【第一章完】三流声優の俺、特殊スキル【演技】で異世界の英雄になってみた

阿弥陀乃トンマージ

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第一幕

第3話(2)ラヴィとの合流

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「あ、あなたたちは……」

「大人気アニソンユニット『ラヴィ』の皆さん!」

「うおっ⁉」

 天がいきなり大声を上げたので俺は驚く。

「ミディアムロングヘアーの貴女は長女の緑谷鶯(みどりだにうぐいす)さん!」

「ど、どうも……」

「ロングヘアーの貴女は次女の緑谷瑠璃(みどりだにるり)さん!」

「あ、どうも……」

「ショートヘアーの貴女は三女の緑谷(みどりだに)ロビンさん!」

「は、はあ……」

「どうしてお三方がここに⁉」

 俺が聞く前に天が聞いてしまった。いや、別に良いのだが……。

「それがアタシたちにもなにがなんだか分からないんです……」

 鶯さんが困惑気味に答える。

「ウチらが逆に聞きたいくらいだわ……」

 瑠璃さんが髪をかき上げながら呟く。

「でも良かったよ、ボクらの知っている人と会えてさ」

 ロビンさんが俺に向かって笑顔を見せる。

「……何故俺なんかのことを知っているんですか?」

「え、だって、それは……ねえ?」

 ロビンさんが瑠璃さんに視線を向ける。瑠璃さんが頭をかく。

「ま、まあ、それは良いじゃないの」

「? まあ、確かにそれは良いですけど……お三方、『デモリベ』の打ち上げパーティーに参加されていましたよね?」

「ええ、主題歌を担当させてもらいましたから」

 俺の問いに鶯さんが答える。

「落雷のようなものが起こったのはご存知ですね?」

「ええ」

「……失礼ですがその時、お手洗いの近くにいましたか?」

「! はい……」

「三人揃っていたわ。一曲披露することになっていたから、最終確認も兼ねてね」

「三姉妹揃って緊張しいなんだよね~」

 瑠璃さんとロビンさんが補足してくる。俺に顎に手を当てて頷く。

「なるほど……」

「あの、それがなにか?」

「こちら、アニメーターの橙々木天さん。彼女もあの時お手洗いの近くにいたのです」

 俺は天を指し示す。天は頭を軽く下げる。鶯さんが頷く。

「そういえばいらっしゃったような……」

「これはまだ推測の域を出ていないのですが……あの時、お手洗い付近にいた人たちがこの世界に転移してしまったようなのです」

「!」

「なっ⁉」

「マジ⁉」

 三人は俺の言葉に驚く。

「アタシたちだけではなかったのですね」

「ええ、そうです」

「そうですか……」

「まさか本当に異世界だとは……」

「ほら~瑠璃姉、やっぱり夢じゃなかったじゃん」

「アンタの勘も変な所で当たるわよね」

「勘って、論理的分析と言ってよ」

 ロビンさんが胸を張る。瑠璃さんが呆れ顔になる。

「はいはい……」

「あ~馬鹿にしてるっしょ?」

「よく気付いたわね」

「むー!」

「あなたたちやめなさい……栄光さん、橙々木さん、お二人と出会えて良かったです」

「それはこちらも同じ気持ちです」

「……もしよろしければ、ご同行させてもらえないでしょうか?」

「それは構いませんが……」

「三人ともどこかから逃げてきたみたいなのは気のせいだっぺか?」

 ティッペが尋ねる。三人が驚く。

「⁉」

「しゃ、喋った⁉」

「ビビった、ペットかと思ったら……」

「ペットじゃないっぺ!」

「こいつはティッペ、妖怪です」

「妖精だっぺ!」

「妖精? イメージと違うわね……」

「キモカワイイってやつかな?」

「いや~カワイイなんて照れるっぺ~」

 ロビンさんの言葉にティッペが照れる。頭のキモについては黙っておこう。

「妖精さんのおっしゃる通り、アタシたちは逃げてきました」

「どこからですか?」

「アタシたちもこの世界に転移?してから戸惑っていたのですが、とにかくお金を稼げなくてはという話になり、この街の路上でライブを行っていたのです」

「ほう……」

「それが目に留まって、酒場やレストランで歌う仕事につくことが出来ました」

「へ、へえ……」

 随分ととんとん拍子だな。やはり実力のある人たちは異世界でも関係ないのか……。

「歌の仕事をこなしていたのですが、段々と気味が悪くなってきて……」

「気味が悪くなってきた?」

 俺が首を傾げる。鶯さんが話を続ける。

「ええ、お客さんのリアクションです」

「リアクション?」

「そう、なんていうか、感情に乏しいのよ」

「! ほう……」

 瑠璃さんの言葉に俺は驚く。俺の抱いた違和感と同じだ。

「基本皆無表情なんだよね~」

 ロビンさんが腕を組む。俺はティッペに問う。

「おい、ティッペ、これは……」

「うむ……」

「ああ、ここにいらっしゃったのですね」

「⁉」

 黒い修道服のようなものを着た男が両手を広げてこちらに向かって歩いてくる。その背後に三人の鎧を着た女たちがついてくる。

「ダメじゃないの! せっかくリュカ様とわたしたちが歌を聴きにきてあげたっていうのに、逃げ出すだなんて!」

 茶髪のショートカットの女が怒る。

「う~ん、スマイルが足りないね~」

 金髪のツインテールの女が笑う。

「貴女方も“楽”になりなさい……」

 青い髪のロングヘアーの女が涙を拭いながら呟く。

「こ、こいつら……⁉」

 俺は身構える。鶯さんたちが俺の後ろにまわる。
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