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序章
第8話(4)革命家、参上
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「ぐっ……!」
識が倒れ込む。真海がひと息つく。
「ふう……」
「な、何故に わたくしの術 防げたか……」
「……感覚を研ぎ澄ますこと。術を用いる相手の土俵にわざわざ上がる必要はない」
「要するに 先手必勝と いうことか……」
「まあ、そういうことになるかな」
「ちょっと待った!」
「ぬおっ⁉」
真海の左脇腹を素子が殴りつける。
「なにを終わった感出してんのさ! まだ終わってないよ!」
「お、お前、まだくたばってなかったのか……しつこいな……」
「それはお互いさまでしょ⁉」
「今度こそ決着をつけるか……」
「いや、一度アタシが勝っているから! まあいいや、連勝させてもらう! おらあっ!」
「ぐっ!」
「おらおらあっ!」
「むう……」
素子の激しいラッシュに真海が防戦一方になる。素子が笑う。
「どうした、どうした⁉」
「お調子に 乗るのもどうか そのへんに」
「どはっ⁉」
識が文言を唱えると、衝撃波が発生し、それをまともに喰らった素子が吹っ飛ぶ。
「もう立ち上がっただと?」
「どうにかと 決定打までは 紙一重」
識が腹部のあたりをさすりながら呟く。真海が舌打ち交じりに応える。
「ちっ……踏み込みが甘かったか……」
「ああ! 面倒だな!」
素子が勢いよく立ち上がる。
「……」
「………」
「…………」
三人が睨み合う。真海は素子を、素子は識を、識は真海をそれぞれ意識してしまい、動くに動けない状況である。
「それまでぜよ!」
「「「!」」」
三人が声のした方に目をやると、サムライヘアで古着の洋服に身を包んだ長身の男性が小高い丘の上に立っていた。男性が無精ひげをさすりながら声を上げる。
「わしは平末竜王(ひらすえりゅうおう)ぜよ!」
「……知っているか?」
「さあ……言葉から判断するに高知県勢の人じゃないの」
真海の問いに素子が答える。識が口を開く。
「とりあえず 放っておくのは いかがかな」
「「異議なし!」」
「ちょっと待たんか!」
竜王と名乗った男が声を上げる。素子が面倒そうに応える。
「うるさいなあ、なによ、おっさん」
「お、おっさん⁉」
「だって、どう見ても若者じゃないでしょうが」
「た、確かにわしは三十路じゃが、気分はいつでもナウなヤングじゃき!」
「いつの時代から来たのさ……」
「ええか! ワシはな! このヒノモトを掃除したいと思っちょる!」
「……そこは洗濯じゃないの?」
「と、とにかく! おんしらはげにまっこと愉快な連中ぜよ、わしと手を組もう!」
「なんでそうなるのさ……」
「ここに来たということはおんしらもこの四国州の未来を憂う者たちのはず! いたずらに傷つけ合う必要はないきに!」
「まあ、それは確かに……」
「待て、流されるな……自分たちがお前と手を組むメリットがあるのか?」
素子に代わり、真海が尋ねる。竜王が胸を張る。
「おんしらよりわしの方が強い!」
「聞き捨てならんな……⁉」
真海の刀が弾き飛ばされる。竜王が銃を発砲したのだ。竜王があらためて胸を張る。
「おんしらの剣と拳と術はまっことすごい! しかし、三すくみ状態に陥ってしまっとる! それすらも打破出来るのが銃! これが全てを凌駕する!」
「……銃でドヤ顔? 確かに射撃の腕はそれなりにあるみたいだけど……」
「タブー犯し 大人気なさの 極みかな」
素子と識が呆れ気味の視線を向ける。
「今だ、かかれ!」
「「「‼」」」
黒い制服を着た男たちが真海たちにおそいかかる。真海が声を上げる。
「あの制服……保守派の連中か! さては革新派の情報が漏れていたのか⁉」
「ここは任せるきに!」
「おっさん、銃一丁じゃ足りないよ!」
「おっさん言うな! こうするぜよ!」
「「「⁉」」」
三人は驚く。竜王が巨大な竜に変化したからである。
「グオオッ!」
「うわあ⁉ て、撤退だ!」
竜王がそこかしこに火の玉を噴き出す。男たちが堪らず撤退する。真海が呟く。
「なるほど、高知には亜人の流れを汲む者が多いと聞いていたが、竜人とはな……」
竜王が元の姿に戻る。識が二人に尋ねる。
「変身の 時間短し どうするか」
「まあ、その辺はアタシらがフォローしてやれば良いんじゃね? お~い、おっさん!」
「うん⁉ だから、おっさんと言うな!」
「乗ったよ、アタシらと手を組もうじゃんか」
「おおっ、そうか! 良し! ここからがヒノモトの夜明けぜよ!」
竜王が腰に両手を当てて高らかに叫ぶ。
――これはあり得るかもしれない未来の日本の話――
日本は十の道州と二つの特別区に別れた。
十の道州の内の一つ、四国州は常に近隣からの脅威に曝されてきた。しかし、高い妖力を持った者、体を機械化された者、不可思議な術を使う者、そして、亜人の流れを汲む者、文字通り『人間離れ』した存在が抑止力となり、独立を保ってきた。
州政府はこのままの状態で良しとする、いわゆる『保守派』が主流を占めていたが、それに対する『革新派』は今のままではじり貧であると考え、積極的に外に打って出ることを決めた。だが、革新派内でも主導権争いが発生し、ある小島で密かに模擬戦が行われ、各県は実力者を派遣した。その結果、若者たち――一人を除いて――が団結することとなった。
その男は銃を巧みに扱う。
さらに男は竜の姿に変化出来る。
少し年齢を重ねていることを気にしている。
周囲の思惑をよそに、頼れる仲間たちと手を組んだ。
『やや遅(おく)れてきた革命家(かくめいか)』
平末竜王(ひらすえりゅうおう)
四国の海から革命の咆哮を上げる。
最後に笑うのは誰だ。
識が倒れ込む。真海がひと息つく。
「ふう……」
「な、何故に わたくしの術 防げたか……」
「……感覚を研ぎ澄ますこと。術を用いる相手の土俵にわざわざ上がる必要はない」
「要するに 先手必勝と いうことか……」
「まあ、そういうことになるかな」
「ちょっと待った!」
「ぬおっ⁉」
真海の左脇腹を素子が殴りつける。
「なにを終わった感出してんのさ! まだ終わってないよ!」
「お、お前、まだくたばってなかったのか……しつこいな……」
「それはお互いさまでしょ⁉」
「今度こそ決着をつけるか……」
「いや、一度アタシが勝っているから! まあいいや、連勝させてもらう! おらあっ!」
「ぐっ!」
「おらおらあっ!」
「むう……」
素子の激しいラッシュに真海が防戦一方になる。素子が笑う。
「どうした、どうした⁉」
「お調子に 乗るのもどうか そのへんに」
「どはっ⁉」
識が文言を唱えると、衝撃波が発生し、それをまともに喰らった素子が吹っ飛ぶ。
「もう立ち上がっただと?」
「どうにかと 決定打までは 紙一重」
識が腹部のあたりをさすりながら呟く。真海が舌打ち交じりに応える。
「ちっ……踏み込みが甘かったか……」
「ああ! 面倒だな!」
素子が勢いよく立ち上がる。
「……」
「………」
「…………」
三人が睨み合う。真海は素子を、素子は識を、識は真海をそれぞれ意識してしまい、動くに動けない状況である。
「それまでぜよ!」
「「「!」」」
三人が声のした方に目をやると、サムライヘアで古着の洋服に身を包んだ長身の男性が小高い丘の上に立っていた。男性が無精ひげをさすりながら声を上げる。
「わしは平末竜王(ひらすえりゅうおう)ぜよ!」
「……知っているか?」
「さあ……言葉から判断するに高知県勢の人じゃないの」
真海の問いに素子が答える。識が口を開く。
「とりあえず 放っておくのは いかがかな」
「「異議なし!」」
「ちょっと待たんか!」
竜王と名乗った男が声を上げる。素子が面倒そうに応える。
「うるさいなあ、なによ、おっさん」
「お、おっさん⁉」
「だって、どう見ても若者じゃないでしょうが」
「た、確かにわしは三十路じゃが、気分はいつでもナウなヤングじゃき!」
「いつの時代から来たのさ……」
「ええか! ワシはな! このヒノモトを掃除したいと思っちょる!」
「……そこは洗濯じゃないの?」
「と、とにかく! おんしらはげにまっこと愉快な連中ぜよ、わしと手を組もう!」
「なんでそうなるのさ……」
「ここに来たということはおんしらもこの四国州の未来を憂う者たちのはず! いたずらに傷つけ合う必要はないきに!」
「まあ、それは確かに……」
「待て、流されるな……自分たちがお前と手を組むメリットがあるのか?」
素子に代わり、真海が尋ねる。竜王が胸を張る。
「おんしらよりわしの方が強い!」
「聞き捨てならんな……⁉」
真海の刀が弾き飛ばされる。竜王が銃を発砲したのだ。竜王があらためて胸を張る。
「おんしらの剣と拳と術はまっことすごい! しかし、三すくみ状態に陥ってしまっとる! それすらも打破出来るのが銃! これが全てを凌駕する!」
「……銃でドヤ顔? 確かに射撃の腕はそれなりにあるみたいだけど……」
「タブー犯し 大人気なさの 極みかな」
素子と識が呆れ気味の視線を向ける。
「今だ、かかれ!」
「「「‼」」」
黒い制服を着た男たちが真海たちにおそいかかる。真海が声を上げる。
「あの制服……保守派の連中か! さては革新派の情報が漏れていたのか⁉」
「ここは任せるきに!」
「おっさん、銃一丁じゃ足りないよ!」
「おっさん言うな! こうするぜよ!」
「「「⁉」」」
三人は驚く。竜王が巨大な竜に変化したからである。
「グオオッ!」
「うわあ⁉ て、撤退だ!」
竜王がそこかしこに火の玉を噴き出す。男たちが堪らず撤退する。真海が呟く。
「なるほど、高知には亜人の流れを汲む者が多いと聞いていたが、竜人とはな……」
竜王が元の姿に戻る。識が二人に尋ねる。
「変身の 時間短し どうするか」
「まあ、その辺はアタシらがフォローしてやれば良いんじゃね? お~い、おっさん!」
「うん⁉ だから、おっさんと言うな!」
「乗ったよ、アタシらと手を組もうじゃんか」
「おおっ、そうか! 良し! ここからがヒノモトの夜明けぜよ!」
竜王が腰に両手を当てて高らかに叫ぶ。
――これはあり得るかもしれない未来の日本の話――
日本は十の道州と二つの特別区に別れた。
十の道州の内の一つ、四国州は常に近隣からの脅威に曝されてきた。しかし、高い妖力を持った者、体を機械化された者、不可思議な術を使う者、そして、亜人の流れを汲む者、文字通り『人間離れ』した存在が抑止力となり、独立を保ってきた。
州政府はこのままの状態で良しとする、いわゆる『保守派』が主流を占めていたが、それに対する『革新派』は今のままではじり貧であると考え、積極的に外に打って出ることを決めた。だが、革新派内でも主導権争いが発生し、ある小島で密かに模擬戦が行われ、各県は実力者を派遣した。その結果、若者たち――一人を除いて――が団結することとなった。
その男は銃を巧みに扱う。
さらに男は竜の姿に変化出来る。
少し年齢を重ねていることを気にしている。
周囲の思惑をよそに、頼れる仲間たちと手を組んだ。
『やや遅(おく)れてきた革命家(かくめいか)』
平末竜王(ひらすえりゅうおう)
四国の海から革命の咆哮を上げる。
最後に笑うのは誰だ。
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