカーゲームっす!」

「野球ゲームをやれ!」

「いや、別に良いじゃないっすか!」

「細羽は⁉」

「えっと、最近なら『〇マ娘』ですかね……」

「お前というやつは……」

「それっすか……」

「なんというか……」

「とことんベタだね~」

 四人が揃ってため息をつく。司が三度ムッとする。

「いや、なんで僕だけはダメみたいな雰囲気出すんですか⁉ おかしいですよ!」

「それはこっちの台詞や!」

「あ! 笑美さん!」

 司が視線を向けると、笑美が部室に入ってくる。

「何を熱くオタクトークしとんねん……サークルの趣旨変えたんか?」

「えっと、どうしてだっけ……? そう、彼の話がきっかけで……」

「彼? うおっ⁉」

 司の指差した方を見ると、長い黒髪を後ろで一つしばりにした眼鏡の男子がぶつぶつと呟きながら、教室の隅にしゃがみ込んでいた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

つまらない妃と呼ばれた日

柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。 舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。 さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。 リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。 ――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。

沼野 花
恋愛
【3月中ーー完結!!】 私は、夫にも子供にも選ばれなかった。 二十年の裏切りの果て、その事実だけを抱え、離縁状を置いて家を出た。 そこで待っていたのは、凍てつく絶望――。 けれど同時に、それは残酷な運命の扉がひらく瞬間でもあった。 夫は愛人と共に好きに生きればいい。 今さら「本当に愛していたのは君だ」と縋られても、 死の淵を彷徨った私には、裏切ったあなたを許す力など残っていない。 「でも、子供たちの心だけは、 必ず取り戻す」 妻にも母にもなれなかった伯爵夫人イネス。 過去を悔い、歪な愛でもいいと手を伸ばした彼女が辿り着いた先。 それは、「歪で、完全な幸福」か、それとも――。 これは、"石"に翻弄された者たちの、狂おしい物語。

~春の国~片足の不自由な王妃様

クラゲ散歩
恋愛
春の暖かい陽気の中。色鮮やかな花が咲き乱れ。蝶が二人を祝福してるように。 春の国の王太子ジーク=スノーフレーク=スプリング(22)と侯爵令嬢ローズマリー=ローバー(18)が、丘の上にある小さな教会で愛を誓い。女神の祝福を受け夫婦になった。 街中を馬車で移動中。二人はずっと笑顔だった。 それを見た者は、相思相愛だと思っただろう。 しかし〜ここまでくるまでに、王太子が裏で動いていたのを知っているのはごくわずか。 花嫁は〜その笑顔の下でなにを思っているのだろうか??

処理中です...