【第一章完結】凸込笑美はツッコまざるを得ない……!

阿弥陀乃トンマージ

文字の大きさ
20 / 50
第1笑

5本目(3)ネタ『新たな教科』

しおりを挟む
「はい、どーも~2年の凸込笑美で~す」

「2年の因島晴義でござる……」

「『セトワラ』、今回はこの二人でお届けします、よろしくお願いしま~す」

「お願いするでござる……」

 借りた講堂内に拍手が起こる。ひと呼吸おいてから笑美が話し出す。

「いや、因島くんね……」

「拙者になにか落ち度でもあったでござるか⁉」

「それ! 拙者とかござるとか、なんなん⁉ 忍者の末裔なん⁉」

「忍者というか侍のつもりでござったが……」

「ああ~そっち⁉」

「まあ、仕方ないでござる。どちらかと言えば所詮は日陰の者でござるからな……」

 因島が俯く。笑美が慌てる。

「ああ、悪かった、ウチが悪かったって! せっかくだから楽しい話をしようや」

「楽しい話?」

「せや、高校生らしくね?」

「ああ、それならばちょうどいい話が……」

 因島が姿勢を正す。笑美がポンと手を打つ。

「お、聞かせてもらいましょうか」

「……大学受験というものがあるでござるな」

「耳が痛い話やな!」

「ほとんどの方にとって避けては通れない話でありますから……」

「まあ、そうやけども……ウチらまだ高2やで、高2の春! ちょっと早すぎない⁉」

「次々回、つまり拙者らの代で、大学入学共通テストに新たな教科が追加されるのです」

「え⁉ ホンマに?」

「本当です」

「そ、それは全然知らんかったな~」

「今の内から対策を練っておいた方が良いと思いまして……」

「うん、うん、そういうのは早い方がええな!」

 笑美が頷く。

「今日は皆さんとその教科について共に学んでいければ良いかなと……」

「それはもう! 大いに学んでいきましょう! それで因島くん、その教科とは?」

「はい、『異世界』です……」

「はあっ⁉」

 笑美が大声を上げる。因島が左耳を抑えながら繰り返す。

「異世界です……」

「え? 異世界って転生とかするあの?」

「ええ、そうでござる」

「国語、数学、英語、理科、社会……」

「異世界でござる」

「おかしいやろ! なんやそれ! どういうことやねん……」

「このご時世、いつ異世界に転生しても良いように……」

「あれはフィクションや!」

「そうは言っても、もうほぼ追加されることは内定してるでござる……」

「世も末やな……何を勉強したらええねん、見当もつかんわ……」

「そこでオタクである拙者の出番でござる!」

 因島が胸を張る。笑美が再び手を打つ。

「なるほど!」

「拙者のオタ知識をフル動員すれば、出題される問題の傾向が大体つかめるでござる……」

「こりゃ頼もしいな!」

「まず国語!」

「国語?」

「サラリーマン、山田はトラックに轢かれ、異世界へ転生することになりました……」

「ああ、なんかよくある展開やな、知らんけど」

「……この時のトラック運転手の心情を答えなさい」

「重いな!」

「え?」

「なにを入試で反省と後悔の文章書かないとアカンのよ!」

「いや、登場人物の心情を答えよとかそういう問題はあるでござろう?」

「あるけれども、残された側の気持ちって……それはしんどいものがあるわ……」

「国語は一旦置いておくでござるか?」

「そやな、他の科目にしたいな」

「じゃあ、数学!」

「数学か、まあええよ」

 笑美が頷く。

「勇者は魔王を倒し、世界に平和をもたらしました……」

「うん」

「国王さまはお礼に姫を妻として迎えて欲しいと言ってきました……」

「まあ、それもよくある感じやな、知らんけど」

「しかし、勇者のパーティーには、恋人同然の女騎士、仲の良い女魔法使い、友達以上の関係である女武道家がいました……」

「あ、ああ……?」

「足して……良いものでしょうか?」

「知らんわ! なんやそれ! ハーレム作ってええかって相談か⁉ どこが数学やねん! 倫理の問題やろ!」

「数学も難しいでござるか?」

「むしろ気悪いな!」

「では英語!」

「英語?」

「以下の単語を日本語に訳しなさい」

「ああ、オーソドックスな感じやな……」

「まずは『スキル』」

「えっと……技術!」

「『ギルド』」

「組合とかそんなんやろ?」

「おお、全問正解でござるよ!」

「なんかクイズ大会みたいなノリやな……」

「では、以下の文章を日本語訳しなさい」

「文章問題か……」

「I who was worthless was ousted from the party, but became a ruler of this world by the unique skill "strongest". It is already late even if said that I come back 」

「え? え?」

「答えは……『役立たずの俺はパーティーから追放されたが、ユニークスキル“最強”でこの世界の支配者になりました。戻ってこいと言われてももう遅い』です」

「そんなもん分かるか! なんか翻訳とは別のセンスが求められているやろ!」

「じゃあ、社会!」

「社会ね……」

「多発する異世界転生を問題視した政府は……」

「現実とフィクションの区別がついていない問題文なんよ……」

「ある法律を定めました、次の三つの内どれでしょう?」

「設定がまずイカレているからな……三択問題か?」

「①不純異世界交遊の禁止」

「田舎の高校か!」

「②勇者の迷惑なナンパ禁止」

「地方の海水浴場の看板か!」

「③トラックの夜間のスピード制限」

「③だけ妙にリアル! 正解は③! って、トラック業界大変やな⁉ もうええわ!」

「「どうも、ありがとうございました!」」

 笑美と因島がステージ中央で揃って頭を下げる。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

つまらない妃と呼ばれた日

柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。 舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。 さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。 リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。 ――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。

沼野 花
恋愛
【3月中ーー完結!!】 私は、夫にも子供にも選ばれなかった。 二十年の裏切りの果て、その事実だけを抱え、離縁状を置いて家を出た。 そこで待っていたのは、凍てつく絶望――。 けれど同時に、それは残酷な運命の扉がひらく瞬間でもあった。 夫は愛人と共に好きに生きればいい。 今さら「本当に愛していたのは君だ」と縋られても、 死の淵を彷徨った私には、裏切ったあなたを許す力など残っていない。 「でも、子供たちの心だけは、 必ず取り戻す」 妻にも母にもなれなかった伯爵夫人イネス。 過去を悔い、歪な愛でもいいと手を伸ばした彼女が辿り着いた先。 それは、「歪で、完全な幸福」か、それとも――。 これは、"石"に翻弄された者たちの、狂おしい物語。

~春の国~片足の不自由な王妃様

クラゲ散歩
恋愛
春の暖かい陽気の中。色鮮やかな花が咲き乱れ。蝶が二人を祝福してるように。 春の国の王太子ジーク=スノーフレーク=スプリング(22)と侯爵令嬢ローズマリー=ローバー(18)が、丘の上にある小さな教会で愛を誓い。女神の祝福を受け夫婦になった。 街中を馬車で移動中。二人はずっと笑顔だった。 それを見た者は、相思相愛だと思っただろう。 しかし〜ここまでくるまでに、王太子が裏で動いていたのを知っているのはごくわずか。 花嫁は〜その笑顔の下でなにを思っているのだろうか??

処理中です...