22 / 50
第1笑
6本目(1)チャラい遭遇
しおりを挟む
6
「こんにちは~」
笑美が部室に入る。
「ウェーイ!」
「え⁉」
短すぎず長すぎずの茶髪で両耳にピアスをした派手な男子生徒が笑美にいきなり声をかけてきたため、笑美は面喰らう。
「噂のツッコミちゃん、カワイイね~♪」
「ウチは凸込ですけど……」
男子の言葉に笑美はややムッとする。
「あれ~? ツッコミちゃんって呼び名、気に食わない系~?」
「そうですね」
「そう? 良い感じだと思うんだけどな~」
「良くないです」
「特徴をよく捉えているじゃん」
「……ウチはあくまでも役割としてツッコミをこなしているわけで、性格的特徴というわけではありません」
「それじゃあ身体的特徴?」
「……ツッコミの身体的特徴ってなんですか」
「例えば右手の手の甲が異様に発達しているとか……」
「仮に発達しとったらヤバいでしょ、ツッコミ食らうた人が」
「あ~それもそうか……」
「それもそうかって……」
「あれ? 右手の一振りでロウソクの火を消せるんだっけ?」
「武道の達人の域に到達しとるやないですか」
「え? 到達していないの?」
「目指してもいないです」
「……来いよ、高みへ」
男子が手招きをする。
「お断りです」
「ノリ悪いな~」
「……っていうか、どちら様ですか?」
「あ、俺のこと?」
「他におらんでしょ」
「いや、名乗るほどのものでもないよ」
「ほんならいいです……」
「い、いや、ちょっと待ってよ!」
「なんですか?」
「興味失うの早すぎっしょ!」
「失ってはいないです」
「え?」
「もともと興味を持っていないですから」
「ひ、酷くない⁉」
「練習をしたいので、特に用事がないようでしたらお帰り下さい……」
笑美がドアを指し示す。
「練習って何をするの?」
「……」
「いやいや、無視しないでよ」
「漫才の練習ですよ」
「あ~そうなんだ。やる気十分だね~」
「十分もなにも……それが目的のサークルですから」
「俺もなんだかテンション上がってきたよ!」
「え?」
「バイブスが爆アゲって感じ!」
「は、はあ……」
「ババッとやって、ガンガンと行こうぜ! その結果、ドカーンっしょ⁉」
「いや、擬音だらけで訳分からんねん!」
「まあ、その辺はさ、フィーリングでいこうよ」
「フィーリングが全然合うてへんねん」
男子が自身の胸を右手の親指でつつく。
「……ソウル共鳴していこうよ」
「魂でええやろ」
「う~ん……」
「なんやねん、さっきから……」
「とりま……俺たち付き合っちゃう?」
「なんでやねん!」
笑美が声を上げる。男子が笑みを浮かべる。
「……はい、『なんでやねん!』頂きました~」
「は?」
「ウォーミングアップはこんなもんかな~ツカサン」
男子が司に声をかける。席に座り、ノートを眺めている司が応える。
「そう……」
「ちょ、ちょっと待って、司くん!」
「はい、なんですか?」
「なんですか?って、もしかしてこのチャラ男……」
「はい、セトワラの会員です。僕らと同じ2年生の倉橋孝太郎(くらはしこうたろう)くんです」
「あ、ああ、名前は知っておったけど……」
笑美が倉橋に視線を戻す。倉橋はウインクしながら、右手の人差し指と中指を額につけて、軽く一振りする。
「シクヨロ~」
「……名は体を表さずって感じやな」
「え? それ酷くない?」
「素直な感想を述べたまでや」
「素直過ぎるのもどうかと……」
「……司くん、ひょっとして……」
「ええ、今度のネタライブは倉橋くんとやってもらおうかなと……」
「……嫌やな」
「ちょっと、ちょっと、そんな言い方ないっしょ~」
笑美の反応に倉橋は苦笑する。司が尋ねる。
「どうしてですか?」
「なんか合わん気がすんねん」
「いやいや、俺が全然合わせるからさ~」
「なんでちょっと上からやねん」
笑美が倉橋に対し冷めた視線を向ける。
「他の皆は一緒に漫才してたじゃん、俺だけやってくれないのは不公平だよ~」
「む……」
「笑美さん、なんとかお願い出来ませんか? 倉橋くんもずっとこのサークルのメンバーを続けてきてくれたので……せっかくならステージに立って欲しいんです」
「……しゃあないなあ」
笑美が頭を掻く。倉橋が笑ってガッツポーズを取る。。
「ははっ、やった! 俺も笑いをとるぞ~」
「……まあ、場慣れはしてそうやな」
「そうでしょう? 今度は恐らく講堂も満杯になるでしょうから」
「え?」
司の言葉に倉橋の動きが止まる。笑美が尋ねる。
「どないしたんや?」
「や、やっぱ俺、辞めようかな……」
「こんにちは~」
笑美が部室に入る。
「ウェーイ!」
「え⁉」
短すぎず長すぎずの茶髪で両耳にピアスをした派手な男子生徒が笑美にいきなり声をかけてきたため、笑美は面喰らう。
「噂のツッコミちゃん、カワイイね~♪」
「ウチは凸込ですけど……」
男子の言葉に笑美はややムッとする。
「あれ~? ツッコミちゃんって呼び名、気に食わない系~?」
「そうですね」
「そう? 良い感じだと思うんだけどな~」
「良くないです」
「特徴をよく捉えているじゃん」
「……ウチはあくまでも役割としてツッコミをこなしているわけで、性格的特徴というわけではありません」
「それじゃあ身体的特徴?」
「……ツッコミの身体的特徴ってなんですか」
「例えば右手の手の甲が異様に発達しているとか……」
「仮に発達しとったらヤバいでしょ、ツッコミ食らうた人が」
「あ~それもそうか……」
「それもそうかって……」
「あれ? 右手の一振りでロウソクの火を消せるんだっけ?」
「武道の達人の域に到達しとるやないですか」
「え? 到達していないの?」
「目指してもいないです」
「……来いよ、高みへ」
男子が手招きをする。
「お断りです」
「ノリ悪いな~」
「……っていうか、どちら様ですか?」
「あ、俺のこと?」
「他におらんでしょ」
「いや、名乗るほどのものでもないよ」
「ほんならいいです……」
「い、いや、ちょっと待ってよ!」
「なんですか?」
「興味失うの早すぎっしょ!」
「失ってはいないです」
「え?」
「もともと興味を持っていないですから」
「ひ、酷くない⁉」
「練習をしたいので、特に用事がないようでしたらお帰り下さい……」
笑美がドアを指し示す。
「練習って何をするの?」
「……」
「いやいや、無視しないでよ」
「漫才の練習ですよ」
「あ~そうなんだ。やる気十分だね~」
「十分もなにも……それが目的のサークルですから」
「俺もなんだかテンション上がってきたよ!」
「え?」
「バイブスが爆アゲって感じ!」
「は、はあ……」
「ババッとやって、ガンガンと行こうぜ! その結果、ドカーンっしょ⁉」
「いや、擬音だらけで訳分からんねん!」
「まあ、その辺はさ、フィーリングでいこうよ」
「フィーリングが全然合うてへんねん」
男子が自身の胸を右手の親指でつつく。
「……ソウル共鳴していこうよ」
「魂でええやろ」
「う~ん……」
「なんやねん、さっきから……」
「とりま……俺たち付き合っちゃう?」
「なんでやねん!」
笑美が声を上げる。男子が笑みを浮かべる。
「……はい、『なんでやねん!』頂きました~」
「は?」
「ウォーミングアップはこんなもんかな~ツカサン」
男子が司に声をかける。席に座り、ノートを眺めている司が応える。
「そう……」
「ちょ、ちょっと待って、司くん!」
「はい、なんですか?」
「なんですか?って、もしかしてこのチャラ男……」
「はい、セトワラの会員です。僕らと同じ2年生の倉橋孝太郎(くらはしこうたろう)くんです」
「あ、ああ、名前は知っておったけど……」
笑美が倉橋に視線を戻す。倉橋はウインクしながら、右手の人差し指と中指を額につけて、軽く一振りする。
「シクヨロ~」
「……名は体を表さずって感じやな」
「え? それ酷くない?」
「素直な感想を述べたまでや」
「素直過ぎるのもどうかと……」
「……司くん、ひょっとして……」
「ええ、今度のネタライブは倉橋くんとやってもらおうかなと……」
「……嫌やな」
「ちょっと、ちょっと、そんな言い方ないっしょ~」
笑美の反応に倉橋は苦笑する。司が尋ねる。
「どうしてですか?」
「なんか合わん気がすんねん」
「いやいや、俺が全然合わせるからさ~」
「なんでちょっと上からやねん」
笑美が倉橋に対し冷めた視線を向ける。
「他の皆は一緒に漫才してたじゃん、俺だけやってくれないのは不公平だよ~」
「む……」
「笑美さん、なんとかお願い出来ませんか? 倉橋くんもずっとこのサークルのメンバーを続けてきてくれたので……せっかくならステージに立って欲しいんです」
「……しゃあないなあ」
笑美が頭を掻く。倉橋が笑ってガッツポーズを取る。。
「ははっ、やった! 俺も笑いをとるぞ~」
「……まあ、場慣れはしてそうやな」
「そうでしょう? 今度は恐らく講堂も満杯になるでしょうから」
「え?」
司の言葉に倉橋の動きが止まる。笑美が尋ねる。
「どないしたんや?」
「や、やっぱ俺、辞めようかな……」
0
あなたにおすすめの小説
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
【3月中ーー完結!!】
私は、夫にも子供にも選ばれなかった。
二十年の裏切りの果て、その事実だけを抱え、離縁状を置いて家を出た。
そこで待っていたのは、凍てつく絶望――。
けれど同時に、それは残酷な運命の扉がひらく瞬間でもあった。
夫は愛人と共に好きに生きればいい。
今さら「本当に愛していたのは君だ」と縋られても、
死の淵を彷徨った私には、裏切ったあなたを許す力など残っていない。
「でも、子供たちの心だけは、
必ず取り戻す」
妻にも母にもなれなかった伯爵夫人イネス。
過去を悔い、歪な愛でもいいと手を伸ばした彼女が辿り着いた先。
それは、「歪で、完全な幸福」か、それとも――。
これは、"石"に翻弄された者たちの、狂おしい物語。
~春の国~片足の不自由な王妃様
クラゲ散歩
恋愛
春の暖かい陽気の中。色鮮やかな花が咲き乱れ。蝶が二人を祝福してるように。
春の国の王太子ジーク=スノーフレーク=スプリング(22)と侯爵令嬢ローズマリー=ローバー(18)が、丘の上にある小さな教会で愛を誓い。女神の祝福を受け夫婦になった。
街中を馬車で移動中。二人はずっと笑顔だった。
それを見た者は、相思相愛だと思っただろう。
しかし〜ここまでくるまでに、王太子が裏で動いていたのを知っているのはごくわずか。
花嫁は〜その笑顔の下でなにを思っているのだろうか??
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる