2年微能力組!~微妙な能力で下克上!~

阿弥陀乃トンマージ

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第一章

第6話(1)張り合う人達

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                  6

「数日経ったけど、学生寮の件は何も言われないわね……」

 ある日の朝、教室の後方で照美が呟く。日光が反応する。

「始末屋まで動員して、何の成果も得られなかったのだ。学園側としてもあの騒ぎは無かったということにしたいのではないか?」

「それってまるで隠蔽じゃないのよ」

「そうだな」

「そうだなって……」

「こちらもバリケードを即座に撤去したりしたからな、隠蔽工作はお互い様だ」

「まあ、黙っているのが吉ってことだよ~♪」

 玄武が笑顔で語る。

「たとえ何らかの処分が下るとしても、主に煽動した誰かさんだろうからね」

 朱雀が淡々と語る。

「ちょっと待てよ、随分冷たくねえか?」

 白虎が不満そうに口を開く。朱雀が呆れ気味の視線を向ける。

「自業自得じゃないか……」

「学生寮のB組棟はボロっちいからさ、改善を要求しただけだぜ?」

「なぜそれが大規模なバリケード設置という事態にまでなるんだい?」

「ちょいとばかりエスカレートしちゃったんだよ」

 白虎が肩をすくめる。

「『煽り』という能力が暴走したのか……」

「そういうことになるかな」

 白虎の言葉に朱雀がため息をつく。

「はあ……能力のコントロールもままならんとは……とても四天王の一人とは思えないな」

「おっ、煽ってきている? アタシを相手に随分と良い度胸しているじゃないか、井伊谷」

「僕は煽りなど、いちいち回りくどいことはしない」

「言うねえ、偉くなったもんだ、いつぞやみたいに泣かされたいかい?」

 白虎がニヤリと笑う。朱雀がムッとする。

「泣かされたことなどない!」

「おっとっと、ちょい落ち着いて井伊谷ちゃん、楽しくガールズトークしようよ~」

「笠井くん……君はガールではないだろう」

「あっ、そうだけどね。まあ、細かいことは置いておいて……こうして久々に顔を合わせたんだから、もっと前向きな話をしようよ♪」

 玄武が右手の親指を立て、人差し指を前に突き出す。白虎が首を捻る。

「前向きな話ね……」

「そうそう、テンションアゲアゲな話でも良いよ~?」

「アゲアゲだと? 笠井、お前さんは相変わらずわけのわからんことを……」

「相変わらず? 変わってないってことだね、前向きに受け取っておくよ♪」

「前向き過ぎるだろう……」

 白虎が頭を軽く抑える。玄武は少し離れて立っている聡乃に語りかける。

「なんか話題ない? 本荘ちゃん」

「ええ⁉」

「いやいや、そんなに驚かなくても」

「こ、ここで皆さんを楽しませるような絶妙なトークをするのは陰キャの私にとってはあまりにもハードルが高すぎます……」

「難しく考え過ぎだって~」

「ま、前向きな話をするのであれば、お三方の影響で登校される方が増えました……」

「それは確かにポジティブな話題ね」

 照美が頷く。白虎が笑みを浮かべながら尋ねる。

「クラス長としても一安心ってところかい?」

「ええ、あなたたちには頭を悩まされてきたから……」

「おっと、東も煽るね~」

「煽りじゃなくて事実よ」

 照美がジト目で白虎を見つめる。聡乃が慌てて声を上げる。

「と、とにかく!」

「うわっ、びっくりした。本荘ちゃん、いきなり大声を上げないでよ~」

 聡乃の大声に玄武が驚き、耳を軽く抑える。聡乃が頭を下げる。

「す、すみません、陰キャ故に声のボリューム調整が下手くそで……」

「とにかく……なんだよ?」

 白虎が尋ねる。

「こ、こうして四天王の皆さんが日光さんに対して協力してくれるというのは、大変良い傾向なのではないかと……」

「ふむ……」

 日光が深々と頷く。白虎が口を開く。

「いや、ふむ……じゃないぜ」

「ん?」

「日光よ……こういうのは初めにはっきりとしておこうじゃねえか」

「な、何をだ?」

「決まっているだろう、この三人の内、誰が一番かってことだよ」

「い、一番だと⁉」

「ああ、そうだ」

 戸惑う日光に対し、白虎が頷く。

「い、いや、皆、俺にとっては大事な眷属であり……」

「眷属になった覚えは無いのだけど」

 朱雀が冷ややかに否定する。

「いや、その同志としてだな……」

「いやいや、そんなお堅い感じではないでしょう?」

 玄武が笑みを浮かべながら否定する。

「いや、あれだ、その仲間としてだな……」

「仲間っていうのも若干距離を感じるよな~」

 白虎が両手を大げさに広げて首を左右に振る。日光が黙り込む。

「む……」

「もっと、なにかこう……あんじゃねえのか?」

 白虎が首を傾げる。日光はかなり恥ずかしながらも、意を決して、その言葉を口にする。

「いや、つまり、あれだ、その……と、友達としてだな!」

「友達! 頂きました!」

「友達って言うのを一番恥ずかしがるなんて。どういうことだよ」

 玄武と白虎が笑う。

「むう……」

「扇原さんにうまく煽られてしまったわね……」

 顔を赤くする日光を見て、照美が微笑を浮かべる。

「じゃあ、誰が一番の友達かってことだけど……それはアタシ、扇原白虎だよな?」

「え?」

 白虎の問いに日光が戸惑う。白虎はクラスを見回しながら話す。

「見ての通り『革新派』に与する生徒も何人か登校するようになったぜ、これはアタシの手柄だろう、間違いなく」

「その革新派の生徒が間違いなく日光くんに与するかどうかはまだ不透明だよ」

「ん……」

「四天王の中で最初に旗色を鮮明にした僕、井伊谷朱雀が一番にふさわしいと思う」

「順番の問題じゃないんだよ、井伊谷ちゃん~」

「? どういうことだ、笠井くん?」

「俺と日光っちは歓迎会でのダンスを通じて心を通わせた……いわゆるソウルメイトってやつさ、この絆は誰にも壊せないよ~?」

「ソウルメイトなんてむしろ胡散臭いじゃねえか。ともに力を合わせて、学園側の横暴に立ち向かったアタシが一番だろう?」

「やれやれ……久々に登校してみたら、一体何の騒ぎです?」

「⁉」

 教室に青髪の長身の生徒が入ってきた。
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